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農政・農協ニュース

販売と連動した営農支援を強化
「安心システム」の拡充なども
−−JA全農の新年度事業計画原案 (1/25)

 JA全農は「販売と連動した営農指導」などを重点とした平成14年度事業計画原案を25日の理事会で決めた。3月の臨時総代会で正式決定する。取扱高が年々減っている中で、新年度は農畜産物のマーケティングをより強化し、多様化する市場ニーズに的確に対応できる販売体制の確立を目ざす。牛海綿状脳症(BSE)対策も盛り込んだ。一方、生産資材価格では最大20%削減の取り組みを強める。全体の取扱計画は6兆967億円で前年度より1531億円増えたが、これは4月に合併する6経済連分を加えたためだ。
 リストラでは16年3月に全国5支所(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)を廃止し、事業の推進機能を各都府県本部に移す方針のもとに、14年度は事業再構築を加速化する。
 コメ販売では過度な産地間競争をやめながら、きめ細かく実需に応えるため営業拠点の設置を検討。また品質・用途・価格帯別の販売方式に連動した集荷方式で集荷率向上をはかる。
 13年産の計画流通米集荷率は初めて5割を割る見通しであり、これをどうするかは大きな課題だ。
 農畜産物の直販は、従来の品目別縦割りの推進でなく、地域ごとに総合的に品ぞろえして推進する「エリア別営業拠点」を設けて販促する戦略に改める。
 業務改革では各本部ごとの重複業務をなくす。また、品目を越えてコード体系・帳票様式などを標準化し、統一する。「全国事務集中センター」の17年度稼働を目ざし、本年度はシステム基盤の設計にかかる。
 物流改革では各県に拠点倉庫を設け、そこから資材を農家へ直接配送することで、JAの倉庫と在庫をなくし、JA資材事業の黒字化をはかる。すでに北九州4県でテスト中だ。
 業務と物流の改革で最終的には300億円程度の改革効果を見込んだ。
 総人件費の抑制では、新たな早期退職制度の実施などで約2000人の要員削減と、職員の賃金の見直しを前倒しではかっていく。
 販売体制では「全農安心システム」を拡充する。これは産地が作り方を取引先に詳しく知らせて販売する仕組みだ。すでに特別栽培米、牛肉、茶などで12産地・10工場を認証した。
 BSE問題から、消費者の間には生産、流通のルートを知りたいというトレーサビリティの要求がいっそう高まっているため、JAグループならではの情報開示による生産・販売体制をさらに拡大していく。
 また各県本部ごとに「地産地消」を強化し、Aコープ全店に生産者コーナーを設けたり、地元生協との共同企画などで販促をする。さらに、JAの生産販売企画専任者を育成するための研修会や講習会を開くなどして体制構築を支援する。
 一方、生産資材の値下げでは海外からの開発輸入をはじめとした購買機能を強化し、配送拠点の整備など物流合理化を一層進める。また県別、地域別に低価格品目の普及率向上目標などを明確にした「実行プログラム」を作り、実践する。
 担い手対策では県域での専任部署やモデルJAの設置を引き続き促進し、系統利用率を向上させる。
 川下への事業展開では▽食材加工品事業の強化▽電子商店街「JAタウン」の拡充▽外食での直営店展開などを促進する。
 なお計画原案は「事業環境は、さらに悪化のスピードを速めている」とし、またBSEや雪印食品の問題もあるため、四ノ宮孝義専務は「信頼回復や消費拡大のためのキャンペーン強化も新年度にかけての大きな課題だ」と語っている。


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