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農政・農協ニュース

国産商品に輸入品を使用
――全農チキンフーズ (3/4)

全農チキンフーズ緊急記者会見

 全農チキンフーズ(株)は3月4日、同社の国産鶏肉商品にタイ産、中国産の原料を使用していたと緊急記者会見で明らかにした。
 商品は「チキンスペアリブ」。4年前からコープネット事業連合(本部・さいたま市)との開発商品として、鹿児島県の農家が生産した遺伝子組み換え飼料などを使わずに生産した“無薬鶏”を原料として鹿児島くみあいチキンフーズが製造、同事業連合を通じさいたまコープなどの組合員の共同購入品として販売されていた。
 2月25日に生協側から表示違反の疑いを指摘されたことから、同社が危機管理対策本部を設置して調査したところ、昨年11月から12月にかけて製造された商品にタイ産約5トン、中国産約2トンの原料が使われており、それらも鹿児島産と表示して販売されていたことが判明したという。
 当時は、BSEの影響で鶏肉需要が前年比130%と急増していた。生協組合員からの「チキンスペアリブ」の予約も11月第3週は、当初計画の14470パック(1パック400g)から25309パックと倍増した。
 このため原料不足となった鹿児島チキンフーズから原料の手当要請が同社にあったが、国産で商品規格にそった原料がなく輸入業者から原料を調達して、鹿児島チキンフーズに納入した。
 判断したのは同社の営業担当者。欠品すると予約した生協組合員に迷惑がかかると考えたという。
 会見した佐々木勝夫社長は「農家と生協をつなぐ事業を壊す大変なことを起こした。国産鶏肉の販売を使命としている当社が法令違反を起こしたことは誠に申し訳なく、関係者に深くお詫びしたい」と語った。
 今回の件は組織的な関わりはなく担当者の独断だとした。また、鹿児島チキンフーズが輸入原料で製造したのは「私たちの責任でやらせたこと」(佐々木社長)と話した。
 同社は輸入原料を1kg350円で調達、鹿児島チキンフーズには規定価格の1kg309円で納入していた。当時、輸入鶏肉が高騰していたとはいえ、同社は損失までして無理に原料を手当てしたことになる。
 欠品を出すわけにはいかない、という考えが担当者に強くあったという。しかし、取引先はこの商品を共同開発した生協であり、生産、製造状況についてもっとも理解を求めやすい相手ではないか。
 「(欠品を理解してもらうよう)もっと勇気を持てばよかった」と佐々木社長は語ったが、農協系統の畜産事業の一翼を担う立場として、どう信頼を回復するのか、厳しく問われる。

◆全農がコメントを発表

 JA全農は、全農チキンフーズの問題について4日に次のようなコメントを発表した。
 「全農の子会社である全農チキンフーズが社会的にあるまじき行為をしたことは誠に遺憾であり、消費者・生産者等、関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。今後、このようなことが二度と起こらないよう、法令遵守を徹底してまいります」。


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