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農政・農協ニュース

信頼回復運動を強調 鶏肉偽装問題で
−−JA全中総会 (3/7)

通常総会
 JA全中の通常総会は3月7日、東京都内で開き、新年度の事業計画などを決めたが、来賓あいさつも議案審議も全農チキンフーズの鶏肉偽装事件と牛海綿状脳症(BSE)の問題で持ちきりとなった。また、JA全農の大池裕会長が特別発言を求めて謝罪した。質疑では全中執行部が、事業の総点検など全農の再発防止策を説明。全中としても生産過程をガラス張りにする「安心システム」の確立に改めて本格的に取り組むなど、きちんとした対策を打ち出し、JAグループ全体で信頼回復の運動を強力に展開していく考えを示した。

 総会では原田睦民全中会長があいさつの最初に偽装事件を取り上げ、「食料の安全・安心を掲げるJAグループの中から国民の信頼を裏切る行為が生じたことに憤りと情けなさを感じる」と述べ、国民をはじめ、来賓出席した日生協の竹本成徳会長らに陳謝した。
 また再発防止に万全を期して、地産地消など「国産品を愛用してもらう運動を展開する」と語った。
 来賓あいさつでは遠藤武彦農水副大臣が「売れればよいのか、安ければよいのか」と問いかけ、「倫理の座標軸がずれていることを厳しく反省しなくてはならない」と指摘。全国農業会議所の檜垣徳太郎会長も「信頼回復の第一条件は厳正なモラルの確立だ」とした。 竹本日生協会長は「雪印食品などの不正表示は消費者ばかりか、生産者をもあざむく犯罪といってよい。チキンフーズ事件は、信用と信頼の上に築いた協同組合間提携の取り引きだっただけに残念の極みだ。社会的にも混乱と不信を与えたことを深く反省し、失われた信頼と名誉の回復へ向けて組織をあげ、こん身の力をもって立ち上っていただきたい」と求めた。
 これを受けて大池全農会長が謝罪し「信頼を回復すべく最善を尽くす。責任問題については私自身を含め厳しく取り組む」と発言した。全農はすでに会長を本部長とする対策本部と、その中に調査委員会を設置。調査や自主点検を始めた。

 議案審議では各代議員から「BSEは国の責任だ。チキンフーズ問題が起きたからといってBSE対策を求める運動のホコ先を鈍らせてはならない。何の罪もない農家の苦境を救い、畜産を守るために全中トップは運動の先頭に立つべき。最近の全中は農水省に対して行儀が良過ぎる。毅然としてグローバリゼーションの波に流されず、食料主権を守る運動を進めるべきだ。今回の事件をテコに新たな運動展開のエネルギーを呼び覚ましてほしい」などの発言があった。
 これに対し全中執行部はセーフガードやWTOの問題もあり、組合員に根ざした運動を消費者の理解を求めながら展開していくと答えた。

 総会は14年度の事業計画や予算などを決め、JA全国監査機構の監査委員長にアサヒビール監査役(元朝日監査法人理事長)の森田松太郎氏(73)を選任。これによって全中理事は1名増となった。JA全国監査機構は4月に発足。全中と都道府県中央会は今年12月期決算から一元的に監査を実施する。
 なお、議事に先立ち13年度優良JAのJA枚方市と、また功労者を表彰した。


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