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農政・農協ニュース

従来の枠組みを超えた多相な取引が重要に
――フードシステム異業種交流会 (3/12)

フードシステム異業種交流会
 (社)農協流通研究所が主催する「第8回フードシステム異業種交流会」が、3月12日に、JAなど生産者、流通、食品製造、外食などサービス業など関係者約150名が参加して、東京・港区のホテルフロラシオン青山で開催された。

 交流会は、阮蔚・農林中金総合研究所副主任研究員が「WTO加盟後の中国の野菜農政」について講演したあと、「これからの食材はどうなるか、輸入と国産」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
 阮蔚氏は、中国農業は、日本などに比べ生産性が低いので「農業大国ではなく農業人口大国だ」とし、中国のWTO加盟によって穀物類の輸入が増え、中国農業は打撃を受けるだろう。その結果、現在、1億5000万〜2億人といわれる農村地域の余剰人口がさらに2000万人近く増えるのではないかと予測した。
 中国の野菜輸出については、42%が日本向けだが、生鮮野菜は増えておらず、調整・加工品輸出が伸びているが、それは日本における調整・加工品の輸入量の伸びと合致している。中国農業には日本のマーケットを開拓する能力は小さく、日本企業による開発輸入によるもので、調整・加工品の輸出はさらに増えるだろう。また、中国の輸出野菜価格は上がっておらず、リスクは農家が背負っていると述べた。

 パネルディスカッションは、藤島廣二東京農大教授をコーディネーターに、小泉嘉美JA富里町販売課長、宮垣和正JA全農園芸販売部長、高橋勝男東京築地青果専務、藤井滋生イオン農産商品部長、堀埜一成サイゼリア商品三部長がパネリストとして参加した。
 小泉課長は、野菜価格が低迷しており、所得の安定を求める生産者は契約販売への志向が強くなっている。JAとしても、実需者に近いところへの販売や地産地消などきめ細かい対応が必要になっていると述べた。
 宮垣部長は、調理しない主婦が増え、外食や惣菜・加工へ食がシフトしているが、JAグループは加工などへの対応が弱いこと。過度な価格競争によって輸入野菜が増大していると述べるとともに、今後は、トレーサビリティ、加工に適した品種の開発、農家ががんばり地域が活性化するような消費の拡大に取り組むことが必要だと述べた。
 藤島教授はまとめとして、国産野菜を守るためには、国内農業と食品産業の連携が重要であり、契約取引のモデルはまだ煮詰まっていないが、さまざまな取引方法があるので、従来の枠組みを超えた多相な契約取引がされることが重要ではないかと述べた。


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