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農政・農協ニュース

徹底した体質の改革へ
再発防止策をまとめる−−JA全農 (3/28)

記者会見

 3月28日の臨時総代会には、全農チキンフーズ(株)問題調査委員会がまとめた報告書が特別報告事項として提出され了承された。
 同報告書では、原料不足から輸入鶏肉を使用した偽装事件について全農チキンの関係部長、課長が直接に関わっていたことを認め、さらに同社の社長、専務も「今年1月下旬」ごろにこの事実を認識していたと新たな事実を明らかにしている。
 そのうえで、コープネット事業連合からの問い合わせに対して、2月25日、同社は輸入原料を使用したことは一切ないと虚偽報告した。JA全農の総代会後の記者会見ではこの虚偽報告を行うことを社長、専務も容認していたことも明らかにした。
 また、冷凍鶏肉では、コープネット事業連合が求めた賞味期限と出庫期限を過ぎた製品についてそれを出庫できるよう新たに包装し直し、加工日・賞味期限の打ち直しが行われていたことも報告されている。
 業界のガイドラインでは品質上の問題がないとされる賞味期限180日、出庫期限90日が、競争の激化に対応するためいずれの期限もその半分という厳しい条件に変更されたという。同連合向けにパックした商品のため、同社としては他社向けには販売できず、取り決めの期限を過ぎると在庫となることから、このようなリパックも行われていたという。さらに全農チキンから鹿児島チキンに対して、ロット管理を容易にするために同一出荷分については「同一加工日にそろえてほしい」との要請があり、1週間かけて製造したものであっても、すべて同じ加工日を付けていたことも報告された。
 こうした一連の事実について報告書は、JAS法、食品衛生法、景品表示法などの適用が想定されるとしたほか、債務不履行(契約責任)、不法行為などの損害賠償責任も想定されるとしている。
 原因については、(1)コンプライアンス(法令遵守)の軽視、(2)欠品へのこだわり、(3)コンセプトの継承意識の欠如(商品化担当者の退職後、商品設計のコンセプトが社内で風化)、(4)ブランド管理の周知徹底不足、(5)企画段階からの納期の困難さに対する認識の甘さ、を上げた。
 そして、責任の所在については全農チキンの担当者、管理者、経営者はもちろん、JA全農も親組織として責任を逃れることはできないとした。
 コンプライアンス確立に向けた課題としては、組織トップによるコンプライアンス意識の垂範、全農による経営管理組織の整備、協同会社の企業統治への取り組み、外部第三者機関によるチェック体制の構築などを上げた。
 報告を受けてJA全農は再発防止策をまとめた。
 全農グループの徹底した体質の改革を掲げ、(1)組織トップによるコンプライアンスの垂範、(2)協同会社を含めた事業総点検、(3)役職員行動規範の補強と徹底、(4)不祥事防止のため専門家を配置した専任機構を設置し、グループ取扱の食品についての実態把握と牽制機能の発揮、(5)欠品・余剰在庫に対する取扱いの明確化など品質管理関係マニュアルの見直し、(6)コンプライアンス機能の発揮度を加えるなど協同会社の業績評価基準の見直し、(7)協同会社の一元管理を行う管理組織の整備、協同会社の再編、などに取り組む。
 大池会長は会見で消費者、取り引き先、生産者などに改めて謝罪をし「全農そのものの組織機構、執行体制や関連会社の事業体制にもメスを入れる。徹底した改革に向けて努力する」と表明し、事件関係者の処分は4月中旬ごろとした。また、自身の進退と全農常勤役員の責任にも触れ、組織や機構などの見直しについて早期にめどを立てながら対応を考えていくことを明らかにした。


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