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農政・農協ニュース

情報公開の徹底や消費者の経営参画など
農水省が全農に業務改善命令 (4/12)

 全農チキンフーズ(株)による鶏肉の偽装表示事件で農水省は4月12日、JA全農に業務改善命令を出し、責任者の厳正な処分などを求めた。農協法に基づく命令で細目は27項目に及ぶ。内容は▽子会社を業種別などに統合し、全国本部で一元的に管理する▽消費者代表を経営管理委員と監事にする▽改善進行状況を3カ月ごとに報告することなど網羅的だ。この処分は全農滋賀県本部が原産地表示のない商品を販売した事件についても対象とした。
 処分理由は日本農林規格(JAS)法の品質表示基準違反だ。事件の要因は、内部牽制と内部監査の体制整備が不十分で、法令順守の意識が余り浸透せず、チェック機能が働いていなかったためとした。
 また、滋賀県本部では改正JAS法の周知が図られていなかったと指摘した。
 武部勤農相は、この業務改善命令書を12日、全農の大池裕会長に手渡した。
 主な改善措置としては▽専門的知識を持つ第3者を経営管理委員と監事に採用し、経営のチェックと業務監査を実施する▽経済連との統合で大きくなった組織にふさわしい業務執行体制の見直しなどがある。
 具体的には消費者、生産者から持ち込まれた苦情や問題が下から上へと円滑に報告されるよう内部体制の風通しをよくすることなどを挙げた。
 また県本部が管理する子会社を含め、一元的に子会社の経営管理をする独立した組織を全国本部に設置することや、1人の役員が兼職できる会社数を制限することを求めた。
 次いで信頼回復のための措置として、消費者代表や連合会役員ではない生産者などを経営管理委員や監事にして全農の経営に参画させること、子会社でも同じように社外取締役や社外監査役に採用する措置を考えることを提起した。
 さらにインターネット利用やディスクロージャー誌の発行、苦情相談窓口の設置など多様な手法で徹底的に情報を開示することを強調した。
 このほか遅くとも平成15年度までに子会社との連結決算を導入すること、全農による子会社監査の実施なども求めた。
 なお鹿児島くみあいチキンフーズ(株)の虚偽表示事件については鹿児島県経済連に対して業務改善命令を出した。内容は全農向けとほぼ同じだが、改善措置の進行状況の報告は半年ごとに行うとなっている。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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