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農政・農協ニュース

JA全農 刷新対策を打ち出す
会長らトップ4人の辞任決定 (4/25)

大池裕会長
全農理事会後に記者会見する大池会長。「安心・安全な食料を提供していくという誇りをもって元気な全農を再構築してほしい」と辞任にあたっての心境を語った。25日午後、JAビル(東京・大手町)の記者クラブで。

 全農チキンフーズ(株)の食品表示違反の責任をとってJA全農の大池裕会長、森口旻副会長、堀喬専務、三村浩昭常務は7月下旬の任期を待たずに辞任する。また木下順一副会長、四ノ宮孝義専務は3カ月間の減給20%、他の常務4人と常任監事5人は2カ月間の減給10%処分とした。4月25日開いたJA全農理事会でこれらの措置を決定した。
 7月の役員改選までは木下副会長が会長代行となる。事件関係職員に対する措置は、このあと別途に厳正な処分をすると決めた。
 この日の理事会は「消費者と生産者の信頼を取り戻すためには、子会社を含む全農グループの体質の改革と役職員の意識改革が不可欠である」として「全農グループの組織・事業の刷新対策」骨子案も決めた。
 これは農水省の業務改善命令と、全農が先に打ち出した再発防止対策などを踏まえたもので、内容は(1)事業運営の改革、(2)子会社などの経営管理体制の強化、の2本柱からなる。
 (1)については、常勤役員と幹部職員の人事を大幅に刷新する。発令は任期満了にともなう7月の新役員選出後となる予定。
 また経営管理委員と監事に外部から専門家や消費者代表などを登用する方向。全農は7月以後、経営管理委員会制度を導入するが、消費者代表などの委員登用は規定していなかったので定款変更を検討する。
 (2)については、子会社などを統括管理する専任部署を8月の機構改革とともに設置する。それに向けて5月1日に「関連事業グループ」を新設し、子会社などの管理体制を充実する。
 この骨子案をもとに今後刷新策を具体化するが、その内容は業務改善命令に対する全農の報告書のベースとなる。
 首脳陣の辞任は、森口副会長の場合、鹿児島くみあいチキンフーズ(株)の虚偽表示事件の引責で同県経済連の会長と理事を辞任したため全農理事も25日付で辞任した。しかし大池氏は全農会長を4月末日付で辞任するが、全農理事としては任期満了まで務める。堀専務は4月末日付、三村常務は5月末日付で退任する。
 大池会長は25日の理事会後の記者会見で「生産者、消費者、取引先、JAグループ各位に改めて深く、おわび申し上げる」と陳謝し、次のように語った。
 「食料は何よりも安全・安心をモットーにしている。それを全農が背負っていることを(役職員が)自覚し、誇りを持って、信頼回復に向け“元気な全農″を再構築してもらいたい。それを願って退任する」
 「全農は経済連との統合とともに構造改革を進めなくてはならない。改革・挑戦・リストラの実現を急ぐために『組織・事業の刷新対策』骨子案を作ったが、具体化は今後の課題だ」
 「子会社は250社あり、統合・整備に時間はかかるが、効率化・合理化を迫られている。このため骨子案で提言をまとめた」。


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