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農政・農協ニュース

設備投資は凍結、工場稼働率30%に
――日本ハム (8/22)

 日本ハムは牛肉偽装の責任を取って大社啓二社長(46)を専務に降格、創業者の大社義規代表取締役会長(87)を辞任させるなどの社内処分を20日発表した。新社長には営業本部長の藤井良清常務(62)が今月末までに昇格する。一方、子会社の日本フードによる偽装は1・3トンだけでなく新たに愛媛営業所で3・5トンが発覚したとの社内調査結果を発表した。
 大社社長は同日、東京で記者会見。問題の「根本にはグループ内に売上げや収益の強すぎたことによる順法意識の希薄化と、閉鎖体質があった」とし「この企業風土を抜本的に改革すべく経営監視や監査の体制を徹底的に見直し、第二の創業の気持ちで出直したい」と語った。
 社内調査で新たにわかった事実は、BSE対策の買い上げ補助事業の対象にならない申請が、愛媛の偽装のほかに155キロあったという。うち12キロは国産牛肉に混入した骨で、あとは重量計算の間違い。
 これとは別に輸入牛肉が混入した可能性が否定できない申請と、国産牛肉の品質保持期限切れの可能性がある申請が計624キロあったが、伝票紛失などのため確認できず、農水省の全箱検査を待つことになる。 合わせて129事業所のうち8ヶ所で不適切な申請をしていたとわかった。
 処分は偽装と隠ぺいを事前に知っていた東平八郎副社長と庄司元昭専務が引責辞任。本体では代表権を持つ全役員5人がこれを返上。また日本フードも社長、専務、常務3人が引責辞任し、偽装を指示した姫路、徳島、愛媛の3営業部長は懲戒解雇となる。
 また3営業部は閉鎖するが、大社社長は「従業員計75人は配置転換などで雇用を守る」とし、また上部からの「組織的な指示はなかった」と語った。
  一方、日ハム商品の撤去は加工品500トン、加工食品545トン、食肉500トンにのぼり、取引チェーンも半減。売上高はハムソーセージが前年比60%減で工場の稼働率が約30%に落ち込んでいる。加工食品と食肉の売上高もそれぞれ半減した。
 このため茨城工場増設計画の中止など設備投資は凍結し、不採算事業からの撤退も今後検討する。
  資金繰りは農林中金、三井住友銀行など主な取引金融機関との間で設定している特定融資枠(コミットメントライン)500億円、当座貸越枠400億円について大社社長は「ご了解をいただいている」という。 同社は前身の徳島ハム(株)から一兆円企業に成長し、無借金経営で知られる。農林中金は大株主だ。
 大社会長はプロ野球日ハム球団のオーナーであり、去就を問われた社長は「父は人一倍の野球好きだからこれ(オーナー職)だけは‥‥」と声を詰まらせ「続けさせていただきたく、お願いします」と涙ぐむ記者会見の一幕もあった。
なお会長は日本ハム・ソーセージ工業協同組合理事長など業界関係のすべての役職から退く。


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