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農政・農協ニュース

農地保有による株式会社参入は認めず
全中が「特区」対応方針 (10/3)

 構造改革特区で株式会社が農地を所有して農業に参入することを認めないという考え方をJA全中が3日打ち出した。特区が「株式会社一般の農業参入に道を開くものにならないこと」を大前提に、参入する場合は▽耕作放棄などが深刻な市町村に限定する▽行政などが耕作放棄地を企業に貸す方式をとる、などの条件をつけ、企業の農地所有はあくまで認めないという方針だ。
 参入の際は市町村と協定を結ぶなどして、農地の荒廃や無秩序な転用を防ぎ、また参入企業が地域の実情に合わせた農業経営をするような措置を講じることとした。
 一方、市民農園など都市住民の農地利用は、農村との交流を盛んにする点で重要だが、これに「特区」として対応するのか、今の制度を改善して円滑化するのかを十分検討しなければならないとした。
 地方公共団体などの農業関係の「特区」提案は(1)株式会社の参入を認める(2)都市住民が小さな農地を保有して農業をする(市民農園など)ことを認める(3)グリーンツーリズムを促進するの3つに分類される。
 これに対し農業現場からは(1)家族農業を基本とする耕作者主義の否定につながる(2)水管理など集落機能の弱体化につながる(3)参入企業が撤退すれば農地が荒廃する農業外の資本に経営を支配される(4)農地が投機的に取得される、との強い懸念が出ていた。
 このため全中は3日の理事会で「考え方」として特区への対応方針を決め、政府に要請する。
 なお全中は、特区提案を地方公共団体などの切実な事情を背景にしたもの、と見て「JAグループとしても重要な課題として受け止めたい」としている。


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