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農政・農協ニュース

生産資材仕入れの根本的見直しなど
全農役員のJA訪問で出た要望 (10/18)

 JA全農は新執行体制になった8月下旬から常勤理事9人が全国100JAを訪問し、組合長はじめ役職員と懇談したが、その中では生産資材引き下げの要望や意見が多かったなどのまとめを17日の経営役員会に報告した。
 これによると、農畜産物の価格低迷による農家所得の減少に加え、生産資材の安売り店が各地に進出していることから、すべての会員・JAが引き下げについて意見を出した。生産資材の仕入れを根本的に見直し、ホームセンターやディスカウントストアに負けないようにがんばってほしいとの声が多かったという。
 引き下げの方法では、仕入れの強化により、地域実態に即し、迅速な市況対策、諸奨励金の価格参入、地域別価格の設定,大口ロット価格の導入などを実施してほしいとの意見が出た。
 一方「安全・安心」では食品偽装や無登録農薬の問題からくる生産現場の苦しみから、トレーサビリティの確保が求められた。
 全農の販売事業に対しては、全国的な需給調整による価格安定や直販機能の拡充による販路拡大を求める意見が出た。
 このほかJAバンク自主ルールによって、経済事業の収支均衡がJA経営の重要課題となっているため、とくに生活関連事業を中心に運営・経営指導の拡充や店舗チェーン化の推進を全農に期待する声も出た。
 今回まとめた意見と要望は、すぐに対応できるもの、3か年計画に反映して取り組むものなどに整理して実現をはかる。また、この懇談会の試みは今後も続けていきたいという。
 なお無登録農薬や安全に関連した要望に対して全農は残留農薬の分析体制を確立するため営農・技術センターの検査室の拡充とあわせて、県域でも外部検査機関を計画的に活用する体制づくりにとりかかった。以下は主な意見の概略。
 《安全・安心の確保》
 トレーサビリティに経費がかからないようにしてほしい▽全農安心システムを取り入れたいが、農家の入力が簡単にならないか▽流通段階の履歴を消費者に示す手法の検討を。
 《販売力の強化》
 系統共販は生産者にリスクを負わせる受託方式であるため、販売力も育たないし、安定生産もできない。買い取り方式に改めるべし▽産地間競争でなく、全国一本で販売すべき▽県本部を米・麦・大豆の販売主体に▽県間リレー出荷方式の積極展開を▽全農センターの評判が悪い。仕切値がどこの市場よりも安い▽学校給食と直売所は全農を通さず直接販売したい。
 《資材価格引き下げ》
 競争相手は県域を越えてくる。広域での価格政策を要望する▽小さな業者は価格を安くできる。なぜ全農ができないのか▽水稲中心の価格体系になっているが、商系は園芸も考えて体系を組み立てている▽資材を本当に安くするには全国本部と県本部の機能を大胆に見直さないと難しい▽購買システムを変える必要がある▽段ボールは競争入札などにして安くすべき。全農指定メーカーが安値を出している。全農は原紙購買に特化し、製品は地域に任せるべし▽メーカーの営業所にはヘルプ農機より安いのが出ている。部品の海外生産ができないのか。
 《コスト削減》
 飼料価格が高いのは、農家が必要とする以上の栄養価の製品を作るからだ▽有機入り慣行性肥料の開発を▽環境と調和した資材の開発を▽広域物流対策を早急に▽全農通いコンテナを全国的に拡大すべし。
 《JA事業への支援》
 専業農家には品目ごとの営農担当が必要だが、合併JAは扱い品目が多く専門的に対応できない。指導・助言がほしい▽JAグリーンの全国チェーン化促進を▽生活の商品も全農を通すと高くなるとメーカーからいわれた▽石油価格が高い。現行10円の手数料を12円に。市況対応が遅い▽葬祭・介護事業にシフトするが、全農の開発力に期待する▽食材が地元業者に比べ全般的によくないと聞く。冷凍食品にアレルギーがある▽Aコープ店に加盟しない店舗への対応も要望する▽集落営農の法人化を法務税務で指導できる人材を派遣してほしい。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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