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農政.農協ニュース

記帳運動を確認
トレーサビリティで活発な議論
―全国消費者大会の食分科会― (11/25)

消費者大会の食分科会=25日、東京・オリンピック記念センター
消費者大会の食分科会=25日、東京・オリンピック記念センター

 今年の全国消費者大会は25日東京都内で開き、食の安全と安心を考える「食分科会」では生産者と消費者の交流を深めた。川上までさかのぼって食品の履歴情報を消費者に提供するトレーサビリティについてはJA全農大消費地販売推進部の原耕造農畜産物検査・認証事務局長が説明した。この仕組みの導入はすでに始まっているが、これからは供給の拡大に対して「消費者がどういう行動をとるか。積極的な消費者のアプローチがほしい」と原さんは訴えた。
 一方、「中国は輸出野菜の残留農薬問題を数年で解決する可能性がある」という見方も語った。日本での問題発生後、中国は国策として生産管理の徹底を図っているからだ。トレーサビリティシステム導入も必至だし、数年後には証明書付きで無農薬農産物や有機野菜などの輸出攻勢をかけてくるだろうという。
 日本の生産者としては、作物だけではなく、産地全体のトレーサビリティ確立を「消費者の目に見えるようにする必要がある」と原さんは説いた。地域の昆虫など生き物調査もし、産地全体で環境に優しい農業を展開していることをわかるようにしなければならないとの考え方だ。
 この分科会にはJA全青協などから参加した生産者の発言も活発で「トレーサビリティがこと新しくいわれているが、生産履歴がわかるように記録をとっておく運動は以前からやっている」(青森)、「記帳は問題が起きた時にも役立つ」(埼玉)などの報告があり、生協組合員は「生協は取引に際して生産記録を求めている。記帳は時代の要請でもある」とした。
 分科会はリスク管理の有効な手法としてのトレーサビリティを確認。さらに履歴情報の検証では質問に答えて原さんが、専門検査員によるチェックや認証部会の審査など全農独自の検査認証制度を説明した。
 同分科会は最初に、政府が内閣府に設ける食品安全委員会(仮称)設立等準備室の梅津準士内閣審議官らが食品安全行政の改革について説明。「食品安全では供給側の責任とリスク管理が重大」と強調。「食品安全基本法案では、事業者の一義的な責任を明記する」などと説明した。
 また質問に答えて▽食品安全委員会は事業者と消費者の利害調整の場ではなく科学的なリスク評価の場だから、委員7人の中に消費者代表を含めるのは不適切▽委員会には国会説明や農水・厚労両省への勧告、危機管理の役目があるため担当大臣が必要などとした。 これに対して消団連の神田敏子事務局長ら参加者たちは重ねて、消費者の納得のいく形で委員を人選することや、また食品安全基本法の目的に「食品安全は消費者の権利」であることを明記するよう要望した。
 また分科会では同委員会に対応する機構を自治体に設置させる消費者運動が必要との提起もあった。
 無登録農薬や残留農薬の問題も議論となり、大多数の生産者たちが「安全」へのたゆまぬ努力をしていることが話題となった。
 大会は「食」を含め「IT(情報技術)」など計7分科会があり、2日間で参加者は延べ1200人。
 1日目は代々木公園内、2日目はJAホールで開き食の安全を求めて7団体代表がリレートーク。島根県農協青年連盟の田原洋司委員長は「記帳運動に取り組んでいく」と表明した。
 また大阪代表は「コメの需給調整や価格維持は国の責任で行うべき」と農水省のコメ政策改革方向を批判した。このあと食品安全行政の充実などに向けた大会アピールを採択した。



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