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農政.農協ニュース

「八女茶」偽装で業務の一部停止命令
農水省が全農に (1/16)

 
JA全農木下順一会長に業務の一部停止命令と改善命令を出した大島理森農相
 「八女茶」の偽装で農水省は1月16日、JA全農に業務の一部停止命令と改善命令を出した。大島理森農相は全農経営管理委員会の木下順一会長らを呼び「食の安・全安心が求められている現在、生産者の組織である全農が3度目の事件を起こしたことは許されない。命令を誠実に実行し、責任者を処分して国民が納得できる改革をしてほしい」として農協法(95条)に基づく命令書を手渡した。農協の全国連合会に対する業務停止命令は初めて。全農福岡県本部による茶の加工、製造、販売などすべての業務は20日から5日間停止となる。 農相は「農協の全国団体はむしろ他の企業に対して指導的立場にある。そこを考えてもらわないと困る。巨大全農の職員の意識改革が重要だ」とも述べた。
 命令を受けて全農の田林聰理事長は「福岡県本部の茶の加工・製造部門を八女農協に移管し、その業務から撤退する考えだ」と記者たちに語った。
 また木下会長は「まことにお恥ずかしいことながら、弁明の余地はない。まずは生産者と消費者、関係者にご迷惑をかけたことをおわびしたい。お茶だけでなく事業の全てを総点検し確実に誠実に命令を実行していく」と決意を述べた。
 全農は先に千切り大根と全農チキンフーズで不正表示事件を起こして点検を実施。その中で福岡県本部は八女茶の違反表示を把握していながら全国本部にはウソの報告で隠していたが、内部告発でばれた。
 このため今回の業務改善命令は、自己申告に任せないで、表示などのチェック部署が現場に出向いて立ち入り調査などを実施することを具体的に指示。また産地や原料を特定した製品はその現業部門以外の者が伝票などをチェックして正確な点検ができるようにすることを命令した。
 さらに全農と各県経済連との統合が進んだが、県本部を指導する全国本部の監督体制を問題視し、体制の抜本的見直しを求めた。各県本部が同一の基準と手続きに従って課題に対応する点でも適切でなかったのではないかとも指摘。役職員の意識改革も求めた。
 福岡県の「茶処八女で育った」と表示しながら実際には熊本県などの茶葉を使っていたJAS法違反が処分の理由となった。
 またエフコープ生協からの依頼で製造した「煎茶八女茶」などの包装に「星野村産の良質の一番茶を100%使用」、「星野村に産地を指定」と表示しながら実際には平成11年から、熊本・宮崎・鹿児島県産の茶葉を使用。全農チキンフーズ事件で改善命令が出たあともJAS法違反を続けていた。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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