JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

農政.農協ニュース

米国の農業団体もWTOへの自国提案を批判
JAグループ代表団と意見交換 (1/13)

 JA全中の宮田勇会長らJAグループ代表団は1月13日米国のワシントンDCで、ファーム・ビューロー連盟(同国最大の農業団体)のストールマン会長と意見交換し「米国は農業法で農業保護を強める一方、他国に対しては大幅な保護削減を求めており、理解に苦しむ」などと質した。
 ストールマン会長は「自国の農業について主権を保持すべきだとの考え方に賛同する」と述べるにとどまり、話を主権保持に必要な非貿易的関心事項や多面的機能に移して、それらは「緑の政策として実現すべきだ」と米国政府と同じ主張だった。
 また関税を大幅に引き下げるWTOへの米国提案について日本側が「日本やアジアの市場を中国や豪州などに奪われる可能性が高く米国の利益にはならない」と指摘したが、ストールマン会長は米国の関税は低いとし「他国との不公平を修正することが大切」と述べ「米国提案を強く支持」した。
 ファーム・ビューロー連盟は大規模経営の団体だが次いで家族農業者の団体である米国ナショナル・ファーマーズ・ユニオン(NEU)のバイアス副会長とも意見交換し、こちらでは多くの一致点があった。バイアス副会長は次のように語った。
 米国提案は、生産者よりも穀物商社などのアグリビジネスの利益を代弁するものである。こうした懸念を政府と議会にねばり強く伝えていきたい。
 多面的機能は、米国農業法でも環境や地域社会の保全といった形で具体化されている。政府は多面的機能という言葉を使いたがらないが、その必要性は国内でも認識されている。
 米国でも中国リンゴの輸入急増をはじめ中国や南米からの安価な農産物輸入が増えている。米国への輸出国の中には、米国と同じような環境対策コストを負担しない国があり、労働基準の劣悪なところもある。こうした側面について政府と議会に強く働きかけたい。
 なおNEUは19州および地域段階のファーマーズ・ユニオンを会員とし30万農家を代表する農業団体。
 
アジア・EU農業団体会議の収穫は大きい
宮田JA全中会長

 JAグループ代表団は帰国後、16日のJA全中理事会に海外活動を報告した。また、本紙に対して宮田JA全中会長は、その成果を次のように語った。
 アジア・EU農業団体会議は、柔軟性のある緩やかな方式で農産物貿易の自由化を進めようと確認した。WTO農業交渉は3月末のモダリティ確立へ山場を迎えるが、その重要な時期に会議参加国の農業団体が共通認識でまとまった。なによりもアジアとヨーロッパの農業者リーダーがEU加盟予定国代表も含めて初めて会議を開き、お互いに理解を深めた意義は大きい。米国の農業団体にもいうべきことはいった。
 なお代表団は全中、全農、全共連、滋賀県中央会の各会長と全中専務で構成。



農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp