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農政.農協ニュース

15年度酪農・畜産物対策決める
―農水省 (3/18)

 農水省は3月13日に開かれた「食料・農業・農村政策審議会畜産物価格等部会」の答申を受けて、加工原料乳生産者補給金単価の対前年引き下げなど15年度の畜産物価格と関連対策を決めた。
 大島農相は同部会に指定食肉安定価格や肉用子牛保証基準価格など食肉関係の行政価格は、前年据え置きとしたものの、加工原料乳生産者補給金については、1kg26銭引き下げた10円74銭、限度数量も10万トン減の210万トンと諮問。同部会はいずれも諮問どおりの内容を答申した補給金単価は13年度は1kg10円30銭だったが、BSE発生の影響を織り込んで14年度は70銭引き上げて同11円とした。
 15年度の引き下げについて、農水省は配合飼料価格の増加というコスト上昇はあったものの、雄子牛や廃用牛価格はBSE発生による下落から回復していることなどが要因となったと説明。また、限度数量については14年度は14万トンの未達となる見込みのため、14年度より削減となった。

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 畜産・酪農の状況は、BSEの発生で暴落した牛肉や子牛などの価格が昨年秋口には発生前の水準に回復している。ただ、数字上は立ち直ったかのように見えるが安全確保対策のための負担増やWTO交渉の行方への不安などから「経営回復の実感がない」のが現場の声だ。
 また、16年11月の家畜排せつ物法の本格施行をひかえて、施設の整備や耕畜連携の推進などの課題もあるほか、生乳需要では加工乳・乳飲料の消費減退から脱脂粉乳が7万5000トン(14年12月末、対前年比18・9%増)の過剰在庫となっておりその対策も求められている。
 そのため関連対策が焦点となったが、環境対策として特別プロジェクトによる総合対策や脱脂粉乳在庫処理のための支援、死亡牛のBSE検査などBSE関連での支援策などが盛り込まれた。事業規模は合わせて1000億円を超える見込み。おもな関連対策は以下のとおり。
【環境対策】(特別プロジェクトによる総合的計画的取り組み)
 堆肥化施設や浄化処理施設などをリースするのに必要な機械・装置の導入を促進。農水省と全中が共同で「畜産環境整備促進特別プロジェクト」を設置し、施設の稼働状況、整備推進上の問題点の分析と把握を行う。
【優良乳用雌牛の確保、改良】
 BSEの影響で乳用牛更新の遅れや泌乳量の低下など乳用牛改良に混乱が生じているため、優良な雌牛による交配または受精卵移植の高度利用による優良後継牛群の整備のための情報分析などへの助成措置。
【生乳の総合的な需給調整対策・酪農経営対策】
(脱脂粉乳在庫処理のための支援)
 脱脂粉乳在庫を減少させるため1万トンを対象に、実需者が競合原料と置き換える場合の取引差額の一部を助成。
(液状乳製品対策、チーズ対策、とも補償対策の継続)
 脱脂濃縮乳、生クリーム等液状乳製品向け生乳の生産・需給を拡大し、脱脂粉乳向けの生乳を抑制するため、液状乳製品向け生乳の取引拡大奨励金へ助成。国産ナチュラルチーズの生産振興のための助成。生産者団体による需給調整、とも補償による余剰生乳の効率的な処理への助成。
【食肉流通対策】
 牛肉トレーサビリティの円滑な普及を図るため、中小食肉販売業者や外食事業者の情報伝達機器類導入促進のリース事業。耳標の作成、配布、個体識別情報の入力など個体情報提供システム構築への助成。
【BSE関連対策】
 死亡牛のBSE検査費用、適切な処理などへの支援、一時保管施設整備への助成。BSE患畜を飼養していた農家の経営再建支援。BSE発生地域における影響緩和策への支援など。 (2003.3.18)


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