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農政.農協ニュース

国産食材の安定取引拡大を議論
農流研が異業種交流会 (3/18)

 川上から川下へ5段階の業種が取引上の問題点などを話合う「フードシステム異業種交流会」を(社)農協流通研究所が3月18日、都内で開き、「国産原料食材の安定取引の拡大に向けて」をテーマにパネルディスカッションをした。
 JA常総ひかり(茨城)の関久一・営農部長は「市場出荷は価格の上下で契約が変わる。どちらにしても泣くのは農家だ。約束通りの取引が求められる。しかし農産物は自然条件によって作況が狂う。出荷できない時の代替確保が必要だ。とにかく信頼関係の構築が重要」と主張した。
 また「計算のできる農業経営を目指して契約栽培の果菜品目を増やし、コメも全農、丸紅と契約、トレーサビリティ・システムを導入した」とも報告した。
 輸入原料食材との比較では「規格の簡素化がさらに進めば国産食材の取引拡大につながるのではないか。簡素化の進展は外国に比べるとまだまだダメ。外観にこだわらなければ価格をもっと下げることも可能ではないか」と指摘した。
 東京青果(株)個性園芸事業部の澤田勇治副部長は「価格が毎日上下しては量販店の販売が困難となるため、卸市場ではせりが減少し、今では80%が相対取引だ。代替産地はいつも2、3を用意している」と述べた。
 関部長は「以前は、雨や風の日は収穫しないといった農家があったが、今はそんな意識が変化している」とし、澤田副部長は「とにかく契約実行。これを進めていくこと」と強調した。
 惣菜メーカー・利恵産業(株)の石田弥専務は「冷凍で輸入される外国品に対し、国産食材はやはりチルドが良い。またインターネットでオープンにすると取引しやすい。とにかく、その産地独特のものが強い。それをつなぐ産地間(リレー)協力も重要」とし、さらに「無理な数量の確保は表示偽装を引き起こす」との論点も提起した。
 JA全農大消費地販売推進部の中沢正良次長は「数量がそろわないと取引を打ち切られるという悩みが現場にはある。農畜産物にはものによって欠品があるという主張が必要」とした。
 日本外食産業名店会協同組合の溝呂木孝一理事長は「安く買えるコメがあっても組合で共同仕入れをするとコストが高くつくのでやっていない」などとの悩みを語り、また「外食よりも、惣菜などの中食が伸びている」と報告した。
 最後にコーディネーターの東京農大国際食料情報学部・藤島廣二教授が討論をまとめ「産地としては難しくても差別化に取り組み、独自性を出すこと。安易な手法に流されないこと。契約取引の安定化には信頼関係を高めること」などと述べ、また卸売市場の調整機能の重要性も指摘した。
 同交流会は最初に石田専務が惣菜メーカーとして問題提起をし、その中で「スーパーは惣菜を内製化する場合、私どもにノウハウを聞いてくるが、今後の取引を考えると、教えないわけにはいかず、困っている」などとバイイングパワーの強さも語った。(2003.3.25)


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