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組合長の不正を止めなかった役員にも責任負担求める
−岡山県大原町農協事件 (10/2)

 組合長一族が組合資金を不正運用して約44億円の債務超過となった岡山県大原町農協(正組合員戸数約400)は9月14日解散、10月末には清算法人に移行して資金回収と組合長らを相手取った裁判を続ける。
 10月2日のJA全中理事会で経過が報告された。岡山県は昨年11月1日に同農協の公的管理命令を出したが、これはペイオフ一部解禁後、初の命令発出だったため、JAグループは組合員らの貯金の全額保護を図ってペイオフ第1号を系統から出さないようにと4日後に貯金71億円余を隣接の勝英農協(1万110戸)に移転した。
 そのために貯金保険機構とJAバンク支援協会(旧全国信連協会)という系統安全網による勝英農協への債務解消などもした。
 管理人によると、前組合長らは米国の詐欺師集団に20億円をだまし取られた。米国の投資会社を通じて農協資金を米国債券で運用するために送金したが、その投資会社は実は幽霊会社で主犯格2人はすでに米国内で逮捕されている。
 また農協保有の国債(額面20億円)を、農協の子会社を通じ無担保でサラ金会社に貸し付け、前組合長の次男(農協理事)の経営する会社が融資手数料1億6000万円をサラ金から受け取っていた。
 さらに長男(同)は大阪の食品会社を買収する資金として農協資産12億円を送金し、これを隠すための経理処理をしていた。
 うち回収済みはかなりあるが、弁護士でつくる責任解明委員会は、組合長と長男を業務上横領で、また次男を出資法違反で告訴。併せて損害賠償と不当利益返還を求めて民事訴訟を起こし、審理中となっている。
 一方、不正を止められなかった旧役員35人には、役員責任拠出金5400万円の負担を求め、2900万円を回収した。これに応じない2人には損害賠償請求を地裁に提訴した。
 職員責任も厳しく追及して、前参事と職員13人からそれぞれ退職金の一部を受け取っている。  (2003.10.7)

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