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生産資材値下げなど事業と財務で目標設定 経済事業改革指針 (11/11)

 JA全中は経済事業改革の指針を11月11日の同改革中央本部委員会でとりまとめた。指針は事業目標と財務目標を掲げ、今年から3年間で実現していく体制などを示した。事業目標の眼目は生産資材の値下げだ。
 これまで都道府県ごとの会議を重ねたが、経済事業の赤字をなくす財務目標と資材価格値下げの事業目標は「両立しない。どちらが優先か」などの意見が出た。 これに対し指針は収支改善と、値下げによる組合員メリットの実現は並行させる必要があるとして、物流改革などを挙げた。
 意見では▽物流改革だけでなく全農の供給価格を引き下げるべきだ▽奨励金の価格算入は容易でない▽規定手数料方式が競争力を失わせているというが、現行でも柔軟な設定ができるではないかーなども出た。
 これらを受けた事業目標は、それぞれのJAが▽物流を合理化し▽競合品の価格調査をした上で弾力的に価格を設定し▽大口需要への供給条件では組合員の合意を得る、方向を出した。
 規定手数料の決定過程の中では、ともすると弾力的に行えない場合があるため、その見直しを図っていく。
 供給高に対する物流コスト比率はJA段階で現在平均21%だが、これを15%程度に下げるという数値目標も示した。
 全農としては、競合品について地域別に価格を設定し、大口需要向け規格を開発・普及する。数値目標は大口条件で5%下げる。また同等品より10%安い低コスト資材の普及状況を点検していく。JAとしては注文をまとめて大口にしていく取り組みが必要となる。
 「農機事業は黒字化もできず、撤退もできない」との意見があるが、事業目標はJA単位でなく、県域一体化の拠点配置で収支を確立する対策を打ち出した。
 農機を含め物流、ガソリンスタンド、Aコープの収支改善と競争力強化は、拠点ごとの経営実態に基づき県域のマスタープランを策定。17年度までに収支を均衡させるのが目標だ。
 一方、農産物の販売戦略については、全農がコメと青果の大消費地販売センターを設置。JAの販売企画専任者と連携して実需者への直接販売を強化する。JA米の取り扱いを拡大する事業目標も掲げた。
 JAとしてはファーマーズマーケット(直売所)を設置し、また生産履歴記帳運動を展開。さらに品質管理責任者を養成して配置していく。
 財務目標は、すべてのJAが「農業関連事業」では共通管理費配賦前の事業利益段階で、また「生活その他事業」では純損益段階で3年以内に収支均衡を図ることを原則とした。
 これら部門損益が赤字のJAのうち、赤字幅が自己資本の1%以下のJAと、JA全体の収支が黒字のJAを除くJAに対しては県域の改革本部が個別指導する。さらに「農業」と「生活その他」の事業がともに赤字のJAは県域本部と中央本部が個別指導する。
 なお指針は、JAに改革プロジェクトを設置するなど実践体制の構築と進捗管理の実施も掲げた。
 あとに残された大きな改革課題には営農指導事業のあり方があり、その改革素案は来年1月28日の第6回委員会で協議する。 (2003.11.18)


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