農業協同組合新聞 JACOM
   

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担い手対応を営農・経済事業改革の柱に
初の「担い手対応強化JA経営者セミナー」開催
JA全中営農地域振興部・JA全農営農総合対策部 (11/25〜26)

◆減少しつづける地域農業の担い手

 今年7月に農水省が公表した「農業構造動態調査結果」によると、総農家戸数は298万1000戸で前年より4万7000戸減少し、300万戸を下回る状況となっている。このうち販売農家は220万5000戸。主業農家は44万8000戸で前年より1万5000戸、3.3%減少している。そして、農業就業人口は、368万4000人で前年より6万7000人(1.8%)の減少となっている。さらに65歳以上は206万7000人と56.1%を占め前年より0.7ポイント上昇し、高齢化が一段と進行している。
 このように地域農業の担い手が減少しつづけると、地域の農業生産が縮小するばかりではなく、JAの事業基盤そのものが崩壊し、JAの組織・事業運営が成り立たなくなる恐れもある。
 JAグループでは、第23回JA全国大会で、地域農業における担い手の明確化・共有化、担い手対策の取組強化、担い手への農地利用集積、担い手としての法人化への対応を内容とする「地域における担い手育成・確保と支援対策の実施」を決議し、最重点課題として取り組んでいくことにしている。

◆北海道から九州まで約100名が参加

メモを取りながら熱心に聞き入る参加者。壇上は挨拶する北本JA全農常務
メモを取りながら熱心に聞き入る参加者。壇上は挨拶する北本JA全農常務

 そのため、JA全中営農地域振興部とJA全農営農総合対策部は「大規模農家・農業生産法人など担い手支援に取り組んでいるJAおよび取り組み強化を検討しているJAを対象に、担い手対応強化策を提起するとともに、先進的なJAにおける実践事例をとおしてJAでの取り組み強化をはかる」ために、11月25、26日の二日間にわたる「担い手対応強化JA経営者セミナー」を、JA全農営農・技術センター(神奈川県平塚)開催した。こうしたセミナーの開催は今回が初めてだが、北海道から九州まで全国から約100名が参加し、関心の高さを感じさせられた。
 セミナーは、主催者を代表して北本孝也JA全農常務が「担い手対応強化を今後のJAにおける営農・経済事業改革の柱として検討して」欲しいという挨拶の後、森澤重雄JA全中営農地域振興部長が「地域農業の『担い手』をめぐる情勢報告」。高田彰二JA全農営農総合対策部長が6月の全農生産資材事業委員会で了承された「担い手対応の取組み強化策について」、稲富国広JA全農営総対部担い手対応室長が「モデルJAにおける取組み状況について」報告した。

◆専任推進担当者の配置で担い手との信頼関係を構築

 専任推進担当者を配置し、大規模農家・農業生産法人・営農集団など担い手への定期的な訪問巡回を行うことでニーズを把握し、個別企画提案型推進で、JAとの信頼関係を構築し、JA利用の拡大に取り組んでいる先進事例として、伊集院正美JAそお鹿児島参事が「農家対策特別班(TAF・タフ)」の、杉山忠雄JAはが野参事(栃木県)が「農家相談支援チーム(ACSH・あくしゅ)」の設置の経過と取り組み内容について報告した。
 セミナー2日目は(社)日本農業法人協会副会長でもある忠聡(有)神林カントリー農園社長(新潟県)が「農業生産法人からJAグループに期待すること」と題して記念講演をした後、全体討論を行い閉会した。
 セミナー全体を通して強調されたことは、従来の営農指導業務との兼務では本格的な担い手支援になりきらないこと。これを変えるには、JAトップの決断で本当の意味での推進担当の専任化をすることと、その活動を支援する関係各部門を横断する体制づくりが必要であり、そのことでJAと担い手との信頼関係を構築していく努力を積み重ねることだった。 (2003.12.3)


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