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WTO交渉 枠組み合意−柔軟性を確保 (8/1)

 7月末の枠組み合意をめざしていたWTO交渉は8月1日、農業分野を含む主要分野で加盟国が合意した。農業の市場アクセス分野では、関税削減で高関税ほど削減率を高める「階層方式」を採用するが、重要品目の扱いには配慮することや、その数も今後の交渉によって加盟国が決められるなどの内容が盛り込まれた。政府は今後の交渉に向け一定の柔軟性が確保できたとし、亀井農相と宮田JA全中会長は談話を公表した。

輸入国の立場 今後も主張 亀井農相談話

 わが国は「多様な農業の共存」を確立するための柔軟性があり、バランスのとれた農産物貿易ルールの確立をめざして交渉に臨んできた。
 今回の合意は今後のモダリティ交渉の基礎となる枠組みを確立しきわめて意義深い。合意はカンクン以降の各国の多大な努力の集成であり、WTOによる多角的貿易体制の発展、また、途上国の経済発展のためにも極めて重要であると認識している。
 この枠組みは、今後のモダリティ交渉のなかで非貿易的関心事項の適切な反映をはじめこれまでのG10の主張を実現するためのさまざまな柔軟性が確保されているものと考えている。
 わが国としてはドーハ閣僚宣言の目的の達成のため、引き続き、枠組み合意後の交渉のなかで、実質的な市場アクセスの改善を図りつつ、同時に、食料輸入国の主張を十分に反映した、バランスのとれた現実的なモダリティが確立されるよう建設的に交渉に貢献していく考えである。

今後の交渉の足がかり得る 宮田全中会長談話

 われわれは、政府・与党・農林水産団体による三者一体となった取り組みを行ってきた。あわせて、農業団体独自の取り組みとして大島議長に対するEU・カナダの農業団体との共同要請、G10農業団体との密接な連携を行ってきた。
 そのなかで(1)非貿易的関心事項の具体的な反映、(2)センシティブ品目に対する柔軟な取り扱いの確保、(3)上限関税や関税割当数量の義務的拡大への反対と特別セーフガードの維持、(4)自給率向上を可能とする国内支持の確保などを主張してきた。
 合意のなかで、センシティブ品目の取り扱いについて一定の柔軟性が確保されたことは成果であり、センシティブ品目の数や上限関税、関税割当の扱い等について、今後の交渉の足がかりを得ることができた。
 今後、再び厳しい交渉が見込まれるが、今後とも政府・与党との一致団結した対応ならびに主張を同じくする海外農業団体との連携をさらに強化し、「多様な農業の共存」を基本とする具体的なモダリティの確立に向け、組織をあげた取り組みをすすめる。また、国際化の進展に対応した思い切った政策転換と予算の抜本的な見直し、十分な財源確保に向け早急な取り組みを求める。 (2004.8.3)



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