農業協同組合新聞 JACOM
   
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集荷円滑化対策の確実な実施を
−全国会長会議で申し合わせ (9/1)

 16年産米の豊作が確実な情勢となるなか、今後の米価格水準が懸念されることから、JAグループは豊作分を主食用と区分して出荷する「集荷円滑化対策」への取り組みを徹底することを9月1日の都道府県JA中央会・全国機関会長会議で申し合わせた。
 農水省は今年6月末の在庫について、民間在庫207万トンと政府備蓄米60万トンの計267万トンで平成11年以降、最低の水準だとしている。
 しかし、15年産の作柄不良から卸は積極的に手当てをしたため、7月末の卸業者在庫は適正水準とされる30万トンを大きく超える45万トンとなっている。このため代金決済した米でも引き取りが遅れ産地倉庫などで在庫となっている量も少なくなく、実引き取りベースでの販売進度は75%(販売計画数量273万トン)となっている。昨年の同時期進度は86%だった。

■メリットを周知徹底

 こうした状況からJA全中では、今年10月末には30万トン程度の持ち越し在庫が民間で発生し、さらに16年産の過剰米区分出荷の取り組み次第では17年10月末には50万トン程度に在庫が増えると試算。今後、販売環境を整備するには、集荷円滑化対策の確実な実行が重要だとして申し合わせを行った。
 申し合わせ事項は、(1)生産調整方針に参加する全生産者に対して、作柄状況、集荷円滑化対策のメリットなどを周知徹底させる。(2)対策が必要なJAで△過剰米処理数量の適切な算定、△主食用と区分した確実な集荷・保管、△米穀安定機構への現物弁済を基本として主食用に還流させない処理の徹底、をあげた。
 集荷円滑化対策は生産調整方針作成者が米穀安定供給機構と契約を結ぶことになっているが、契約率は96%。今後はその実行が課題となる。
 過剰米の区分出荷は販売環境を整備して価格の安定を図るのがねらいで、現在取り組んでいる地域水田農業ビジョンを核とした水田農業の改革実現にとって重要な取り組み。
 同時に主食である米の需給と価格安定のため政府の役割も食糧法に位置づけられたことから、JAグループは9月6日以降、集荷円滑化対策の確実な実施に向けた支援や政府米買い入れなどを国に申し入れる。
 なお、今回の申し合わせでは、国の農業関係補助金は不可欠だとして、農業関係の補助金廃止に反対することを地方行政に働きかけることも盛り込んだ。
 
【集荷円滑化対策】
 豊作による過剰米を主食用と区分して出荷すると、60kgあたり3000円が米穀機構から生産者に融資される。その後、翌年の出来秋まで区分保管し現物で弁済すれば3000円の融資は返済不要。その時点でさらに生産者拠出金から60kg3000円が助成されるほか、集荷奨励助成(JAなどに区分出荷した場合のみ)として同1000円と保管料等経費助成同1000円も加わる。ただ、保管料等経費助成などをどう扱うかはJAが判断することになっている。
 米改革では、豊作になった場合は翌年の生産目標数量から過剰米数量が減少されることになっているが、過剰米が主食用以外に確実に処理されるとその分の数量は補正される。
 また、米価下落を補てんする稲作所得基盤確保対策の交付を受けるには、集荷円滑化対策への拠出(10アール1500円)を行い、過剰米の区分出荷に取り組むことが要件になっている。

(2004.9.3)



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