農業協同組合新聞 JACOM
   

農政.農協ニュース

米国にBSE調査団派遣−事実関係解明を最優先 (1/8)

 昨年12月に米国ワシントン州の農場で飼養されていた牛からBSE患畜が発見された問題で、日本からの現地調査団が1月8日に出発した。
 調査団は農水省、厚労省の職員で構成され、9日から14日にかけて、米国農務省(USDA)、米国食品医薬品局(FDA)、ワシントン州政府と意見交換するほか、食肉処理施設の調査も行う。またカナダ食品検査局、カナダアルバータ州政府との意見交換も予定されている。
 米国でBSE(牛海綿状脳症)が確認されたのは昨年12月23日。日本はただちに米国からの牛肉等の輸入禁止措置をとった。
 12月29日には米国農務省関係者が来日し日米会合が行われた。会合で米国側は「近い将来、輸出再開について話合う必要がある」と指摘したが、日本側は事実関係が解明されていない段階で「時期尚早だ」と主張した。
 当初、米国の説明では、感染牛はカナダ産73頭の輸入牛のうちの1頭で2001年米国ワシントン州で4000頭飼養している農場で飼われていたとしていたが、その後、輸入された牛は80頭を超えることが明らかとなるなど、感染牛の生まれた時期や場所、移動歴、飼料の給与状況など詳細な事実関係はいまだ明らかになっていない。日本のように牛一頭ごとに耳標をつけるなどの個体管理が米国ではなされていないなど、体制は整っていない。
 調査団は感染牛のDNA鑑定や飼料の給与状況など、詳細な事実の解明をめざす。
 米国としては、感染牛がカナダ産かどうかが焦点だが、日本政府は、かりにカナダ産だったとしても、米国内で飼養されていた時期があった以上、飼料の給与状況などの調査が必要だとしており、米国産牛の安全性は簡単に確認できるものではないとの考え。
 輸入再開に向けての条件は、わが国が実施している全頭検査や特定危険部位の除去などと同等の安全性確認体制が必要との立場だ。輸入再開に向けての協議も、詳細な事実関係と安全性が担保される条件が整ってからの問題としており、当面、調査団の調査結果が注目される。 
(2004.1.8)


社団法人 農協協会
 
〒102-0071 東京都千代田区富士見1-7-5 共済ビル Tel. 03-3261-0051 Fax. 03-3261-9778 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。