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利益目標掲げてローンを伸ばす JAバンク中期戦略 店舗の統廃合なども (1/15)

 農林中金は昨年末に「JAバンク中期戦略」(平成16〜18年度)を策定した。JAの信用事業は現状の延長線上でいけば減益が続くが、中期戦略は、これを増益に転換させ、18年度利益を不良債権処理前で2000億円(全国合計)以上にするという目標を掲げた。
 達成のために個人ローンを伸ばして収益力を上げる一方、店舗の再構築などコスト削減を進めるというのが戦略の柱だ。14年1月のJAバンクシステム発足後、初めての3カ年戦略で、JA・信連・農林中金が1つの金融機関のように機能するような行動計画の確立を目指して策定したという。
 従来の中期推進方策と違う大きな特徴は(1)経営数値目標を明確に設定し(2)具体的な取り組みを絞り込んで重点化した、の2点だ。
 戦略は、JAの信用事業利益が18年度には不良債権処理前(償却引き当て前)で1500億円以下に落ち込むとの試算をもとに、670億円以上の増益を図って歯止めをかけ、2000億円以上を目指すことにした。
 また償却引き当て後利益は500億円を割ると試算し、同じく670億円増の1000億円を目指す。JAとしては、この全体目標を踏まえた意欲的な利益目標をそれぞれ設定し、行動計画を立てて実行する。
 達成のための行動計画は住宅ローンを中心とする個人ローンの伸長で、目標は現在の残高4兆4000億円を3年間で5兆8000億円に伸ばす。
 一方、コスト削減目標は3年間で約10%。少人数や不採算などのJA店舗を統廃合し、店舗ごとの商品を絞り込む。同時に職員の専門能力を強化し、ローン営業体制を強化するなど「選択と集中」を進める。
 さらに戦略は顧客基盤拡充策も重点とし(1)農業担い手支援(2)カード事業(3)高齢者・年金受給層サービス(4)相続・遺言関連業務の充実に取り組むとした。
 なお、戦略策定の前提となる情勢認識では▽デフレが定着し、経済全体が「長期停滞」する可能性が高い▽リテールを軸とした金融の大地殻変動が展開される可能性も大▽JAの総合事業収支は年々悪化、「50年代の再建整備期以来の未曾有の危機」にある――ことなどを挙げた。
 また利益追求については、それ自体が経営目標ではないが、JAバンクが、組合員と顧客から「選ばれる存在」であり続けるためには早く収益力を回復することが不可欠とした。 
(2004.1.16)


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