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豚コレラ陽性例 未承認ワクチンが原因 (3/22)

 鹿児島県が3月18日に公表した豚コレラ疑い例から、動物衛生研究所(農業・生物系特定産業技術研究機構)の検査で豚コレラウイルスが分離されたが、原因は未承認の豚コレラワクチン接種にあることが22日分かった。
 農水省の発表によると、15日に鹿屋市の農場から食肉センターに出荷された肥育豚のうち、発育不良豚で内臓からの出血などの事例が認められた。そのため、まず細菌感染を疑い病性検査された。検査では細菌感染が否定されたことから、次に家畜保健衛生所が農場の肥育豚に対してウイルス感染を疑い検査をしたところ、豚コレラウイルスに対する抗体を持っている豚を17日に確認した。
 その後、動物衛生研究所で検査した結果、22日にウイルスが分離された。
 しかし一方で、当該農場が未承認の豚コレラワクチン接種を前日に認めており、また、抗体保有が確認された豚に豚コレラ特有の症状が出ていないことから、今回の豚コレラ陽性例は、未承認ワクチンの接種が原因とされた。
 そのため今回は新たな発生ではなく、陽性となった豚とその同居豚は擬似患畜として扱うこととなった。同日開催された第11回豚コレラ撲滅技術検討会で決まった。
 同農場の肥育頭数1350頭すべてが擬似患畜とされ今後、焼却、埋却される。措置は家畜伝染病予防法に基づくものだが、今回の焼却などにかかる費用を国が一部負担するかどうかは検討するという。
 また、周辺農場の清浄性は確認されたため、18日から続いていた移動自粛要請も解除された。対象となっていたのは当該農場から半径3km以内で58戸の農家、合わせて7万5500頭が飼養されている。

◆未承認ワクチンが新たな感染源に

 分離されたウイルスは、わが国で承認されている豚コレラ生ワクチンに使用されているウイルスとはタイプが異なることから未承認ワクチン使用と判断された。また、海外で製造されている主なワクチン株とも異なることから今後、使用されたワクチンを特定する。
 わが国の豚コレラは平成4年が最終発生。その後、12年末からはワクチン接種をせずに撲滅する方針をとり、豚コレラ清浄国化をめざした。都道府県知事が許可した場合に限って接種を認め、昨年末で全国の養豚場でワクチン接種をしているのは約5%と生産者の理解も進み、農水省は日本は清浄国と専門家の意見も踏まえて判断、現在も国際機関に通知しているという。今回の件でそれが否定されることはない。
 しかし、今回接種された未承認ワクチンは豚の体内に抗体はできるが、ウイルスそのものを体外に排出するという問題のあるものだった可能性がある。承認された国産ワクチンはそのようなウイルスの排出はなく、その点で「打つなら打つで知事の許可を得るという道もあった。今回のようなケースは新たな感染源となり得るような事態。防疫対策上、非常に混乱をもたらした。残念だ」と農水省衛生管理課は強調する。検討会の委員からは「驚くような違反」との声もあったという。
 今回のケースは承認されていない薬剤を使用したことから、家畜伝染病予防法だけではなく薬事法違反にも問われる。
 なお、豚コレラは豚やイノシシ特有の感染症で人への感染はない。また、ワクチンを接種した豚肉等も安全性が確認されている。 (2004.3.24)



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