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自給率、経営動向分析に力点 基本計画見直し議論にらむ
-15年度「食料・農業・農村白書」 (5/18)

 政府は5月18日の閣議で15年度「食料・農業・農村白書」(食料・農業・農村の動向に関する年次報告)を了承した。今後、国会に提出する。
 15年度白書は、現在、新たな基本計画の策定に向けて議論が行われていることを受けて、現行の基本計画が策定された12年以降の食料、農業の情勢の変化などを解説、今後の議論をにらんで自給率や農業経営などの動向分析に力点を置いている。

■需要の変化への対応遅れ指摘

 食料自給率低下の原因として、今回初めて「国内生産が需要や用途の変化に対応できていない」ことも指摘した。
 白書では、食料自給率の低下要因を昭和40年から60年までと、60年から平成14年までに分けて分析。これまでと同様、米の消費量の落ち込みや畜産物の消費増加という要因などのほかに、野菜、果実、魚介類の品目別自給率では昭和60年〜平成14年の低下幅は、40年〜60年までのそれを上回って下がってきたことを指摘した。
 このような野菜、果実の自給率の低下は、食の外部化、多様化によって業務用、加工用需要が高まってきたにもかかわらず、国内生産は家庭消費に仕向けられ業務用需要に対応できなかったことが要因で、それが生産の縮小につながったと分析した。また、魚介類の生産減の要因には周辺水域の資源の悪化を指摘している。

■食料最終消費額80兆円超に

 また、食料産業が大きく変化していることも指摘、この30年間での農業の総生産は1.7倍の伸びであるのに対し、関連製造業は4倍、関連流通業は6倍、飲食店は11倍の伸びを示した。
 平成12年度の食用農水産物は国産12兆1000億円、輸入3兆2000億円の計15兆3000億円だが、食品加工や飲食店のサービスの提供によって付加価値が高まり最終消費額は80兆3000億円にもなったという試算も紹介。このうち生鮮品として消費された割合は18.8%にとどまり、加工食品や外食に対する支出が長期的に上昇する傾向にあることを指摘した。

■経営管理、販売戦略の徹底

 農業経営の分析では、今回は平成9年〜14年の間に、農業所得が1割以上増加した経営体(発展型)と、1割以上低下した経営体(下降型)で経営内容を分析している。
 発展型ではこの5年間で農業粗収益が17%増加し、農業経営費は10%減少したため農業所得は2.2倍に増えた。
 一方、下降型では農業粗収益が25%減少、農業経営費は肥・飼料費、光熱動力費などで減少したものの、減価償却費の増加もあって2%減にとどまり、農業所得は56%の大幅減となった。
 両者を労働、資本、土地それぞれの生産性でくらべると格差は2倍程度まで拡大したと指摘している。
 白書では生産性向上に関わる農業生産の諸要素を効率的に配分、利用することが農業所得増大には必要であるとして、そのため農業経営において、経営管理や販売戦略の徹底が必要と強調している。 (2004.5.18)



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