農業協同組合新聞 JACOM
   

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上限関税の断固阻止など与党に要請
全中が全国代表者集会 (6/9)

WTO・EPA交渉・基本農政確立対策全国代表者集会で挨拶するJA全中の宮田勇会長
6月9日東京・憲政記念館
 WTO農業交渉の大枠合意に向けた協議で、農産物の輸入増大に道を開く関税の上限設定などが争点となっているが、JA全中はこうした情勢に対応して6月9日「WTO・EPA交渉・基本農政確立対策全国代表者集会」を都内で開き、JA役員ら約500人が「上限関税設定の断固阻止」などの決意を固め、壇上に勢ぞろいした与党議員20数人に強く要請した。
 また東アジア諸国とのEPA(経済連携協定)交渉対策では、重要な農産物について関税撤廃の例外措置を講じるようにと求めた。
 さらに政府が進めている新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に当たっては、担い手の絞り込みを考える政府に対して、もっと幅広く集落営農を含めて「育成すべき担い手」を地域自らが明確にしていく仕組みなどを訴えた。
 WTO・EPA交渉と基本計画づくりは切り離せないものとして3課題をセットにした要請となった。
 集会ではJA全中の宮田勇会長が、「アジアをはじめ各国の農業者団体の支持を広げてきたJAグループの海外活動を紹介。それらを踏まえ、全力を尽くして政府与党の方針にJAグループの考え方を反映させていきたい」と挨拶。

■「多様な担い手」を強調

 次いで山田俊男専務がWTO農業交渉の「大枠合意を目指す協議が大詰めを迎えている」と情勢報告。その中で「柔軟性のある関税削減方式の確保」などJAグループの主張を説明したあと、基本計画については「全国約8万の水田集落のうち半分は主業農家のいない集落である」として、多様で幅広い担い手育成対策の必要性を強調した。
 このあと花元克巳副会長が「WTOでは、これからが輸出国と輸入国の大きなたたかいになる」として与党への要請を説明した。

「がんばろう」を3唱する参加者たち
6月9日東京・憲政記念館

 これを受けて自民党総合農政調査会の野呂田芳成会長は▽政策を40万農家に集中するのでなく、もっと幅広くやっていく考えだが“ばらまき”はやらない▽食料消費市場は80兆円規模だが、うち農家分は10兆円に過ぎない。この仕組みの改革を基本計画づくりの中で追求したい▽WTOでは、多面的機能の主張だけでは足りない。日本の自給率は総合的には40%だが、穀物だけでは28%だ。こんな国は世界でも珍しい。だから生存権も主張すべきだ、などとぶち上げた。
 また同党農林水産物貿易調査会の桜井新会長は「WTO協定によって農産物の輸出国が、輸入国を植民地化したような状況になっているともいえるのではないか。ウルグアイラウンド合意以来、輸入国が輸出国のいいなりになって苦しんできた状況を何とかしなければならない」と強い語調だった。
 このあとJA全青協の三上一正会長が「今こそJAグループの底力を発揮し、この難局を乗り切ろう」と決意表明。最後に「がんばろう」を3唱した。 (2004.6.10)



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