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自給飼料増産へ農水省が「虎の巻」
コントラクタ−育成などを図る (6/16)

 飼料自給率の向上をともなわない畜産物の増産は、食料自給率を低下させることになるとして、農水省は転作田の活用などを含めた飼料作物増産の旗を振っているが、現実は作付面積の微減傾向が続き、飼料自給率は平成22年度目標の35%に対し、24%に留まっている。このため今年度は、農家やJAなどの取り組み促進へ「飼料増産・虎の巻」と銘打った「5つの行動」を具体的に打ち出して増産運動を展開する。
 「虎の巻」は(1)主役はコントラクター(生産受託組織)(2)牛を放そう(3)耕畜連携を進めよう(4)草地をリフレッシュ(5)消費者へ情報を−−の5点。
 それぞれの意味は(1)飼料作りの労働力と機械が足りないならコントラクターをつくろう(2)水田や耕作放棄地など放牧できる土地はたくさんある(3)畜産と耕種の両サイドがよく話し合って資源循環を進めよう(4)計画的な草地更新を(5)消費者は安全安心な自給飼料を利用した畜産物生産を望んでいる−−となっている。
 同省は都道府県担当者や農業団体代表らからなる全国飼料増産戦略会議などを6月11日開き、今年度の運動方針を説明した。
 また今年12月から、牛のトレーサビリティ法によって小売牛肉への個体識別番号表示が義務づけられるため、これと飼料生産情報をリンクさせるという自給飼料生産のメリット化を検討するなどの課題もあげた。
 「虎の巻」の取り組みには、利用できる補助事業があるが、ほかに転作田で飼料作物を作った場合は「産地づくり交付金」の助成金にプラスして「構築連携推進対策」の助成金が10アール当たり1万3000円交付される。
 戦略会議では、こうした施策が農家に徹底していないことが遅れの一因ではないか、との懸念を挙げた。また9つの優良事例を示し、これら「点」の取り組みを「面」に広げるよう都道府県や農業団体に要請した。
 6月中には重点県と重点市町村を選んで「虎の巻」を拠点推進する。
 飼料の需要量は2553万トン(14年度)。うち濃厚飼料が1999万トン。国産原料の濃厚飼料はごくわずかだ。粗飼料は国産が427万トン、輸入が127万トンとなり、粗飼料だけなら純国内産の自給率は77%となるが、全体では24%だ。
 自給率低下の要因としては、乳価との比較で配合飼料費が安くなったこと、肉用牛の場合は濃厚飼料を多く与えて増体とサシ(脂肪交雑)を付けることが主流となっていること、などが挙げられている。 (2004.6.16)


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