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諫早干拓仮処分命令に異議申立て
−亀井農相が発表 (8/26)


 8月26日に佐賀地方裁判所が決定した諫早湾干拓工事差止めの仮処分命令に対して、8月31日、異議申し立てを国として行うことを決定したと亀井農相が同日の会見で発表した。
 佐賀地裁の仮処分命令は、有明海沿岸の漁民106人の申し立てに対するもので、その内容は漁民が訴えた漁業被害と干拓工事との因果関係を認め、現在係争中の第1審判決が言い渡されるまで工事を中止するよう決定したもの。
 農水省は仮処分命令を受けて内容の検討に入り翌27日には川村農村振興局長が会見し「判決は意外。納得しがたい点が多々ある」と意義申し立てをする方針を示していた。
 この日、亀井農相は異議申し立てをした理由を改めて説明。(1)今年1月には福岡有明漁連の同様の申し立てに対して国の主張を全面的に認め決定が確定していること、(2)漁業被害と諫早湾干拓事業の因果関係を認める科学的根拠は存在しないこと、(3)差し止めを命じる工事は潮受け堤防内におけるもので、潮受け堤防外での漁業行使権に何らの影響も与えないこと、の3点を挙げた。
 とくに漁業被害との因果関係についてはノリ不作等第三者委員会でも原因は特定されず、また、農水省の調査では干拓事業の影響はほぼ湾内にとどまるという結論を得ていることを強調し、それにも関わらず湾外の漁業被害との因果関係を認めていることが問題だとしている。
 さらに農水省は中・長期の開門調査については今年5月に予期せぬ被害が発生するおそれがあることから別の調査実施を予定しているが、中長期調査を行わないことを理由にして「国に不利な心証形成を行っている」と指摘している。
 会見で亀井農相は「1日も早く有明海の再生の道筋を明らかにする必要があると思っている」ことを強調、また、「干拓工事によって防災、農地の問題で成果もある。地元長崎県からは18年度の完成を強く要求されている」と語り工事完成に向けた予定に変更はないとの考えを示した。
 ただ、仮処分命令によって現在工事は中断しており、また、今回の異議申し立てについての決定や決定までの期間など工事完成時期に影響しかねない要素も出てきた。 (2004.9.1)



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