農業協同組合新聞 JACOM
   
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米国牛肉輸入再開で真っ向対立 BSE対策で意見交換会 (9/21)

 「BSEの検査には限界があるということを正しく伝える必要がある」「牛肉の安全性が心配な人は食べなければよい。検査、検査とやかましいが、検査には税金を使っている。そろそろ安い牛肉を食べられるようにしてほしい」「牛肉消費量の3割に当たる米国産が停まったままだ。国民は困っている」など、農水省と厚労省が9月21日に開いたBSE対策に関する意見交換会(都内)では、焼肉店や外食産業など食肉関係業者から米国産の輸入再開を求める声が相次いだ。
 「政府のBSE対策見直しは、輸入再開につながるものと期待している。全頭検査除外の月齢について明確に線引きできないのであれば20ヶ月齢以下にこだわらず、24ヶ月齢でも30ヶ月齢でもよいのではないか」「全頭検査イコール安全という意識が(消費者に)浸透しているが、全頭検査によるBSE発見率は高くない。メインは飼料規制だ。全頭検査は、それのサポートに過ぎない」などの意見も出た。
 この日は最初に、消費者団体が、より厳しく安全性の確保を求め、米国のBSE対策がずさんであることなどを指摘。現状のままでの輸入再開に反対し、全頭検査の継続を強く主張。
 これに対し食肉関係業者が、これまでの全頭検査では「20ヶ月齢以下の感染牛を現在の検出感度の検査法によって発見することは困難」などという食品安全委員会プリオン専門調査会の中間報告をもとに輸入再開を主張。真っ向から対立した。
 再び反論した婦人団体代表からは「主婦たちは全頭検査を求めている。もし緩和などをすれば、牛肉の不買運動にもつながりかねない」との強硬論も出た。
 一方、生産者からは「食料自給率を上げるための議論も必要だ。お互いにもっと話し合いをしていこう」との提起もあった。
 両省の担当者は▽危険部位の除去の徹底や配合飼料工場の検査などを説明。さらに「BSE対策見直しと輸入再開は別問題」と強調し、これを結びつけようとするマスコミの論調に対する不満を示した。

飼料規制を強化 BSE対策で農水省

 農水省はBSEの根絶に向けた飼料規制の強化案を9月21日のBSE対策に関する意見交換会で示した。牛の肉骨粉排除を豚・鶏用の飼料を含めて徹底するもので、混合飼料などの輸入業者に対して禁止原料の有無を検査できる仕組みをつくることなどを検討中だ。現状は、業者が輸入する飼料の種類を届け出ることになっているが、原材料の種類までは届出を義務づけていない。
 また飼料販売業者のうち小売業者は開業前の届出義務がなかったが、小売業者も対象に加えて監視・指導ができるようにする。
 牛を飼養する農家に対しても、禁止している飼料を誤って与えたり、流用することがないように、地方農政局などが巡回指導する機会を活用して周知徹底を強化する。また都道府県の指導・監視項目の明確化などを検討中。
 なお飼料規制は、牛用と、その他の飼料の交差汚染を防ぐため飼料の製造、保管、輸送などを分離することを基本としている。

(2004.9.27)


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