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原油ひっ迫時、自主備蓄油の放出も−JA全農 原油への対応 (11/30)

 9月に過去最高値を記録し今後も需給ひっ迫が想定される原油情勢だが、JA全農では安定供給を最優先にした取り組みを行い暖房用・加温用燃料の灯油とA重油については全農石油基地での在庫積み上げと、ひっ迫時には自主備蓄玉の放出も行うことなどで対応する。
 ただし、原油と石油製品価格の上昇幅は購買努力で吸収できる水準を超えていることから値上げは避けられずJAを通じて組合員・消費者に理解を求めていく方針だ。
 JA全農によると11月1日の指標原油価格は1バレル50.1ドル。2003年の年間平均価格は30.1ドルだったことから大幅な上昇となっている。日本が過去に輸入した最高値は38ドル台前半だったが今年9月には41.2ドルと過去最高を更新した。 高騰の原因は、▽中国と米国の需要増加、▽中東情勢やナイジェリアのストライキ、ロシアの石油会社ユコスの経営破綻などの供給不安要因の発生に加え、これを見越して投機筋が参入していることによる。
 現在の価格水準は、実勢価格に1バレル当たり5〜10ドルのプレミアムがついているといわれているが、値下がり要因が見つからないとの予測が大勢だという。
 一方、国内では▽春先の精油所定期補修や事故発生による生産量の低下、▽猛暑によるガソリン需要の増加、▽海外市況の影響で国内需給が緩和するほどの輸入量がない、などのことから9月末の国内在庫は前年比84.9%と低水準で今後も需給ひっ迫が続くとみられている。
 こうしたことから国内元売各社は原油価格上昇分の国内製品への転嫁、不採算価格の是正を進めてきており高値水準が続くとみられている。
 営農用・ハウス加温用のA重油も高騰しているが、海外製品も高騰しているためJA全農としても輸入による優位な価格形成が困難な情勢。このため今後、年末に向けて今年3月時点にくらべて1リットルあたり8.5円から10円程度の値上げは避けられないとしている。

(2004.11.30)


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