農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース

JA共済 親と子の交通安全ミュージカル
園児や親に大好評 舞台の上で交通ルールの指導
−福岡県宗像市で開催 JAむなかたと共催− (12/17)


 JAむなかた(福岡県)はJA共済連と共催で12月17日、『親と子の交通安全ミュージカル 魔法園児 マモルワタル』を宗像市(福岡県)の宗像ユリックスで開催した。JA共済は、自賠責共済と自動車共済を提供していることから、小中学生を対象とした「交通安全ポスターコンクール」や「救急車、カーブミラー、反射板等の寄贈」など、交通安全に対する啓発や交通事故防止を目的とした数々の活動に取り組んでおり、交通安全ミュージカルもその活動の一環として開発された。


◆3カ年で47都道府県で公演

舞台に上がった子どもたち
舞台に上がった子どもたち
 このミュージカルは劇中で幼稚園児に基本的な交通ルールを教え、交通マナーを実践する態度を習得することで、交通事故の未然防止を図り、次世代を担う子どもたちの安全育成を図ることをめざしている。
 ミュージカルは本年6月14日に東京で初演され、その後札幌市、前橋市、京都市など大都市を中心に公演を重ねてきた。JA共済連は16年度から18年度までの3カ年で、47都道府県での公演を予定しており、各地で展開する交通安全教室等の活動と併せて20万人以上の動員をめざしている。今年度は、全国16都市で公演を行う。JAむなかたは地域の社会福祉活動に力を入れていることから、JA共済連と共催で今回ミュージカルを開催した。

◆宗像大社で交通安全と公演の成功を祈願

出演者と談笑するJAむなかた伊規須常務(宗像大社)
出演者と談笑するJAむなかた伊規須常務(宗像大社)

 公演前日の16日、JAむなかたの伊規須国光常務やJA共済連など関係者と、ミュージカルを演ずるミクル・ミュージカルカンパニーの白井亜希子さん(マモルワタル役)をはじめとする出演者は、地元の宗像大社に交通安全と公演成功の祈願に訪れた。出演者一同は舞台衣装で、JA関係者と共に神妙な面持ちで本殿の前に正座し、交通安全と公演の成功を誓った。宗像大社は、古くは大陸に渡った遣唐使なども航海安全のために必ず参拝していたという交通安全の守護神で、今でも多くの参拝者が訪れる。

◆楽しく学べる工夫がいっぱい

熱演する婦警さんとスナオ君
熱演する婦警さんとスナオ君

 ミュージカルは、主人公のマモルワタルを中心にストーリーが展開されていく。マモルワタルは、いつも元気に飛び回っている魔法幼稚園の園児。あまりのワンパクさに、園長先生から人間界に修行に出される。人間界には危険がいっぱいで、危うく交通事故にあいそうになる。そのとき、園児のスナオ君とお母さん、婦警さんに出会い、助けられながら交通ルールを学び、無事横断歩道が渡れるようになる。午前10時の開場とともに、先生に引率された幼稚園児が続々と入場してきた。若木台幼稚園など市内5つの幼稚園から、園児、先生、保護者510名と、市民合わせて約600名の入場者で会場はほぼ満員となった。今回は今までの公演にはなかった初の試みとして、会場となった宗像ユリックスの広報誌で市民にミュージカルの観賞を呼びかけた。その成果か、幼稚園関係者以外の顔も見受けられた。
 公演に先立ち、主催者を代表してJAむなかた伊規須国光常務が、「JAむなかたは日頃から、地域の交通安全活動に取り組んでいます。今日はミュージカルという形で皆さんに歌や踊りを楽しんでいただけると同時に、交通事故防止の意識高揚に役立てば幸いです」と挨拶した。
 幕が上がり、ミュージカルが始まった。このミュージカルは観客参加型で、劇中で幼稚園児を舞台に上げ、実際に横断歩道の渡り方や信号機の意味を学ばせるのが特長となっている。名前を呼ばれた園児が一人ずつ舞台に上がり、警察官や婦警役の俳優から「横断歩道の前で止まり、左右を良く見るように」「手をあげて渡るサインをだそう」など具体的な指導を受け、舞台の上にセットされた横断歩道を渡ったり、信号機の青・赤・黄色の意味を場面に即して教わった。子どもたちは最初、慣れない舞台の上で恥ずかしがっていたが、しだいに緊張も解け、指示に従って元気よく手を上げて横断歩道を渡った。また、舞台上の俳優の呼びかけに観客席の子どもたちが答えたり、歌ったりするなど、楽しみながら交通ルールが学べるように工夫されている。

◆交通安全教室をベースにミュージカルを開発

 ミュージカルを開発したJA共済連広報部山本敏幸社会福祉室長は、「このミュージカルは、元々は幼稚園児を対象に各地で行われている交通安全教室がベースになっています。交通安全教室では、正しい横断歩道の渡り方などの実技指導をしながら、事故防止を教えています。ミュージカルで子どもに飽きさせないで交通事故防止を訴えるには、子どもを取り込むことが必要だと考えました」と参加型ミュージカルの開発経緯を語った。また、「楽しみながら交通ルールを学ぶという狙いは、おおむね成果を上げていると思います。これからは、より多くの人に関心を持ってもらうための工夫が必要です。今回広報などで市民の参加を呼びかけたことは良かったと思います」と語り、このミュージカルをさらに拡げるための方策を検討していくつもりだ。
 ミュージカルは途中子どもたちの参加による交通安全の実技指導を挟み、主人公のマモルワタルが周囲の人々の助けを借りながら交通ルールを学んで、魔法の国に帰るという展開で終わる。劇中で節をつけて何度も繰り返される横断歩道を渡るときの注意を、子どもたちはすっかり覚えたようで、舞台と一緒になって声を出す姿も見られた。分かりやすい言葉や動きで、すっかり子どもの心をつかんだようで、最後まで舞台に見入る子どもの姿が印象的であった。
 観賞していた保護者の一人は、「分かりやすく、歌や踊りも楽しく、ミュージカルとしても楽しめました。子どもも興味を持ったようで、これからは交通安全について親子で話しあい、子どもに交通ルールを守らせたいと思います」と語り、子どもを参加させるなどミュージカルの構成に感心させられた様子だった。

◆子どもの正直な反応に、毎回初演の気持ちで

マモルワタル役の白井亜紀子さん
マモルワタル役の白井亜紀子さん
婦警さん役の山本美奈さん
婦警さん役の山本美奈さん

 公演後、後片付けに忙しい中、出演者に話を聞いた。主人公マモルワタル役の白井亜希子さんは、「反応がとても正直なので、気が抜けません。初めの頃は、子どもに合わせるよう気を使いすぎたと思います。しかし、それでは受けませんでした。自分達が楽しんでいなければ、子どもたちも楽しめないということが分かってきてから、ずいぶん気が楽になりました。毎回、初演の気持ちで演じています」と語り、子どもを相手にしたミュージカルの面白さ、難しさを教えてくれた。
 また、婦警役の山本美奈さんは、「婦警さんとして、親しみやすさを出すように気をつけています。子どもの反応にも地域差などがあり、とても面白いと思います。自分が教えたことを子どもが守ってくれて、交通事故に遭わないように願ってます」と、舞台同様やさしい笑顔で答えてくれた。
 警察官役の瀬戸信介さんは、「子どもが持っているエネルギーに、負けないよう頑張っています。気の抜けない舞台ですが、楽しく役に徹しています」と、子どもたちと接する楽しさを語った。
 出演者が属するミクル・ミュージカルカンパニーは、大阪市で開催された『国際花と緑の博覧会』の屋外パビリオン「ミクルのくに」におけるミュージカル上演のためのプロジェクトチームとして結成された。博覧会閉会後解散の予定であったが、存続の声が強く、1990年に正式にプロ劇団として発足した。
 『魔法園児 マモルワタル』のほかに、若者の悩みやいじめ、進学問題などをテーマにした作品が多い。来年1月14日に新神戸オリエンタル劇場で、阪神大震災10年目を記念した「明日の空へ2005」の上演が予定されている。
入場する園児と親
入場する園児と親

(2004.12.22)


社団法人 農協協会
 
〒102-0071 東京都千代田区富士見1-7-5 共済ビル Tel. 03-3261-0051 Fax. 03-3261-9778 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。