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畜産酪農でも経営安定対策を具体化
政策価格など決まる (11/10)


 2001年度の畜産酪農政策価格と関連対策が10日までに決まった。これまでは毎年3月に新年度価格・対策を決めたが、今回からは前年秋の決定となった。

 来年度から加工原料乳の不足払いが廃止される。現行は乳業メーカーが支払う乳代と、国が定めた保証価格の差額を政府が生産者に補給(不足払い)していた。これに代わって来年度からは乳代を下支えする定額の補給金が出る。その単価が1キロ10円30銭と決まった。
 これは現行の不足払いの単価と同額で「現行を基本に」と求めていたJAグループの運動が実った。
 また来年度からは生産者団体と乳業メーカーの交渉で乳代が決まり、加工原料乳も飲用生乳と同じく相対取引に移行する。
 この取引価格と補給金10円30銭の合計が現行の保証価格72円13銭に達しない場合、差額の8割が補てんされる仕組みも実施となる。
 稲作経営安定対策と同じ形で、補てん基金は生産者1、国の助成金3の割合で拠出する。生産者拠出の単価はキロ40銭と決まった。
 補てん基準価格は現行の乳代(基準取引価格)61円83銭と同額となった。相対取引価格は来年3月までの交渉で決まる。その結果が補てん基準価格を割り込めば補給金を足しても生産者手取りは減る。反対に高くなれば増える。指定生乳生産者団体は交渉力の強化を迫られることになる。

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 食肉では、調整保管の目安となる安定基準価格を牛肉でキロ5円下げて780円とし、豚肉は365円に据え置いた。牛肉は安定基準価格、安定上位価格とも12年連続、豚肉の安定上位価格は8年連続の引き下げとなった。
 肉用子牛の値下がりに補給金を交付する基準となる保証基準価格と、コスト削減を促す合理化目標価格はすべて据え置いた。

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 関連対策では、バターの過剰在庫処理対策として、農業団体の全国連がバターを安価販売した場合、値引き額の半分を助成する。これは今年度中に実施する。
 また在庫積み上がりを防ぐため来年度の加工原料乳の限度数量を今年度より13減の227万トンと決めた。
 食肉では農家所得が家族労働費を下回った場合に助成する「肉用牛肥育経営安定緊急対策事業」(マル緊事業)について全国事業と地域事業を一本化する。
 これまでの補てんは肉専用種で最高4万円だったのを、新マル緊では所得低下に応じて家族労働費の8割まで補てん。最高6万円程度が見込める。
 生産者4分の1、国4分の3で積立基金を県ごとに造成して財源とする。
 新たな「養豚経営安定対策」も実施する。二本立て対策で、生産振興対策では生産者などが県ごとに造成する基金に資金援助する。対象メニューは▽地域肉豚の銘柄化▽生産効率を改善する資材や施設などの整備▽高付加価値豚肉の産直体制の確立など。
 経営安定対策では生産者などが積み立てた地域肉豚生産安定基金に資金援助する。値下がりの場合、県が定めた保証価格との差額を補てんする仕組みだが、来年度の発動基準価格をキロ400円とする。

 関連対策には、このほか▽生乳の需要拡大へ生クリームなどの生産を助成▽国産ナチュラルチーズの新製品開発なども助成▽畜産環境対策の推進▽食肉処理施設の再編合理化を助成する−−などがある。

 


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