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21世紀の日本農業をサポートするデータベース
 「アピネス/アグリインフォ」

 IT(情報技術)の飛躍的な伸展を背景に、インターネットが確実に迅速に必要な情報を手に入れられる手段として活用される時代になった。各産業分野でもインターネットは重要な役割を果たしており、情報ネットワーク社会は大きく広がってきている。
 農業においても情報テクノロジーの利用が推し進められているが、こうした動向にいち早く対応したJA全農の「アピネス/アグリインフォ」が、農家組合員や生産法人にも開放(会員制)され、いま農業関係者から注目されている。



◆農家会員1000人の実現は時間の問題

 「小さな疑問、大きな難問、なんでも解決します。農業のことなら、いろいろわかるデータベース」というキャッチフレーズで、JA全農営農・技術センターの営農技術・生産資材データベース「アピネス/アグリインフォ」が、4月1日からJA農家組合員や生産法人にも開放(会員制)されたが、5月1日までに204人が会員となり、JA会員数(115JA)を上回った。

 問い合わせ状況などからみると今後も「月に100会員は増え、当面の目標である1000会員」は間違いないのではないかと、JA全農営農・技術センターアグリ情報室の西尾誠主任調査役はいう。浜田虔二同センター長も「どこまで増えるかわからない」と、関心の高さを強調する。
 後述するように、情報の質が高く、量も多く、生産者のかかえる疑問や問題が解決できたり、知りたい情報を簡単に入手できることが一番の魅力だが、利用料金が月300円(JA会員は500円、詳細後述)と格安なことも農家組合員会員が増えている大きな要因になっているのだろう。

 現在の会員の構成は、年齢別には40歳代が50%で、30歳代と50歳代が各々20%。経営形態では専業農家が40%、認定農業者が25%と、働き盛りの生産者の加入が多いことが特徴的だ。
 作物別にみると、稲作が50%弱、露地野菜30%、施設野菜25%、花きと果樹が各14%となっている(複数回答)。

 4月以降のアクセス数は、1日に300〜400回あるが、野菜や花の関係でのアクセスが多い。稲作の場合には営農(栽培)体系が確立しているのでアクセスは少なく、同じ品目でも地域や露地・施設など栽培条件の違いによってさまざまな問題が発生しやすい野菜や花でのアクセスが多くなっているのではないかと西尾さんは分析する。
 インターネットを活用して技術相談もできるアピネス/アグリインフォは、農家組合員に開放されたことで「順調に、右肩上がりで立ち上がっている」(浜田センター長)。そして、今後さらに拡大していくことは間違いないだろう。



◆2つのデータベースと双方向「営農技術相談」で構成

 アピネス/アグリインフォにアクセスすると、写真のような明るくて温かなイメージのトップページが表示される。会員は「会員の入口 ログイン」をクリックして会員IDを入力すれば、必要なさまざまな情報を検索し利用することができる。操作は簡単で女性でもお年寄りでもすぐに使いこなすことができるように考えられている。

 アピネス/アグリインフォは、「農薬登録データベース」と「営農・施肥・防除技術情報データベース」の「アピネス」。グリーンレポートをはじめ施肥技術、防除技術、栽培研究、農業機械、農業資材、包装資材、施設、農住、環境保全型農業など多彩な情報を収録し、キーワードを入力すると必要なデータを画面に呼び出せる全文検索データベースシステムである「アグリインフォ」。データベースを検索しても必要な情報がみつからなかったときに、営農技術や生産資材に関する相談・質問をすると、相談者に電子メールで回答される「営農技術相談」の3つで構成されている。



◆「グリーンレポート」の全バックナンバーも収録

 農薬登録データベースでは、国内で登録のあるすべての農薬を対象にして、常に最新情報が照会できる。検索は各種方式を網羅しており、検索結果はテキストファイルやCSV形式でダウンロードできるので、営農指導員などが資料を作成するときに効果的に使うことも可能だ。
 営農・施肥・防除技術情報データベースは、病害虫・雑草防除を中心に施肥・栽培技術などに関する記事・文献、施肥Q&A・防除Q&Aなど2万件以上のデータが収録されており、キーワードで簡単に検索することができる。

 アグリインフォには、JA全農営農・技術センターが発行している「グリーンレポート」の第1号からの全バックナンバーが収録され、その内容を検索することができるほか、農水省の「農林漁業現地情報」やJAの「営農指導員の声」、地方版も含めた「日本農業新聞」の記事が3日遅れで収録されており、農業にかかわる多くの情報が検索できるようになっている。
 また、営農技術相談の内容は、質問・回答内容がデータベースとして蓄積されており、会員なら誰でも検索することができる。



◆月300円の格安利用料金

 これだけ豊富で質の高い情報を持ちながら、利用料金は農家会員の場合、入会金2500円と毎月の基本料金が300円という安さだ。しかも、5月末までは入会金は無料というサービスが実施されている。ただし、アグリインフォは使用時間に制限はないが、アピネスは月に60分までで、それを超えた場合には1分10円の超過料金が必要になる。
 JAが会員になる場合は、入会金が5000円、基本料金が月500円となっているが、同一JA内からならば、例えば営農センターと本店(所)の生産資材担当者が同時にアクセスしてもOKだというから、料金は格安で使い勝手は最高だといえる。

 会員になるには、インターネットに接続できる条件を整えて(プロバイダーとの契約その他)、http://www.agri.zennoh.or.jpにアクセスし、アピネス/アグリインフォのホームページから必要な書類をダウンロードし、入会申し込みをすればいい。入会すると会員専用IDが発行されるので、以後はこのIDを使って必要な情報を検索したりすることができる。

 快適にアピネス/アグリインフォを使うためには、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラのVer4.0以上か、ネットスケープ社のネットスケープナビゲーターVer4.0以上が必要だ。また、画像情報データ(PDFファイル)も多いので、アビド社のアクロバットリーダーというソフトも必要だが、いずれもインターネットやCD−ROMで無償提供されているので、簡単に入手することができる。
 会費の支払方法は年2回(6ヶ月分一括支払)で、JAまたは信連の口座からの自動引き落としか、VISA、MASTER、JCBカードによる自動決済が利用できる。

◆JAの営農指導にも有効なツール

 知りたい情報のキーワードを入力するだけで、欲しい情報が確実に検索できる(複数のキーワードによる検索もできる)アピネス/アグリインフォは、ネットワーク社会に適応した有力な情報ツールとして、間違いなく生産者の間に広がっていくだろう。
 ここに蓄積されているデータは8万件近い。これは1985年から営・技センターが営々と蓄積してきたものだが、それはまた、JAグループが行ってきた事業活動の成果であり、汗の結晶だともいえる。その結晶は全国のJAが共有し、有効に活かすことで、本当に生きたものになるのではないだろうか。

 しかし、まだJA会員の数が少ない。JA合併が進展するなかで、JAの営農指導のあり方について問われることが多くなっているように見受けられるが、営農指導の有効なツールとして、このアピネス/アグリインフォが、もっともっと活かされていいのではないだろうか。JAのパソコンをインターネットに接続するだけで、格安で8万件近い農業にかかわるあらゆる情報を手に入れることができるのだから…。

 JA全農は「インターネット社会の到来にともなう電子商取引(eコマース)の検討」を始めているが、アピネス/アグリインフォは代金決済(利用料金の決済)についても確立しているので、「eコマースのツールとして使えないか」という検討もしているという(浜田センター長)。
 21世紀の日本農業をサポートするアピネス/アグリインフォの世界は、さらに大きく広がっていくようだ。

《問い合わせ先》 JA全農営農・技術センターアグリ情報室
 E-mailアドレス:webmstr@appines.zennoh.or.jp
 ホームページアドレス:http://www.agri.zennoh.or.jp
 電話:0463-24-1066 FAX:0463-23-8845

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