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計画米をきちんと集荷し
整然とした販売に徹する
  新たな活性化対策を政策の土台に
    販売の組み立てを


自主流通米の販売・価格についてJA全農鈴木常務に聞く



● 販売状況・対策について
  −3月以降テンポ変わり 自主流通米の”出番”に

 Q1 3月に入って、自主流通米の売れゆきが良くなったと聞きますが、実態はどうですか?

  販売は、まさに3月以降好転してきました。11月〜2月までは、全農系のみの販売量ですが、毎月25万トンに満たない状況でした。それが、3月に入り販売のテンポが大きく変わりました。3月で37万トン、4月で32万トン、5月も32万トントンの販売量となりました。6月も好調が続いており、おそ巻きながら、ようやく自主流通米の”出番”が来たと感じているところであります。

◆計画外米の増加、古米在庫の存在と低価格指向が販売不振の背景

 出来秋から2月まで、なぜ自主流通米の販売が思うように進まなかったか、というと、それは、はっきりしていると私は思っております。11年産の”作”が例年より早く、自主流通米と競合する計画外流通米の出回りが、早かったということ。また、流通量も例年より多かったため、計画流通米が売り負けたということになると考えております。これが第一の原因であると思っております。

 もうひとつは、卸の手持ちの古米在庫の問題がありました。10年10月末で卸が一括決済し、卸の手持ち在庫としたものは、わずかに2万トンでした。これに対し、11年10月末では、卸は18万トンの一括決済をしたのです。
 これは、全農との間で契約済であるのに、10月末まで引取りをしなかった玉でありますので一括決済をするのは当然であります。
 しかし、11年産米は、10年産米より、2000円も安い価格でスタートしましたので、この手持ちとなった10年産米は卸にとっては、実のところ重い荷物となってしまいました。卸は、この古米消化を優先しましたので、自主流通新米への取り組み意欲が低下しました。この古米在庫の存在が、第2の原因と言えると思っております。

 さらに、”景気低迷”が続くなかで、消費者の低価格米指向が背景にあり、高目の自主流通米が敬遠される傾向もありました。これらのことが重なる中で、自主流通米の販売が、なかなか思うようにいきませんでした。このように、自主流通米の販売にとって非常に困難な状況が2月中ごろまで続きました。
 3月に入り、計画外流通米の出回りもピークを過ぎ、また卸の手持ちとなっていた古米在庫の消化も相当すすんだこと等により、自主流通米の販売は目に見えて回復してきました。4月、5月、6月と好調な販売が続いております。

◆計画外米のボリュームをより小さなものに

 ところで、11年産米は、生産量で、昨年より、22万トン多いのですが、このうち計画流通米で集荷を増やした分は7万トンだけでした。ですから差し引き15万トンは、計画外米で増えた勘定になります。計画外流通米は、大部分が、出来秋から12月までに流通してしまいますので、この間の自主流通米の販売は、大変苦労することになるのです。昔は、これを”ヤミ米”と言っていたわけですが、今はそんなことにはなりません。今は、自主流通米にとって手強い競争相手なのです。ですから、集荷の段階で、自主流通米をしっかり集めて、計画外米のボリュームを出来るだけ小さなものにしておくことが、自主流通米の有利販売にとってきわめて、決定的に大切なことなのです。

 また、11年産米は、カメムシの被害やら、高温障害による乳白、腹白粒の発生、台風による被害米の発生で、低品位の米が例年になく多く発生しました。そのため、これら低品位米は計画外流通米として集荷され、やや処分的な面もあって、早く、低価格で流通しました。このため、例年にも増して、自主流通米の販売環境を悪化させたと言えます。

 3月以降、自主流通米の需要期がようやく来ましたので、この期を逃がさず、取り組んでいかなければならないと思っているところです。
 今後の11年産米の販売については、夏場に向かうことによる米消費動向の変化、12年産米の作柄等を横目でにらみながら、市場の安定化を図りつつ、買い手である卸の仕入態様に沿った対応をしていきたいと考えております。


● 価格安定対策について
  −計画外米を絞り込み、過度の産地間競争やめる

 Q2 販売が回復したのは解ったが、価格が低迷のままだがなぜですか?

  まず、今の自主流通米の価格形成の仕組みについて申し上げておきたいと思います。

◆政策が”価格支持”から”所得補償”へ変わる

 表1を見ていただきたいと想います。「食管法」から「食糧法」に代わったことにより、自主流通米の価格は、需給状況を反映して上下する制度に変わりました。また、「新たな米政策」によって、「稲作経営安定対策」という仕組みがつくられ、価格が下がった時、「補てん基準価格」に満たない部分の80%について補てんされることになっているのです(現に11年産米については、価格が低迷してきたことから、ほとんどの銘柄が補てんされることになっております。上場銘柄のうち最高で4080円、平均で1378円が補てんされます)。このように、国の米政策が、”価格支持”から”所得補償”に変わったのです。このように、制度が変わったという前提で価格のことを考えていかなければなりません。くり返しになりますが、自主流通米の価格は、需給状況を反映して決まります。具体的には、「自主流通米価格形成センター」の”指標価格”が入札により決定され、これをふまえ、相対等の取引の価格も決まっていくということであります。ですから、供給過剰の場面では、価格は低下し、不足の場面では、価格は上昇することになります。

 従って、価格を回復、あるいは一定の水準で価格安定を図っていくためには、短期的にも、年間を通しても供給過剰の場面をつくらないということが必要です。


◆集荷のツケが販売に大きな影響

 11年産米で価格が低迷し、なかなか回復しないのは、いろいろな形で供給過剰の状態となっているから、ということになります。
 それは、具体的にどういう場面かと言うと、まず第一に、計画外流通米が豊富に流通している出来秋の状態です。
 また、産地間競争により、一定の需要の前で各産地が売り込み合戦をしている状態もそうです。
 さらには、自主流通米と政府米が販売で競合するという場面も、そういうことになります。

 問題となるこうした状態をつくらないために何が必要かということです。これはもう明確なわけです。
 まずは計画流通米をきちんと集めて、計画外流通米を可能な限り絞り込んでいくことです。集荷の努力もしないで計画外流通米をタレ流しながら、一方で自主流通米の価格が低迷していることを問題視するなど、これは天に向かってつばきをするのと同じことと言わなければなりません。ここが一番大切なところです。

◆卸間の過度な競争には引きずり込まれない

 二つ目は、不必要な過度の産地間競争をやめて、整然とした販売に徹することです。需要は一定しているのですから、過度の産地間競争をすれば、買い手側から足元を見られ、買いたたかれるのは明白であります。
 特に、最近においては、量販店が、販売と価格の主導権を握るようになってきており、私たちの買い手である卸売業者自身が、量販店の前で過度な競争を強いられているのですから、これに引きずり込まれないように充分注意をしていかなければなりません。

 また、産地間競争は、需給と価格の安定のために、相当な努力を払って実施している、生産調整の効果を減殺してしまうものであり、これはJAグループとして、どうしてもやめなければなりません。

◆苦い経験から生まれた政府米と協調販売

 三つ目は政府米との協調販売です。かつて政府米の在庫が300万トンになろうとしたとき国は、”備蓄制度を守るため”と称して、政府米の販売攻勢をかけてきたことがありました。私たちJAグループは、これに強く反対した経過がありますが、結果として政府米の販売も、自主流通米の販売もうまくいかず、私たちJAグループは、78万トンの古米在庫を持つことになった苦い経験がありました。これらの経験をふまえ、国との間で”備蓄運営ルール”というものをつくり、政府米と自主流通米の「協調販売」という関係をつくり出したのです。この、政府米との協調販売は、市場の安定化のために大きな役割を果たしてきています。これは今後も大事にしていくことが必要だと考えております。

 以上のような「供給過剰の場面」の問題の他に、11年産米については、”品質低下の問題” ”景気低迷の問題”を最後まで引きずっていかなければならないと考えております。

◆年間でも、短期的にも供給過剰をつくらない

 さて、価格の安定のために供給過剰の場面をつくらないことが大切なわけですが、そのために需給調整の仕組みをこれまで、いろいろ検討してきた経過にありますが、この仕組みについて若干お話ししたいと思っております。

 昨年10月に「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策」が決定されましたが、これは、需要に対応した米の計画的生産と、麦、大豆の本格的生産の方向を政策的に示したものであります。この「新たな活性化対策」を政策的な土台としながら、私たちの米の販売をくみたてていく必要があります。これをふまえて、米の需給調整の仕組みを考えると、次のようなことになります。

@基本となる需給調整
  計画的生産(生産調整)による、需要に応じた米生産。
A豊作により生産量が計画を上まわった場合の調整
  生産オーバー分を主食用以外に処理
B短期的需要変動(卸在庫の変動等)への対応
  各産地の自主的対応

 @とAにより、年間を通しては、需給バランスはとれるように、仕組みを構築しているのです。しかし、米の流通・消費は、経済であり、生きものでありますので、短期的な卸在庫の変動などもありますので計画通りはなかなかいきません。ですから、Bの短期的需要変動に対する対応のところを、どう各産地が納得するような仕組みとしていくかが非常に大切だと思っております。

 11年産米においては、この具体策が問われることになります。6月末の販売状況をみながら提起をしていかなければならないと考えているところです。


● 今後の販売方針について
  −好調な販売環境維持し、県連・全農一体で販売
  −「当用買い」への対応も

 Q3 11年産米の販売は、今後10月末に向けてどのように考えていますか?

  食糧庁と共同で実施した「平成11年産自主流通米流通実態緊急調査」(4月18日公表)において、「今後、適切な対策を講じれば、自主流通米の販売回復は十分可能」と判断してきたとおり、3月以降の販売は好調に推移してきています。これは、”計画外流通米の出回りのピークを過ぎたこと”の他に、”卸売業者の月末在庫がかなり減っていること”を踏まえたものであります(表2の通り)。

表2 卸売業者の月末在庫 (単位:万トン)
  11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
10RY 26 24 24 24 24 30 24 28 26 22 24 35
11RY 38 41 45 44 43 41 36 33 29 26 26 43
12RY 45 40 38 35 32 30 28          
(注)12RY5月分は速報値

 今後は、政府米と自主流通米の「協調販売」の継続などにより、この好調な販売環境を維持し、12RY(12米穀年度)中の完売を基本に、県連・全農が一体となって整然と販売をしていきたいと考えております。11年産米の6月末受渡残数量は、97万トン前後と推定しております。
 この数値は、前年同期より12〜13万トン少ないものでありますし、また卸の月末在庫、政府米の販売の前年対比からみると、販売環境を整備していけば、なんとか売っていけるボリュームではないかと見ております。

 しかし、今後、夏場に入っていくわけでありますし、その消費動向の変化、12年産米の作柄動向もありますので、これをよく横目でになみながら、米穀年度末対策を検討していきたいと考えております。銘柄によって販売残対策が必要となることも考えられますので、6月末でいったんチェックをして、必要な対策を、食糧庁、産地県と協議をしていきます。

 また、卸売業者の昨今の仕入れスタイルは、当用買い中心になってきております。これは、価格が先行き不透明のなかで、仕入れ価格リスクを回避するために、そのような傾向になってきているものです。今後もこの傾向は続くものと思われますので、これに対応する販売をするため、次のとおりすすめることとしました。

@入札取引:7月も実施する。
A期別相対取引:7月も実施する
Bスポット取引:再開する(但し100円加算)

 いずれにしても、11年産米は、17万トンの主食用以外の別途処理をしたのであります。多大の経費をかけて、”飼料用向けの処理”をしたのでありますから、その上に、さらに”調整保管”するというわけには基本的にはまいらないと考えなければなりません。そのような考え方で、あと4か月を乗り切っていきたいと思います。

 食糧庁の「米穀の消費動態調査」によると、12年4月の1人一ヶ月当りの消費量が前年同月対比でわずかながらプラスになりました。過去48ヶ月連続して、前年同月を下回っていましたが、実に49ヶ月ぶりに0.4%の増加となったのです。5月以降どうなるのかはこれからです。
 また、不景気の影響か、価格が低下したためか、分析は今後に待たなければなりませんが、米消費の動向では、明るい材料であることにまちがいありません。この動向を追い風として今後の米販売に精いっぱいとりくんでまいります。


 

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