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「日々の地道な積重ねで事故防止と品質保持を
12月15日〜13年2月15日 農業倉庫火災盗難予防月間スタート 

火災・盗難予防と米の品質保持を万全に
(財)農業倉庫基金 常務理事 上住 建之

 今年も冬期における火災・盗難事故の多発期を迎え、「農業倉庫火災・盗難予防月間」を設け、防災・防犯管理の徹底をはかる運動を展開します。
 幸いここ数年、農業倉庫における火災や盗難については関係者の皆様のご努力によって大きな事故は発生しておりません。  しかし、東北のある県の農業倉庫巡回指導員は、今の近代的な倉庫は、かなり電圧の高い電気が流れているので「漏電火災」が発生する危険性があると警告しています。例えば、倉庫内の電気配線がネズミにかじられ、そこにゴミなどがたまり、電気熱により燃え出すこともあるとのことですので、注意が必要です。

 米の盗難事故は、現在のような米余りのときはつい油断しがちですが、米は主食であり、換金も容易で、米の流通が原則自由ななかでは格好の盗難対象です。とくに、倉庫下屋やライスセンターに仮置き中に被害に遭った例が散見されますので、倉庫見回りの徹底や本庫で保管するよう措置してください。

 さて、本年度もう一つ注意しなければならないのは、本年産米の品質管理です。近年の特徴ですが、今年も夏場の猛暑で収穫期が早まり、穀温の高い米が入庫しています。ある県の例ですが、同じような気象状況の年で、穀温の高い米を低温倉庫に保管し、春先に出庫したところ、「高水分米」や「肌ずれ米」などのクレームが続出したといいます。「低温倉庫は断熱性、気密性に優れ、保管管理上最も安全である」というのが、一般的な常識ですが、逆にそれが災いして、倉庫業務の基本である「倉庫見回り」や「温湿度管理」が疎かになり、品質の変化に気づかなかった例です。本年度も同様なことが起こる可能性がありますので、十分留意する必要があります。

 また、雪印食中毒事件以来、害虫・異物混入などのクレームが小売・消費者から、卸・精米工場に寄せられることが多くなっています。あわせて、精米工場でもISO(品質管理の国際規格)の導入がすすんでおり、玄米への虫・異物混入に対する卸の目も大変厳しくなってきています。
 産地に対する信頼を保持・向上していくため、的確な温湿度管理に加えて、虫・異物混入を防止する万全の品質管理が求められています。

 関係者の皆さんには、この月間を契機に、今一度初心に戻り、自主保管管理意識の徹底による米の品質保持と「清掃と見回り」という倉庫の基本業務の励行をお願いしまして、ご挨拶といたします。



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