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特集:楽しく、おいしく、ごはんでいきいき ―さらなる米消費拡大をめざして
    JA全中 米消費拡大・食生活対策室 平成13年度の取り組み

ごはんパワーで日本を元気に―新米シーズン到来―

JA全中は今年度も米消費拡大事業を積極的に展開している。多くの人にごはんを中心とした日本型食生活の重要性を伝え、また、消費者のニーズを産地にフィードバックするこの事業の果たす役割は大きい。料理教室、シンポジウム、教育現場との連携やメディアでの広報活動など多彩な活動の内容と、その狙いなどを紹介する。

日本型食生活の普及に向け多彩な活動を展開

◆啓発、普及の対象を若い女性と子どもに絞って

JA全中が発行している
新しい
ごはんメニューや
お米の産地紹介などが
満載の「お米ライフ」

 米の一人あたりの消費量は、昭和37年には約120kgだった。それが平成12年では約65kgと激減した。
 食糧庁の調査によると、昨年度の消費量は前年よりわずかに増えたが、今年度になってからは前年同月比マイナスが続いている。また、最近では、全体的な消費減退に加え、生産世帯での減退が継続している。
 一方、米の消費が減少し脂質の摂取量が増えたことによって生活習慣病が増大
し、穀類を中心とした栄養バランスのとれた食生活の確立が多くの人々に迫られている。なかでも子どもたちを含めた若年層に望ましい食生活を確立することが大切な課題だ。
 JA全中の米消費拡大・食生活対策室は、こうした状況をふまえ、「米の潜在的な需給ギャップの縮小」と「ごはんを中心としたバランスのとれた日本型食生活の普及」を2本の柱としてさまざまな米消費拡大事業に取り組んでいる。
 この取り組みで特に注目されるのは、普及・啓発の対象を20代、30代の女性に絞ったこと。この世代の女性は、将来、母親になる年齢層であり、現在、子育て中の世代でもある。今後の日本の食生活、食習慣のあり方に大きな影響を持つ世代であることから、この層を中心ターゲットに位置づけた。
 13年度はこの若い女性層に加えて、さらに子どもたちも中心ターゲットにした活動を展開しているのが大きな特徴だ。

◆JA女性組織と協力して朝ごはんキャンペーン展開

今年9月24日に行われた
「朝ごはん 新メニュー
コンテスト」

 若い女性層を対象にした活動は、「美容」と「ダイエット」をキーワードに展開。米の栄養的な価値、ごはんのおいしさを直接アピールするだけではこの世代にはあまりアピール力がない。そこで、米の美容効果、ごはん食を中心にしたライフスタイルなどを提案。そこを入り口に日本型食生活の大切さや稲作の持つ機能などを理解してもらおうという戦略だ。
 この活動の場となっているのが、全国に3つある「お米ギャラリー」。正しいダイエットの知識を伝える料理教室の開催や、お米を使用したエステコーナーも設置され注目を集めている。
 また、ごはん食の普及活動のなかでも、とくに重要視しているのが朝ごはん。各種調査でも朝食の欠食率が高くなっていることが示されており、中学生、高校生に朝ごはん抜きの子どもたちが増えている。
 こうした状況をふまえて広く消費者向けに展開しているのが「朝ごはんキャンペーン」。
 13年度は、このキャンペーンにJAグループ版も加えたのが特徴。理由は、最初に触れたように米の消費動向をみると生産世帯の減退が継続していることから、(社)家の光協会とタイアップしてテキストを作成。JAの女性組織の協力で各地で料理教室を開催し農村部でもしっかり朝ごはんの重要性が認識されるよう学習活動に取り組んでいる。
 一方、消費者向けの事業として、今年度は情報提供から一歩踏み込み、ファーストフード店やコンビニエンスストアへの朝食メニューの提案キャンペーンを展開しているのが大きな特徴だ。
 20代の男性では朝食欠食率が30%以上というデータがある。そこで若者が利用するコンビニエンスストアやファーストフードに朝ごはんメニューをならべ、日本型食生活の普及につなげようというのが狙い。ごはん食に接する機会を増やそうという活動だ。
 今年は、食糧庁、JA全農と構成している朝ごはん実行委員会が初めて「朝ごはん新メニューコンテスト」を開催したが、これもこの活動の一環だ。
 そのほか情報提供のためにホームページ「ごはん家族」も昨年開設した。(http://www.gohan.ne.jp)ごはんを中心としたおかずのレシピを紹介している。
 また、消費者啓発事業として「全国縦断お米・ごはん食シンポジウム」を開催しているが、今年度は対象とする若い女性をさらに2つの年齢層に分け、女子高校生・大学生をターゲットにしたシンポも実施する。クイズ対決、料理対決など楽しめるプログラムを通じ、ごはん食への理解を深めてもらう。テレビ放映も予定されている。

家族で食事を楽しむ生活の大切さもアピール

◆「総合学習」視野に 教育との連携も

9月8日新潟県大和町で開かれた
「ふれあい稲刈り教室」には、
519名の親子が参加

子どもたちを対象にした次世代対策は、これまでも「ふれあい稲刈り教室」やバケツ稲づくりコンテスト、図画・作文コンテストなどを実施してきたが、子どもを消費拡大事業の中心ターゲットにした今年は教育現場との連携を視野にいれた活動を実施している。
 これは来年4月の小中学校への総合学習導入をふまえたもの。現在、NHK教育テレビでは「お米」を放映しているがその制作協力を行っているほか、農業と地域文化の理解促進のためのCD−ROMを制作し、全国の小学校に無償配布した。農業体験のない教員も多くなっていることもあり、学習の場で補助教材として活用してもらうことが目的。
 また、米飯給食の完全実施をめざす「ゴーゴー運動」も引き続き展開。米飯給食は、全国平均で週2.7回だったのが今年度は2.8回に上がっている。
 久保信春米消費拡大・食生活対策室長は「この運動は単なる米の消費拡大をめざすものではなく、おはしを使った食文化や地域の文化を子どもたちに伝えるという学習面での意義もある活動」と話す。

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 そのほか需要創造対策として、米国とカナダに米文化を根付かせようとの試みも行っている。国産米「供米ハーベスト」の輸出がそれだが、今年度はリゾット風の味付けライスの販売が実現。すでに36トンの国産米を輸出した。カナダでは量販店の40%の売上げを占めるスーパーチェーンでクリスマスから販売が開始される。米の栄養学的な優位性を世界に広めることも目的だ。
 また、広報対策としてメディア利用にも力を入れているが、10月6日からはBSフジで「やっぱりごはんだワン」(毎週土曜日、午前8時15分から15分間)がスタートする。郷土料理の作り方やお米ギャラリー情報の提供などが番組内容。
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このように米消費拡大事業は多彩な内容で展開している。
 今後のわが国は自給率向上が大きな目標になっているが、米は日本の風土にあった作物で十分に自給が可能である。しかし、国民が食べなければ生産もできないことを考えれば、消費に見合った生産とともに米の消費拡大事業が一層大切になる。
 日本型食生活の重要性も単に栄養バランス面だけではないだろう。久保室長は「ごはんを中心とした食生活はもともと農村にあった生活。その意味では、家族で食事を楽しむといった生活のあり方をもう一度取り戻そうという運動だとも言えます」とこの事業の多面性を強調している。 

【ごはん処 純米亭】
米消費拡大のアンテナショップ

 JAグループの拠点、東京・大手町のJAビル地下1階にある「ごはん処 純米亭」は、米消費拡大のためのアンテナショップとして平成11年5月にオープン。お米のおいしさ、国産農産物のおいしさを多くの人に理解してもらいごはん食を推進するために開設されたもの。
 各県産米と各地の特産物、国産農産物をおかずとした朝食・昼食(お弁当もある)メニューをそろえているのが特徴で、とくに3升のおひつに入った炊き立てのごはんを自由におかわりできることが喜ばれている。
 夜は夕食メニューのほか、純米酒やお米ビールと国産大豆を使用した手作り豆腐などお酒の肴も出す。近隣のサラリーマン、OLに人気だ。外壁の大きなディスプレイでは2か月ごとに日本各地の県産米を紹介、その県産米を食べることができるのも魅力。 

【盛りだくさんのイベント】
JA全中米消費拡大・食生活対策室 13年度の行事予定

 新米のシーズン到来。お米がひときわおいしいこの季節に、JA全中米消費拡大・食生活対策室ではお米やごはん食への理解を深めてもらう数々のイベントを予定している。今年は、次代を担う子どもたち、米離れが進む女子高校生・大学生、消費の中心となる主婦や20〜30代の女性、と対象者を絞ったシンポジウムなどを企画したのが特徴。いずれもイベントを通じて、ごはんのおいしさと栄養的にも優れていることを知ってもらうことが狙いだ。

◆全国縦断 お米・ごはん食シンポジウム

 若い女性にごはん食が美容と健康によいことと食生活の重要性を知ってもらうイベント。今年度は対象年齢を2つに分けて全国的に展開する。
(1)「ワイワイごはん」
 日時・会場・出演者については調整中。なお、本シンポジウムはTV放映を予定している。
(2)HAPPY ライススタイル〜ごはんでキレイ、ごはんでイキイキ!
○対象/20〜30代の女性
○日時・場所/平成13年10月10日(香川・高松国際ホテル)、10月30日(大阪・ホテル阪急インターナショナル)、11月6日(栃木・ホテル東日本宇都宮)、11月13日(岩手・盛岡グランドホテル)、11月22日(愛知・名古屋阪急ホテル)、11月26日(北海道・京王プラザホテル札幌)、12月4日(福井・福井ワシントンホテル)、12月11日(山口・アドホックホテル丸福)、12月17日(沖縄・ロワジールホテルオキナワ)
○出演者/料理人・板井典夫、管理栄養士・荒牧麻子、タレント・早見優(大阪、愛知、沖縄)、今井恵理(香川、栃木、岩手)、林マヤ(北海道、福井、山口)、抽選で選ばれた一般参加者10人。
○内容/第1部「ごはんヘルシー」では正しいダイエット知識とともにごはんのダイエット効果をアピール。第二部「マロン板井の美味しい・お手軽ごはんカフェ」では朝ごはんメニューやテーブルセッティングを紹介。

◆子供ごはん料理教室

 小学校高学年の児童とその保護者が対象。親子で一緒にごはん食やお米に触れることで、ごはん食への理解、親近感を深め家庭での食事の大切さをあらためて認識してもらうことが目的。第2期を来年2月9〜11日(和歌山・広島・徳島・福岡・熊本・鹿児島)で開催。
○日時・場所/平成13年11月23〜25日、10時〜14時30分。
○場所/青森、仙台、前橋、さいたま、金沢、四日市
○内容/各会場に料理研究家、栄養士を迎え、子供には料理教室で本格的なごはん料理を体験してもらい、保護者にはお米ライフセミナーでごはんや稲、水田への理解を深めてもらう。トークショー、クイズ大会も繰り広げ楽しみながらお米に親しんでもらう。



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