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特集:JAグループ経済事業と担い手対策


情報発信と人材の育成で地域農業の振興を支援

清水正 JA全農営農総合対策部長


◆JAでの関心高まるISO14001の構築

 ――14年度の営農総合対策部(営総対部)の重点課題はなんでしょうか。

清水正氏

 清水 「中期事業構想」では5つの役割・使命を掲げていますが、その中で地域農業の振興と生産資材コスト低減という課題を果たすために、生産資材各部門と連携して最新情報や技術の提供を強化すること。担い手対応室による大規模農家や生産法人など地域農業の担い手への対応を強化することが、引き続き14年度の重点課題だといえます。
 その柱は、1つは「JAグループ環境と調和した農業における生産コスト低減運動」の推進です。
 2つ目が、JA生産販売企画マネジメント体制の構築支援。3つ目が、担い手への対応力の強化です。そして、4つ目が、これは農家組合員までが対象になりますが、営農総合情報機能の拡充です。

 ――「環境と調和した生産コスト低減運動」の進捗状況はどうですか。

 清水 この運動については、引き続き県連・県本部や関係部門と連携した運動を推進していきます。低減モデル作成JAとしては、初年度で56JAの参加を得られましたが、2年目の累計目標として100モデルをめざして取り組んでいきます。また、この第一年度のモデルの成果も入れた「環境に調和した農業における生産コスト低減モデル」作成の手引きを作成しようと考えています。
 環境問題の取り組みとしてはISO14001がありますが、JAや関連会社に対する講習会を13年度からはじめ、基礎講習会を2回実施し約50名が参加しました。14年度は基礎的なISO講習と同時に、実際に挑戦したいというJAがどういう対応をしたらいいのかという実務講習を実施し、ISO構築担当者を養成していきたいと考えています。

 ――ISOは関心が高いですね。

 清水 JAで取得したいので全農が応援して欲しいという要請もあり、関心は高まってきていますね。行政と一緒になり、地域ぐるみで取得しているところもありますしね。

◆検査部門のグレードをあげ、社会的信用を高める

 ――生産販売企画マネジメント体制の構築はどうですか。

 清水 合併JAの組合員との関係をサポートすることをキチンとやっていきたいということは、営総対部の大きなテーマです。技術指導だけではなくマーケティングも視野にいれて農産物を生産することが必要ですが、販売事業と連動した企画提案、生産指導ができるJA生産販売企画専任者の育成については、13年度に「生産販売企画専任者マーケティング研修会」を実施しましたが、計画通り80名の参加がありました。
 安心・安全な農産物づくりの支援も当部の重要な課題ですが、昨年4月、ISO/IEC17025(試験所認定制度)を残留農薬分析部門が認定されました。これは作物別・農薬別に認定されますので、14年度は対象作物や対象農薬を拡大することに取り組んでいき、検査部門のグレードをあげることで、社会的信用や顧客満足度を向上させていきたいと考えています。

 ――担い手への対応力の強化については…。

 清水 1つは、JAグループの対応体制の構築促進として、当面、県域での窓口整備や専任担当者の配置などを促進し、JAと生産法人などとの結びつきを強めるための支援を行っていきます。また、JAでも自ら担い手対応を始めているところもあり、こうしたモデルJAと連携した法人対応の実践と事業取引の実践を実現し、そうした情報を紹介していきたいと考えています(詳しくは、松尾英章全農常務へのインタビューを参照)。

◆アピネス会員の倍増と県本部技術者ネットワークの充実

 ――アピネス/アグリインフォをはじめとする営農総合情報機能など情報力の強化拡充は、これからの時代では非常に重要だと思いますが、具体的にどのような取り組みをしていくのでしょうか。

 清水 アピネス/アグリインフォの会員は現在2000会員ですが、14年度中に倍増の4000会員にしたいと考えています。情報化が進んでいるJAでは、JAでネットワークを組み、会員制にして営農情報などを提供していますが、そうしたJAのネットに参加している組合員にJAのネットを通じてアピネスの会員になってもらうことなどで、この目標実現は可能だと思っています。こうした方法はすでにいくつかのJAとの間で実現していますし…。
 もう1つ情報面で重要だと考えているのは、JAグループ技術者ネットワークの運営強化です。

 ――それはどういう意味ですか。

 清水 統合連合が進み4月には33県本部となりますから、統合連合として県域の技術者ネットワークを確立し、全国本部や平塚の研究部門だけでは応えきれないような地域に即した問題や営農相談に迅速・的確に応えられる体制を確立していくことです。

◆水稲・園芸部門と連携して技術を開発

 ――新しい技術の開発や高付加価値・省力・低コスト生産に貢献する技術の開発や普及も研究開発部門の重要な仕事ですね。

 清水 もみがら成型マットとか不耕起直播機、キャベツ収穫機などがすでに上市され、推進に入っていますが、初期推進段階では技術場面からのフォローをしていかないと難しい面もありますので、関係部署と連携して、これらの普及推進にも力をいれています。
 不耕起直播機は、稲・麦・大豆応用型ですので、防除とか施肥設計など、稲・麦・大豆ごとの栽培技術マニュアルと機械操作マニュアルをあわせたものを作成しています。
 そのほか、関係部門と連携して、水稲・園芸分野での技術開発も大きな課題ですが、とくにスプレーギクの品種育成に継続して力を入れています。
 昨年、優良銘柄として新品種を「涼花火」と名づけてだしました。平塚の営農・技術センターで育種して種苗登録を申請しています。こうしたことを進めることで、生産者に低コストで種苗を提供することができますので、花き生産・販売に大きく貢献することができます。すでに全農のスプレーギクを使い、JAが営農指導し、成功している事例がいくつかでてきています。

◆人材育成にも力を入れて

 ――人の育成も営総対部の大事な仕事ですね。

 清水 一言で言えば、人材育成と情報発信が現在、営総対部に求められていることだといえますね。人材育成については、先ほどふれた生産販売企画専任者マーケティング研修会とか環境ISO構築担当者講習会、環境保全型農業研究会、経営診断・経営指導基礎コースあるいは野菜生産技術講習会、野菜育苗研究会などJAや農家を対象とした研修会・講習会をこれからも実施していきますし、その内容をさらに充実していきたいと考えています。


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