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特集:JAグループ経済事業と担い手対策


物流改革・大型規格でコスト低減に貢献する

松永公平 JA全農肥料農薬部長


◆アラジン、粒状ようりんが着実に伸展

 ――14年度の肥料農薬部の重点施策はなんでしょうか。

松永公平氏

 松永 総括的にいえば、27都府県との統合が実現し新全農がスタートし、この4月からは33県本部体制となりますから、統合によるさらなる需要結集を背景に、一層の購買力強化をはかり、生産コストの低減に貢献することが最大の課題だと考えています。また、同時に、地域実態に応じた弾力的な価格・供給条件の設定によって、競争力ある価格の実現を図っていきます。また、本年度は生産資材コスト削減の取組強化として、県別、JA別の実行プログラムを策定します。

――品目別にお聞きしたいと思いますが、肥料については…。

 松永 アラジン、中国粒状ようりんやBB肥料など、今まで推進してきた低コスト肥料の普及率向上をはかることだと考えています。
 アラジンは平成9年9月から供給を行っていますが、12肥料年度8.8万トンで普及率(国内化成肥料に占めるシェア)8%、13肥料年度はまだ途中ですが10万6000トンを計画しています。肥料の全体需要が減少している中で着実に伸びてきています。ただ、普及率でみると県間格差があるので、1県あたり最低でも2000トン程度の取り扱いをめざし、17年度には全国ベースでの普及率を10%程度まで高めたいと思っています。
 粒状ようりんは、良質な燐鉱石の埋蔵量が豊富で製造コストが安い中国に、日本の技術で造粒工場を設置し、安価で良品質な製品を供給しています。9年5月に生産能力2万トンの工場が完成し、10肥料年度2749トンから12肥料年度には7759トンと供給量が伸びており、13肥料年度は1万8000トンを計画しています。

◆高まる農薬の直接購買比率

――農薬はどうですか。

 松永 8農薬年度から除草剤ラウンドアップ(モンサント)の直接購買を始め、大幅な価格引き下げを実現しましたが、12年度からはゼネカの除草剤プリグロックスLを、そして12年10月からはノバルティス社との直接購買を開始しています。直接購買品の取り扱い拡大によって、流通の合理化に積極的に対応していきたいと思います。直接購買の対県供給実績は、13農薬年度103億円、14農薬年度は140億円を計画しています。
 海外原体メーカーと共同開発をすすめてきた高活性ヒエ剤成分・オキサジクロメホン(MY−100)は、一昨年農薬登録を取得しましたが、この混合剤を積極的に推進し、水稲除草剤分野での低コスト・省力化を進めていきます。初年度である13農薬年度は目標の10万haを達成することができました。14農薬年度は25万haを計画しています。

――新全農としての事業推進体制として考えておられることは何でしょうか。

 松永 新全農の事業競争力の一層の強化ということで、さまざまな取り組みをしていますが、なかでも、新しい全農としての技術普及体制を整備して、JA品目部会など生産者組織に対する推進に力を入れていきたいと考えています。

◆先行JAの経験活かし物流の改革を促進

――JA全国大会や「中期構想」で、物流問題がかなり大きく取り上げられていますが…。

 松永 物流の合理化、流通コストの低減は、13年度以降の最重点課題として位置づけています。JA、県連、県本部・支所と連携して、「農家配送拠点」の集約・再編に積極的に取組んでいます。

――具体的には…。

 松永 JAの資材倉庫はほとんどが小規模で分散設置されています。そのため、配送経費、保管経費、在庫金利などがかさみ、JAの経営を圧迫しています。こうした非効率的なJA資材倉庫を集約・再編し農家配送拠点とすることで、物流コストを削減しようというものです。それによって生じるメリットを組合員へ還元したり、経済渉外担当の設置などのサービス向上が図れます。
 農家配送拠点の整備にあたっては、「JA運営型」を基本としますが、県ごとの物流事情やJA合併の進展などを考慮して、JA単独では合理化が進まない地域では県連などの拠点から直接農家へ配送する「県域受託型」による整備を行います。また、県域を超える物流合理化に取り組む観点から、隣接県との調整も行います。

――設置基準としては…。

 松永 目安としては、配送サービス水準を維持しながら輸送経路の短縮が可能な拠点の適正規模として、(1)正組合員戸数約1万戸、(2)年間の肥料取扱量1万トン以上、(3)輸送の範囲を半径20〜30km圏内と考えています。そして、既存倉庫の活用を基本に、荷役・保管・配送などの物流業務の外部委託などによってコスト削減を図りたいと思います。
 さらに、農家配送拠点における在庫の圧縮、業務・事務の合理化を支援するために「広域物流拠点システム」を開発し、13年度に3県に導入されました。

――JAの資材倉庫は1万くらいあるといわれ、それを300に集約しようという構想のようですが、大変な仕事ですね。

 松永 まず、JAの役員の方たちにこの主旨と必要性を理解していただき、決断していただくことだと思います。そして、組合員に理解していただき、納得してもらわなければなりません。身近にある倉庫がなくなり不便になると思われる方もいると思いますから、農家が注文をしてどれくらいで届けられるのかなど配送サービスの水準を明確にして、それを維持していくことが大事だと思います。すでに、拠点の集約・再編をしているJAもありますから、そうしたJAの経験も活かして、取り組んでいきたいと考えています。

◆フェロモン剤などで環境対応型体系を普及

――「環境との調和」ということが、生産コスト低減とともに、これからの大きな柱とされていますが…

 松永 従来から「健康な土づくりと施肥改善運動」や「安全防除運動」を進めてきています。今回の新たな運動の中でも、こうしたものを継続・発展させ、持続的な農業生産の普及と定着をはかっていきます。また「診作くん2000」「施肥名人」などを活用した適正施肥の推進や被覆肥料など、環境に優しい肥料や施肥技術の普及拡大にもつとめていきます。
 また、農薬では低コストなフェロモン剤を普及しています。こういった品目への取り組みを通じて、環境対応型防除体系の普及推進も拡大できると考えています。また、2005年に全廃される臭化メチル代替対策の確立と普及にも積極的に取り組みます。

◆農家直送、大型規格で生産コストを低減

――担い手や大規模農家向けの「大型規格」についてどうでしょうか。

 松永 少しでも低コスト化に寄与していきたい、系統独自の規格によって、JAグループから農薬を購入していただく流れをつくっていきたいと考えて大型規格を進めていますが、ラウンドアップハイロードの系統出荷量に占める2リットルの割合は、平成13農薬年度で43%、5リットルで21%と大型規格だけで60%を超えました。さらに割安な20リットル規格を開始し、1リットル以上の出荷比率は71%に達しています。
 13農薬年度から、園芸・畑作除草剤のバスタ、プリグロックスL、ゴーゴーサン乳剤・細粒剤の3剤・4アイテムの大型規格の取り扱いを開始し、14農薬年度にはトマトトーンの100ミリリットル規格も新設しました。
 さらに、全農が一昨年農薬登録を取得したオキサジクロメホン(MY−100)混合剤のトレディ顆粒でも、大型規格を発売し、400g規格の場合、10袋(1箱)を単位(10haに対応)に、要望があれば農家へ直送するという新しい取り組みを行っています。これは、JA・県連・県本部で予約をとりまとめて、予約受注生産を行い、全農から農家へ直接配送するので配送経費も安くなります。ラウンドアップハイロード20リットル規格でも、要望があれば直送を行うことにしています。

――肥料でも農家直送に取り組んでいますね。

 松永 肥料についても、高度化成のアラジン、粒状ようりん、顆粒状の石灰窒素、尿素などを10トン車単位で農家に直送することで価格の引き下げをはかっています。


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