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特集:チェンジ・アンド・チャレンジ JAユース2002
 −第48回JA全国青年大会開催−

インタビュー

農業が滅べば、この国は滅びる
もう一度「農業大国ニッポン」へ
−青年部・JAへ熱いメッセージ−


参議院議員 大仁田 厚さん

 2月7、8日に開かれた全国農協青年組織協議会主催の第48回JA全国青年大会には、プロレスラーで参議院議員の大仁田厚さんが盟友の激励のため会場の東京・日比谷公会堂にかけつけ、「農業が滅べばこの国は滅びる。みなさんがんばって」と熱っぽく語りかけた。その大仁田さんに本紙は大会終了直後にインタビュー。改めて日本農業への思いと青年農業者へのメッセージを聞いた。

◆米国で食べた日本の米
  もう、最高だったよ

(おおにた あつし)昭和32年長崎県生まれ。ジャイアント馬場率いる全日本プロレスに入門。63年、自らプロレス団体FMWを設立。有刺鉄線を巡らせたデスマッチなどで人気を得る。平成7年に引退試合を行うがその後カムバックし現在は単身で活動。平成13年、参議院議員(比例代表区)に当選。ドラマなどテレビ番組にも多数出演。

 昔、アメリカに渡ったとき、金がないからふだんは向こうの米を食べてました。そのとき、何がおいしかったかといえば、やっぱりときどき食べることができた光り輝く日本の米。焼き魚なんかあったら、もう最高だった。日本の良さというのは、日本を出たときに感じるなってつくづく思いましたよ。
 お茶づけにしても、外国人は、ライスにグリーンティーかけてうまいのか、というけど、これがうまいんだ、俺たちジャパニーズは、絶対忘れられないものなんだ、ごはんとみそ汁があれば日本人はそこに文化を感じるんだ、と説明してました。
 今、参議院の文教科学委員会でも芸術や文化の価値をもう一回見直そうよ、といってますが、僕は農業もそういう話のなかに入れるべきかなと思う。
 確かに工業もなくてはならないし、それが発展したから経済大国日本になったわけだけど、農業国の原点を見直す地点に来ているんじゃないかと思う。
 ほかの産業でもそうじゃないか。たとえば、NASAのロケットでさえも、職人の技でできているといいますね。ミクロン単位の狂いを手で感じるという職人がいるという。機械じゃできない。モノづくりの人づくりを考えなくていいのかと。

◆「農業やめないで」と
  政府が頼まなきゃいけない

 僕らは農業は大事だって教えられてきた。それをこれから伝えるシステムをつくらなければいけないと思う。いつか本当に自給自足しなくてはならないときがやってくるかもしれない。諸外国に頼っている日本じゃだめになる時代が来るような気がするんですよ。
 米も自由市場になって価格が自由化された。でも、自由市場にするなら流通のシステムをもうちょっと確立してからやるべきだったんじゃないか。だって、生産者は一生懸命、丹精込めてつくるわけですから、その恩恵は当然ほしいですよね。国内の生産者に向けて、国としてこういう姿勢を見せるから、こういう援助金を出すから、農業をやめないでくれと、本当は政府側が頼まなきゃいけない問題だと思う。農業をやっている人たちに明日も見せないような国だったらつぶしてしまえと、そのぐらい思う。

◆子どもたちに作る喜び教える
  感動して 人に伝えて

 この間、田舎の人に虫が食っているキャベツをもらったんですよ。ああ、虫食いだな、ってじっと見ているうちに、昔のキャベツ畑を思い出しました。
 それで、スーパーで買ってきて冷蔵庫にあったきれいなキャベツと食べくらべてみた。どっちがうまかったと思います?虫食いのほうがみずみずしかった。中に野菜の汁がしっかり詰まっているんですよ。もう一方のは、たしかに見た目はきれいだけど、虫食いのほうがうまかった。ほんとにいいものはこういうものなのかと。
 僕はJAの協力で1年間田植えから収穫して自分で炊いて食べるまでドキュメントをやったことがあるんですが、やっぱり自分で作った米、うまかったですもん。感動するんですよね。
 それで、さっきJAと僕たちがタイアップして、子どもたちにごはんの炊き方とか教えてはどうかと提案したんですよ。
 子どもたちを全国から募集する。それで3日間ぐらいキャンプして、自分たちでまきを集めごはんを炊く。自給自足の生活をしてみるんです。それによって変わっていく。子どもたちも感動しなきゃ人に伝えないですよ。
 子どもだって感動すれば忘れない。きちんと感性を持っているから、それを磨くことが大切なんじゃないか。そしてそれを誰かに伝えさせる。農業を理解させるにはCM打てばいい、とかそういうもんじゃないでしょう。体を鍛えているのも、子どもたちのためでもある。夏、タンクトップ着てれば、わぁ、おっちゃん、なんでこんな太い腕してるの?、とそれだけでも興味を持つ。そういうおっちゃんと一緒にまきを割って飯を食った、うまかった、そういうことでいいと思うんです。
 大人が大人ぶってもだめですよ。子どもに見透かされている時代ですから。もっと子どもたちに素朴に質問を投げかけ、子どもたちに考えさせ、子どもたちの発想も取り入れていかないと。僕も一緒になってやりますよ。みんな原点にもう一度戻ってみようと。

◆大地で働く良さを
  もっとアピールしていこう

 もう一回、農業大国、ニッポンに変えていかないと。それも国内だけを守るんじゃなくて、もっと海外に出かけていってもいい。今度またアフガンに行って民間の文化交流センターの立ち上げを手伝ってきますが、農業の技術を持った若者がアフガンでじゃがいもづくりをして貢献したっていいじゃないかです。
 倒れそうなところがあったら全体で助けてやる。農業って、同じ土に親しむ人間どうし仲間だって気持ちがあると思う。だから、国内でも大地の恵みを尊いと思ってくれる仲間を増やしていく。そのためには、たとえば、ユニフォームももっと変えてかっこよくしましょうよ。大地で働くよさってたくさん持ってるわけですから、そういったものを自分たちの姿からアピールしていくということも大事だと思いませんか。。都会に飽き飽きしている人もたくさんいて農業に興味をもっている人もいるんですから。

◆農業に光を当てなければ――
  積極的に行動起こそう

 今、千葉県に不登校の子どもたちを対象にしたサポート校をつくる計画があるんです。そこには畑を絶対につくりたい。土いじりして食べ物をつくる。食器も自分たちでつくれよ、ということをやりたい。ここの学校を卒業するまでは食器も自分たちでつくる。そういう感性から学ばせていく学校をつくりたい。
 僕は、現実に見えることからやっていきたい。アフガンの子どもたちへの支援だって党の力を借りているわけじゃなくて自分で決めた。やろうと決めたら失敗するか、成功するかじゃなくてとにかくやる。政治の世界では、あれはレスラーのパフォーマンス、といわれることもありますが、僕はそうやって生きてきたんですから仕方ない。いろんな人を認めることも必要なんだと思う。だから、僕は、これからは農業だ、今、農業や農業をやっている人たちに光を当てなければ絶対だめだと思ったんです。
 行動を起こして俺たちの時代をどんどんポジティブにつくっていきましょうよ。


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