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特集:安心・安全で環境に優しい畜産をめざして
    ――JA全農畜産事業の挑戦

ニーズに応えた生産資材を供給し、
日本の畜産を維持・発展させる

室屋光彦 畜産生産部長

 BSE発生以後、畜産物の安全性については、飼料原料まで含めて関心が高まってきている。JA全農では10年以上前からPHF-NON・GMO原料の調達に着手するなど、こうした問題が起きる以前から安全性について取組んできているが、改めてこれからの取組み課題を中心に、室屋光彦畜産生産部長に聞いてみた。

◆牛用飼料製造ラインを完全に分離

 ――昨年のBSE(牛海綿状脳症)発生以降、それ以前にもまして食の安心・安全への関心が高まっていますが、この問題について畜産生産部としてどのような取組みをなされているのかお聞かせください。

室屋光彦氏
室屋光彦氏

 室屋 BSE問題や薬品の残留などから、食の安心・安全に対して非常に関心が高くなっています。例えば、薬品の残留については、飼料安全法で基準がつくられていますから、われわれはそれを守ってやってきているわけです。しかし、今後も消費者のニーズが強まることは間違いないと思いますから、法律を守ることは当然なこととして、プラスとしてより安全なものを供給していきます。

 ――牛の飼料については生産ラインを他の畜種の飼料と完全に分離する方向になってきていますが・・・。

 室屋 法制化される方向で進んできていますが、全農としてはそういうことが検討される以前から、そういう方向で考えてきていますし、すでに着手している工場もありますし、猶予期間など法律の内容いかんを問わず早期に立ち上げていきたいと考えています。

◆品質管理の精度をより高めていく

 ――トレーサビリティということが盛んにいわれていますが・・・。

 室屋 牛のトレーサビリティについていえば、耳標がすべての個体識別データの基になりますから、これがポイントだと思いますね。解体されて肉となって店頭に並べられたときに「どんな餌をたべていたの」と問われたときに、飼料を提供する立場として、求められる情報を提供できる体制にしておかなければいけないと思いますね。さらに、素牛の情報や生産に関る情報提供で不足することがないような対応を考えています。
 飼料の安心・安全ということでいえば、米国での原料調達段階で10年前からPHFトウモロコシに取組んできています。最初はごくわずかな量でしたが、現在はPHF・NONGMOトウモロコシとして当時の100倍くらいに伸びています。従来から、米国の農家での区分、そして組織に入ってCGBとか全農グレン、全農サイロなどのサイロ、そして工場とキチンと管理してきているわけですが、その精度をより高めていくことが大事だと考えています。

 ――品質管理については具体的に何か始められているのでしょうか。

 室屋 配合飼料を製造・供給するときに、原料の調達は全農がやっているわけですから、より安全な原料を調達し供給することにつきると思います。工場については、「くみあい配合飼料」という共通のブランドで提供していますから、このブランドの価値を高めるために、「品質管理規則」にもとづいてキチンと製造していくことです。従来から飼料安全法で求められている基準を遵守するとともに内部的には品質管理規則を設け、常に見直しをしてきています。例えば、HACCPの考え方を取り入れてきましたし、さらにISO9001についても一部工場では取り入れていますし、全体でも取組む方向で検討をし、品質の向上に努めてきています。

◆地域別飼料会社で農家対応力を強化

 ――安心・安全もありますが、輸入畜産物の競合など日本の畜産は厳しい状況にありますね。

 室屋 日本の畜産を維持・発展させるために、生産資材を競争力ある価格で、生産者に供給する義務があります。そのことをわれわれの使命として、より強く意識し実現していきたいと思っています。
 原料の手当では、主原料の産地は米国で、全農は農家機能以外はすべて持っていますから、その機能を活かして、消費者ニーズに応えられる原料調達をしていきます。さらに飼料の製造については、地域別飼料会社がすでに5つ組成されていますし、さらに来春には、8都県にまたがる関東信越地域の飼料会社を発足させる予定にしています。これが実現すると145万トンですから、中堅飼料会社の規模になります。そういうことを通して、より生産者に密着した配合飼料の供給で、力を発揮していきたいと思います。

 ――地域別飼料会社ができ、事業としては順調に伸展してきていますか。

 室屋 地域別飼料会社が漸次発足・活動し始めたので、農家への対応力が強まってきていると思います。それもあって、13年度の配合飼料は前年を上回りましたが、今年度の上期もその流れを継続していますので、このまま前年比クリアを実現したいと思いますね。

◆順調に伸展する生産基盤強化対策

 ――生産者の生産性をあげるためには、家畜の疾病に対する取組みも重要な課題ですね。

 室屋 家畜の疾病で生産性が落ちることは、収益性が下がることですから、家畜に対する安全性や衛生面での問題は重要です。病気は発生してからでは遅いので、予防面では家畜衛生研究所のクリニックがあります。さらに、幼家畜段階での対策、また鶏でいえばサルモネラ対策についても、飼料製造面からできることをやっていくことが大事だといえます。
 われわれに求められるさまざまな課題に、いかにコストを下げて効率よくしっかりやっていくかを考えています。

 ――生産基盤の強化ということでは、牛のETセンターやハイコープSF豚の100万頭構想とかに取組まれていますが、その進捗状況はどうですか。

 室屋 ハイコープ豚については、17年度に100万頭にするという構想で進めてきていますが、13年度で66万5000頭の規模になり、14年度は76万頭を目標にして取組んでいます。
 ETセンターの受精卵取扱い量は13年度で4750個と前年比130%の伸びで順調にきています。特に受胎率が高いので、かなり高い評価をいただいていると自負しています。

◆課題への対応をスピーディに効率よく

  ――最後に、部長の決意も込めて、これからの課題はなんだと考えておられますか。

 室屋 世の中の変り方が激しいので、それに遅れてはいけませんから、課題への解決なり対応をスピーディにしたいと思います。そして仕事の仕方をより効率的にし、できることはどんどんやっていくという考え方で進めていきたいと考えています。そのことで、JAや生産者のみなさんの信頼をえられるようにしたいと思います。



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