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特集:稲作経営安定と集荷向上をめざして

  パールライス事業の新しい発展に向かって
品質管理のトータルシステム構築へ
 

JA全農米穀総合対策部 江川明豁次長に聞く


◆ISO手法による統一した品質マネジメントの向上へ

−−JAグループの新卸会社として東日本と西日本パールライス会社がそれぞれ発足して8カ月。今後のパールライス事業の新たな構築のために立ち上げた、「品質管理研究会」と「マーケティング研究会」。この間の2つの「研究会」の成果と内容について説明して下さい。まず、「品質管理研究会」について。

 江川 12月4〜5日に「JAグループ卸食糧販売担当部長会議」を開きまして、この間4回の研究会を開いて検討・推進してきた「品質管理研究会」と「マーケティング研究会」での3回の研究会での内容と結論を報告し、了解を得たところです。
 ご存じのように、全国36の卸が会社化しました。全農としてはこれまでは「提案型」の事業推進であったわけですが、これからは実践的内容を重視し、管理・監督責任を明確にする方向で事業全般の構築を図りたい。
 まず「JAグループ米穀卸の品質管理をレベルアップするために品質管理のトータルシステムを構築する」ことを目的に、4回の研究会を開いてきた「品質管理研究会」ですが、結論としては全国の「パールライス会社」統一のISO手法による「品質管理マニュアル」を作成して、16年4月の合併・統合後は、統一した手法で品質マネジメントの向上を図り、経営管理をしてゆきたい、ということで了承をえました。

−−「ISO手法による品質管理システムの構築で統一した経営管理」のポイントは何でしょうか。

 江川 ポイントは2つです。ISO9000はご存じのように社会的に認知度の高い品質管理システムです。現在4つのパール会社がすでにこれを取得済み(ホクレン・静岡・鹿児島・東日本)ですが、これをすぐにすべての会社で取得せよといっても大変ですから(一年の期間と高い費用が必要)、当面は「パールライス品質管理システム」に入ってもらう。さらに5つの卸会社が取得している「JRQS」(日本精米機協会の製造部門に関する品質管理システム)を含めて、当面はこの3つの品質管理システムの同時運用をもって事業を推進し、16年4月の東・西両会社への合併発足時には、ISO手法による「統一品質管理システム」の運用による経営管理をめざしたい。

−−4回の研究会を通じて検討され、会議で報告・了承された「ガイドライン」について。

 江川 正式名称は「JAグループ米穀卸品質マネジメントシステムガイドライン」ですが、これは将来的には取引先からの要請があればの各パール会社がISO9000の取得を容易にするために、ISO手法の考え方で独自に立ち上げたガイドラインです。「ガイドライン」および「パールライス品質管理システム」は年明け2月に説明会を開き、4月から「パールライス品質管理システム」の募集作業に入りたいと考えています。

−−将来的にすべてのパールライス会社がこの「ガイドライン」を活用して、ISO9000を取得するためにどんな対策を。

 江川 これまでは個々の卸がそれぞれの品質管理マニュアルで事業を推進してきたわけですが、前述のようにISO9000未取得会社は当面「パールライス品質管理システム」に入ってもらい、これをステップにして、ISOを取得してもらう方向です。
 そのために来年早々に「パールライス品質管理委員会」を立ち上げ、運営・推進したいと考えています。

−−パールライス品質管理委員会とはどんな役割を担うのでしょうか。

 江川 委員会は、JAグループ全体の品質方針や目標をさだめ、また審査員の任命、認証、システム運用の評価、さらには実施報告書をまとめ情報として提供する。こうした作業推進のなかで、ゆくゆくは統一の品質管理システムを作ってゆきたい。

−−もう1つのポイントは何でしょうか。

 江川 第2のポイントは、全農としては現状3つの品質管理システムがあるわけですが、1年に1回全工場について「外部監査」を実施したいということです。これは会議で承認されました。
 その実施基準は前述しましたISO手法で独自作成した「JAグループ米穀卸品質管理システムガイドライン」に基づいてやりたい。
 監査の内容としては、クレームが的確に処理されているのか、トレーサビリティが徹底されているか、顧客満足度ができているのか、品質管理室の体制が強化されているか、内部監査がなされているのか、品質目標が達成されているのかなど、全農が全工場に入って監査します。さらに品質分析についても年2回実施します。
 いずれにせよ、こうした外部監査の実施によって、自分たちの品質管理の水準がJAグループ米穀卸の中でどの辺にあるのかを確認し、その後の自分たちの品質管理の向上にも役立ててゆくということですね。また、外部監査によってパールライス「商標」使用についても場合によっては一時停止などの処置もとりたい。

◆JAグループ内の連携強化へ 「大消費地卸会議」を実施

−−次に「マーケティング研究会」で検討されたことについてお願いします。

 江川 本研究会の目的は、JA米穀卸が生き残れるための体制と競争力強化の方策を検討し徹底すること、さらに効率的で合理的なパールライス事業をめざす方策を定めることですが、いくつかの検討・論議のなかで、確認されたことが1つあります。それは、来年度から実施する「大消費地卸会議」です。
 昨今の東日本パールライスの需要が拡大するなど、全農パールライスへの消費者の信頼度が高まるなか、例えば「雪印事件」のように、全農ブランドの将来を考えますと消費者の期待を裏切らないことが肝要です。
 そのためには、ISO手法の統一品質管理システムの構築と同時に、競争力強化のために必要不可欠なのは、広域卸会社となったJAグループ内の連携強化です。
 例えば「宮城パールライス」は、東北圏内量販店(ダイエーなど)の窓口(一本化)となり、東北パールライス会社のネットワーク化を図っています。統一チラシなどを作り、情報の共有化に懸命です。また全農としては、系統一本化として山崎パンやC・G・Cとの直接卸の取引会議がありますから、これとの2本立てで事業の推進を図りたい。

◆「事業開発室」の新設で全農安心システム米推進へ

−−これらの重点事業推進のために、体制を新たに強化されるそうですが。

 江川 米穀総合対策部はこれまで2課2室だったわけですが、来年1月から2課3室とし、新たに「事業開発室」を新設します。ここでは次の五つの分野を推進します。
(1)産地開発〜重要視したいのは、最近需要が増大している差別化商品としての「全農安心システム米」の1万トンを14年度目標にした意欲的な事業推進です。
 栽培履歴を明確にした「トレーサビリティ」の徹底や、「こだわり米」の推進など、消費者のニーズを生かした生産化体制を農家にもお願いする。
(2)人気売り出し中の商品「発芽玄米」(岐阜・鹿児島)など、米原料の加工品の販売促進。
(3)新規取引先の拡大推進。
(4)独自のアンテナショップとしての「カレーショップ」店の運営・弁当の供給等。
(5)新たな消費拡大対策。

◆レベルの高い抜本的な工場再編で競争力強化

−−今後の合併統合の方向については。

 江川 10月に「合併準備研究会」を開催し、16年の統合に向けて当面14年10月までに「意思表明」をしてもらう方向です。合併基準として2つの経営指標を設けました。1つは売上高経常利益が0.75%以上、2つは1人年間売上げ高が250万円以上。大変高いハードルですが、商系との競争に打ち勝つためには越えなければならない基準です。合併に関する業務は引き続き広域対策室が担当します。

−−最後に競争力強化についてお願いします。

 江川 商系業者との熾烈な競争を考えますと、現在59ある工場の効率的な再編、合理化は人的配置を含め時間がかかるでしょうが大きな課題でしょう。
 現在稼働率が55%ですから、これをアップさせて低コストの生産体制を確立することが求められています。これまでは、1県・1卸・1工場体制できたわけですが、これからは広域合併のなかで、品質の高い工場の抜本的な再編が必要でしょう。目的機能別工場、地域銘柄別工場、販売先専用工場など、これまでの発想を転換した製造体制の構築が求められています。100%稼働する商系との競争に打ち勝つためには不可欠な課題です。


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