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特集:稲作農家の経営安定と集荷率向上をめざす
    JAグループの挑戦

系統集荷率向上の取組みを全農米穀委員会委員に聞く
−−各地で奮闘する集荷率向上運動

◆上越米の区分上場を目ざして土づくり
  −−新潟県・JAえちご上越 柳澤武治組合長

 上越米は新潟県産米の区分で一般コシヒカリに含まれているが、これを魚沼コシなどのように区分別で上場できるようにしようと上越産米改良協会という協議体を立ち上げて品質向上に努めている。
 土づくりでは稲わらのすき込みとか独自の肥料を開発するなど評価を高めるための生産運動を展開中だ。お陰で全国の米卸23社から産地指定をいただき、また量販店ダイエーが「蔵米」というブランド名で販売している上越産コシでも取引をいただいている。
 一方、減農薬・減化学肥料栽培米や自然乾燥のハサ掛け米などを組み合わせた産地形成でも評価が高い。 集荷は農家の庭先からフォークリフトで車に積む全量パレット集荷だ。個々の農家が検査場へ運ばなくてもよい体制となっている。しかし大規模農家の場合は30kg袋で出荷するのは大変だから1トンのパックで効率と利便性を高めた。
 食糧事務所の検査も1日の基準を最低でも4000袋にしていただこうと検査場の施設改善を重ね、集約化の効果をあげている。
 計画外流通米についてはモチ米を特別に製菓会社との契約栽培とし、工場へ直接搬入することにした。
 こうした我々の取り組みを個々の生産者に理解してもらう体制として5、6年前に上越産米集荷結集委員会という協議体をつくって全量集荷運動を展開中だ。その中で約70の支店別に集荷目標を設定して生産者を訪問。「去年はここまで来たんだから今年はこうして下さい」などと信頼関係で話合い、事前に出荷契約をいただいている。
 私どもの集荷率は高いが、稲作地帯としてはさらに本腰を入れて生産者の立場に立ってJAの米取扱量を高めなければならない。
 そこで今後の課題だが、系統流通コストの低減が必要だ。過剰米の調整保管とか、また流通対策などに経費がかかり過ぎる。
 系統集荷率が落ち込んでくると1俵当たりにかかる生産者負担が重くなってくる。外から見て系統販売は有利ですよといえるように改善しなくてはならない。それから共同計算における透明化、さらに流通対策費の透明化、こういうものをどんどん明らかにすべきだと全農に要請している。少なくとも今後の米政策では主産地ごとの提言を全農としてまとめるべきだ。
 全中に対しては北海道、東北、北陸の主産地の主張をとりいれる体制づくりや政策を目に見える形で打ち出してほしい。その後に食糧を安定供給するための適地適産の展望も出てくる。

◆全国JA別集荷率の公表を提起
  −−佐賀県・JA佐賀佐城 野口好啓組合長

 私どもはカントリーエレベーター13、ライスセンター15を整備した。各施設には利用組合など自主運営の組織もある。そうした体制で収穫量の9割が共同乾燥となっている。
 大型農家の中には自分で乾燥機を持ち、調整までする人もいるが、そこには施設の運営委員やJA役職員が出向いて出荷協力をお願いし、話し合っている。
 全量集荷運動では出来秋の庭先集荷などに重点を置くというのではなく、まず施設利用を呼びかけて、出荷申し出の積み上げを推進し、そして契約数量の集荷を確保してきた。
 契約数量以上にとれた場合、その分は自分で販売する農家もあるが、しかし共乾施設に入った米はすべてJAで販売している。
 全国的に集荷率が落ち込んだ中で今後の課題としては、全国の都道府県別・JA別の集荷率を発表する必要があるのではないかということを提起したい。
 これまでは伏せられてきたが、良いところ、悪いところの数字がはっきり見えるようにしたほうがよい。 組合員と役職員が一体となって集荷対策や全量集荷運動にどう取り組んだか、その結果がどうか、そうした数字を全国に知らせることが大切だと思う。
 一方、集荷率の低いJAを選び、そこが集荷率を向上させていく活動を支援しようという全農のモデル設定案には反対だ。現実には非常に集荷率の高いJAが多いわけだから、そこの教訓をもっとPRしたほうがよいと私は考える。
 最後にポジ配分について単収は見込み通りにはいかないから、面積配分との並立が必要だと思う。

◆品種転換や集団転作営農販売戦略を基盤に
  −−宮城県・JA古川 木村敏彦組合長

 かつてはササニシキの産地だったが、今は作付面積の6割がひとめぼれで、ササは2割を切った。まなむすめがそれに続く。ササは病気や気候に左右されやすいため品種転換を進めた。高い集荷率の基盤にはこうした営農販売活動がある。
 また大豆、麦への集団転作を先取りして、いち早く団地化を進め、大豆作付は約1200ヘクタールに及ぶ。米が合計6000ヘクタール弱だから、転作規模は非常に大きい。これには米対策に匹敵するほどの農水省の助成がついた。
 平成10年には約70の大豆生産組織ができた。組織形態は集落組合、受託組合、水稲組合などだ。トラクターなどの機械はJAが購入し、各集団にリースしている。麦のほうにも受託組合が7つある。
 米集荷ではずっと前から全集落に受検組合があり、全量集荷運動で完全な庭先集荷に取り組み、網目下も含め9分9厘まで集めている。以前はJAが独自に仮渡金を上積みしたこともあるが、過度な産地間競争をなくすため、今は県一本で足並みをそろえている。
 高い集荷率の背景は多様だが、昨年はササニシキ研究会ができた。ササを守って作付割合を25%程度に回復させるねらいだ。稲作部会や青年部は特別栽培米に取り組んでいる。「全農安心システム」による米づくりにも励んでいる。
 米政策の見直しについてはポジ配分に反対だ。単収の違いを面的に、だれがどう換算するのかなど県の町村会でも反対している。
 食糧庁が見直し案を打ち出す前にJAグループが米政策はこうあるべきだという主張をまとめるべきだ。

◆商標付紙袋管理徹底 前年より8.7%集荷向上
  −−大分県・JA大分みどり 穴見誠一組合長

 13年産米の集荷率は前年よりも8.7%伸びて95%となった。その要因はいろいろあるが、昨年新しく実施した対策を挙げると全農の紙袋の管理を徹底したことが1つある。
 全農マークつきの袋はJA集荷だけに使い、よそへ出荷する人には商標のない無地の袋を販売することにした。JA以外への出荷者も全農マークの袋を欲しがるが、昨年は営農と購買が連携をとり、「商標袋はJA出荷用です」と念を押してJA利用の範囲を広げてもらうよう訴えた。
 袋管理の徹底は以前からの課題だったが、昨年から実施に踏み切り、集荷率向上に寄与したとみている。また農業生産法人対策も強めた。管内には法人のライスセンター(RC)が15ほどあり、周りの農家から乾燥調製を受託しているが、その中にはJAへの出荷率の低い法人がある。
 しかし機械設備の更新資金はJAから借りている。そこで有利な融資条件と出荷率の向上をセットにすることなども訴えた。
 さらに計画流通米と同水準の仮渡金を払って計画外米の取扱量も増やした。計画外米はJA直営の搗製工場で白米にするため、収支は償えるとはじいた。
 なお、JA直営のカントリエレベーターとRCが2つずつあるので私どもは施設集荷を重視している。

◆施設利用奨励金や予測収量示し契約量確保
  −−兵庫県・JA丹波ひかみ 開田和組合長

 カントリーエレベーターとライスセンターでモミを集荷すれば手間が省け、コストが下がるため、その分を利用者に還元し、30kg当たり300円の施設利用奨励金をつけている。
 また、大型機械を持つ農家でつくるオペレーター組合が作業受託で刈り取ったモミを施設に持ち込むという集荷体制もある。これによって中小農家は機械化投資の負担に苦しまなくてすむし、大型農家も機械をフル稼働できるため施設利用とリンクさせて運動化した。 一方、作付面積が決まった段階で個々の農家の予測収量を示し、出荷申し出を積み上げた後、契約量を確保する運動にも積極的だ。
 今後の課題としては米代金の支払いをもっと早くできないか考えてほしい。計画外米は即金が魅力だ。計画米は契約金を含め3回に分かれ、最終精算は翌年3月だ。合計額は計画外米と同じでも、翌年回しでは農家にはピンとこない。
 また過剰米は調整保管する以前の対策として国が特別枠を設け、学校給食とか外食産業用に回せないものか。30万トン程度なら全国各地に配分すればごくわずかの量となる。調整保管の経費は転作率の高い消費県も、低い県も同じだが、これも矛盾している。
 一方、ポジ配分にすれば作付面積の増加が予想される。それ辺が大問題だ。


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