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特集:総合力発揮で信頼性を確保―
    リテール分野拡大で飛躍をめざすJAバンク

個人ローン伸ばし収益力強化へ
JA福山市とJA尾道市の取組み事例

 JAバンク全国大会は宣言の中で「個人ローン伸長による収益力強化」を掲げた。ローン作戦の積極展開は15年度の最重点実施事項だ。大会で感謝状を贈られたJAはすでに、この作戦で、いち早く実績を挙げてきた。
 広島県信連は大型JAを中心メンバーに融資研究会を設け、その協議を経て、昨年6月から12月までマイカーローンの県内統一キャンペーンを実施し、前年の実行件数を大きく上回る成果を挙げた。今年はローン作戦の中心である住宅ローンの県内統一キャンペーンも展開する。
 そうした中で同県下ではJA福山市とJA尾道市の両組合長がJAバンク全国大会で感謝状を受けた。
 JA福山市は昨年3月に27店舗を3ブロックに分けて3会場で住宅ローンの休日相談会を開催した。JAには不動産事業部門があるため、リフォーム関係業者によるシステムキッチンとか風呂などの展示会も、相談会と併せて開き、集客力を高める工夫をした。
 また渉外担当者が日常訪問の中で見込み客を探し、来場を誘った。ねらいを住宅金融公庫融資の借り換えに絞って償還中の見込み客をつかんでいった。チラシなどによる宣伝もした。
 しかし会場から遠くて来場しにくい人もいるため、その後はさらに、きめ細かくブロックを5つに分けて5会場で開いた。これで全店が2回の相談会を開いたことになる。
 結局、来場者は合計で約150人にのぼり、うち成約が約3割という成果を挙げた。14年度の実行額は今年1月末で9億2000万円となった。県内6JAの同年度上期の実行済みが10億円なのでJA福山市の実績の比重は大きい。実行のうち借り換えは4割強で、後はほぼ新規融資だった。
 セールスポイントには、JA共済の建物更生共済加入と給与振込み指定にそれぞれ0.1%の金利優遇をするなどがあり、こうした設定も効果的だった。
 職員研修は新しい融資担当者を最重点にしたが、相談会場でベテラン担当者の推進方法を実戦的に学んだことが全店での戦力アップにつながったという。
 一方、マイカーローン契約も今年度は1月末で339件となり、前年度に比べ約80件増えた。
 JA尾道市はマイカーローンで大きな成果を挙げ、12月まで展開した県内統一キャンペーン期間中の実行件数が前年同期の約2.5倍にのぼった。県全体では10月までの累計で80%増なのでJA尾道市の増強ぶりがひときわ目立つ。
 ローン申込者はほとんどが20代30代の若年層で新規だった。県下統一で1.9%の低金利が功を奏した。
 宣伝は県内統一の仕掛けに任せて、尾道としては渉外力の強化に力を注ぎ、担当者の成績ポイントをマイカーローン推進では高くした。例えばJA貯金や定期の推進の3倍の点数にするなどの手法をとった。
 また月1回の渉外担当者会議を単なる会議に終わらせず、商品知識やアプローチの仕方、対応の仕方、審査のポイントなどを勉強する場としてパワーアップの努力を積み重ねた。
 マイカーローンは全国的に平成5年から右肩下がりだが、一番の原因はすでに借りたローンの完済だ。このため今後は再度の利用を呼びかけてリピーター確保に重点を置くという。15年度も引き続いて実施される県内統一キャンペーンの中ではリピーターに焦点を合わせていくとのことだ。
 住宅ローンは、10数社のハウスメーカーと連携する手法で、新しい造成団地の施主をねらい、今年度の実行件数は前年の1.5倍にのぼった。いきおい、ほとんどが新規だった。
 新年度は借り換え推進の柱も立て、新興団地向けとの2本立てで一層のローン増強を図るという。(2003.3.3)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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