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特集:農薬座談会
    農産物への安心・安全に一層の努力

平成15年は更なる挑戦へ
適正使用の推進と新剤の普及に
江崎洋一 バイエル クロップサイエンス(株)農薬営業第2部 関東営業所所長

江崎洋一氏

 世界的な統合を受けて、日本バイエルアグロケムとアベンティス クロップサイエンスシオノギの2社が統合して、バイエル クロップサイエンスとして発足したのが平成14年10月です。平成14年は、弊社にとって激動の年であり、2つの会社を1つに統合するのに大きなエネルギーを使いました。同様に、当社以外の農薬業界では、大きな再編が具体化しました。
 平成14年発生した無登録農薬問題の影響は大きく、農耕地から登録のない農薬は駆逐されることになります。これに対応して、業界各社と同調して、適正使用に関する技術普及体制の整備に取り組みました。雑草害や病害虫防除の面では、除草剤抵抗性の水田雑草発生地域の拡大や水稲・果樹場面でのカメムシ発生が話題となり、それらへの対応を進めました。具体的には、抵抗性雑草対策を考えた新水田除草剤を普及に移して、地域によっては大きな成果をあげました。カメムシでは既存殺虫剤の普及と並んで新規殺虫剤開発を強力に進めました。殺虫剤と並んで、畦畔雑草防除による副次的なカメムシ棲息地対策も進めました。
 更に、農業の抱える課題への対応として、省力散布技術の普及にも取り組みました。高齢化対策には省力散布が必須となるでしょう。水田除草剤では、田植同時処理技術の普及を目指してきました。育苗箱処理でも播種時施薬のトライアルを行いました。両技術とも、農機メーカーとのコラボレーションであり、信頼関係を醸成しながらとり進めることができました。これには農機メーカーの協力も頂くことが多く、業種の枠を超えた共同研究の大切さを印象付けられました。
 これらを受けて、平成15年は当社にとって更なる挑戦の年と位置付けています。平成15年は、フル統合の初年目であり、製造・営業も完全に一体化します。統合により多くの製品を抱えていますし、これらの経営的な検討も進みます。基本的に従来からの関係メーカーとの良好な関係を維持しつつ、当社の直販部門の拡大を目指します。特に直販部門は、商系・系統の従来関係取引先との連携を深めながら、適正使用の推進と、新剤の普及を強力に進めたいと思います。
 昨年からの課題である無登録農薬への対応、新技術の開発、農機メーカーとのコラボレーションは更に範囲を拡大していきたいと思います。当社は、農薬業界における存在性を認識すると同時に日本農業の技術革新に取り組んでいく、それが当社の使命だと考えています。 (2003.3.18)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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