農業協同組合新聞 JACOM
 
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特集:JA共済でゆたかで安心な地域社会を

社会貢献称えて
農協共済中伊豆リハビリセンター30周年記念式典

 全共連を中心に農協共済事業を母体として昭和48年4月に開設された社会福祉法人の中伊豆リハビリテーションセンター(静岡県田方郡中伊豆町)が創立30周年を迎え、5月16日、センターの理事長である全共連経営管理委員会の新井昌一会長や、静岡県東部健康福祉センターの原田昭一所長ら来賓多数が出席して記念式典を挙げた。

◆総合機能高める

 同センターは伊豆スカイライン南端近くにある壮大な施設で、環境抜群の緑の中に医療棟、リハビリ棟、訓練棟、作業棟、研究棟、体育館などが威容を誇る。
 敷地約16万平方メートル、建物2万2388平方メートル。
 病院と同じ機能を持つうえに肢体不自由者更生施設や身体障害者の授産施設などを持つ複合施設で、民間では珍しいスケールだ。
 当初から「東洋一」などといわれてきたが、その後施設体系の整備を重ね、さらに3年前からは介護保険事業を開始し、通所リハビリテーションや訪問介護なども実施。ますます総合的な機能を高めている。
 職員は医師、薬剤師、看護士、各種の技師、療法士に加え、最近、国家資格となった言語聴覚士もいる。言語障害と食物がのどを通りにくい障害者などのリハビリにあたる。
 そしてケースワーカー、介護員、ホームヘルパー、栄養士、調理師とスタッフをそろえ、合計正職員は254人、臨時職員が54人。
 患者や入所者にはやはり高齢者が多いが、対照的に療法士などにはきびきびした若い人が目立つ。ちなみに療法士には理学、作業、運動の3職種がある。

◆社会福祉の拠点

表彰状を贈られるセンター職員
表彰状を贈られるセンター職員

 記念式典は、役員、職員たちが体育館に集まってセンターの発展を祝った。
 来賓祝辞では中伊豆町の海瀬英治町長が「全国に屹(きつ)立した社会福祉の拠点が、ここにあることは我が町の誇り。すばらしい拠点をつくり上げてくれたことに感謝する。センターは社会の変化に対応し、福祉の流れをつかんで経営され、介護保険の施行に際しては介護事業を開始するなど事業は末広がりに発展してきた」と称えた。
 センターは訪問看護ステーションを駿東郡長泉町と伊東市に置いている。また伊東のステーションは熱海市に熱海サテライト事業所を出している。
 こうした積極的経営について海瀬町長は「外へ打って出る事業はすごいと思った」とも語った。伊豆は観光地であり、人を迎える事業はあるが、外へ進出していく事業は少ないからだ。
 センターの事業にはメインの事業に加え「その他の活動」がある。その1つに第一線で活躍するリハビリの専門医や、専門医志望の医師を対象に毎年、研修会(日本リハビリテーション医学界後援)を開いている活動がある。
 すでに23年間も続け、延べ参加者数は約1500人に及び、リハビリ医療の発展と普及に寄与している

◆JAの要請受けて

農協共済中伊豆リハビリセンターの創立30周年記念式典であいさつする新井昌一理事長
農協共済中伊豆リハビリセンターの創立30周年記念式典であいさつする新井昌一理事長

 また平成8年度からはホームヘルパー養成研修会も実施。昨年までに1、2級と、それに訪問介護員2級を合わせると約700人を養成した。
 これらはJA伊豆太陽など県下の各JAからの要請に応えて行われている。さらに10年度からは県の委託を受けてガイドヘルパー研修会を実施するなど県東部での高齢者対策実施の一翼を担っている。
 海瀬町長は、こうした多面的な活動も挙げてセンターが「今後は情報発信の場としても発展する」ことを期待した。
 これに先立つ新井昌一理事長のあいさつでもセンターが「30年間、社会福祉法人として身体障害者の社会復帰と、リハビリテーション医療の発展のため多大な社会貢献を果たしてきた」との評価が語られた。
 新井理事長はセンターの生い立ちについて、昭和40年代のはじめ「交通戦争」とまでいわれた交通事故の激増に対処して農協共済が自賠責を実施するに当たって、単に事故の保障を行うだけでなく、被災者の社会復帰という課題にも取り組もうという主旨で開設された、と振り返った。

◆社会復帰を支援

 また実績については、30年間で、1031人の福祉施設利用者と、1万1110人の入院患者を受け入れて社会復帰を支援。さらに現在は約900人にさまざまな在宅サービスをしており、医療や福祉の現場での治療や訓練にとどまらず、歩行分析などの研究活動のほか、対外活動も積極的に行っていると報告した。
 そして、少子化・高齢化社会の到来とともに事業環境が大きく変化してきている中で、センターに対する社会や地域の期待と、責任もより大きくなっているとし、「これに応えるため、役職員一同は30周年を機に決意を新たにし、リハビリテーション医療の充実と身体障害者の社会復帰に向けての努力を続けてまいりたい」と決意を語った。
 来賓祝辞では全共連の前田千尋理事長が「センターの社会的役割や社会的貢献がいかに大きいか、新井理事長が挙げた利用者や患者などの数字が物語っている。センターはJA共済の事業理念である相互扶助の具現化の1つとして運営され、全国でもトップクラスの質の高い機能を発揮している」と称えた。

◆利用者は各地から

 祝典ではセンター30年のあゆみを枝松満雄常務が説明した後、長年勤続職員、優れた研究論文をまとめた職員、業務改善の実績を挙げた職員が表彰された。
 センターの入院患者と入所者などの受け入れ状況を見ると、延べ人数は11万2196(13年度末)にのぼる。都道府県別にすると、施設部門では東京からきている人が多く、特に重度更生施設では約55%が東京の人で、疾患は脳血管障害が多い。
 診療部門との合計では静岡が68.5%で一番多く、次いで東京、神奈川、千葉、埼玉、その他の順。合計で見ても疾患は脳血管障害が約65%で一番。次いで骨折、脊髄損傷、脳性麻痺など。
 なお、姉妹施設として大分県別府市に農協共済別府リハビリテーションセンターがあり、ここも30周年記念式典を5月下旬に行う。 (2003.5.28)


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