特集 ―― 21世紀の農業を考える／ＪＡＣＯＭ

　JA栗っこ、JAみやぎ登米、JAみどりの管内など、県北を中心に穀倉地帯を抱えるJA全農宮城県本部。県内の水稲面積は8万ヘクタール（収穫量：25万トン）で、減反前に比べ3分の2に減少した米穀部の取扱高だが、ひとめぼれ、ササニシキ、まなむすめを中心に活気があり、農薬事業においても統合連合の成果が現れている。

◆「MY-100」の実績はホームランが中心

ＪＡビル宮城

　JA全農宮城県本部の「MY-100」入り混合剤の普及は、平成13年＝4800ヘクタール、平成14年＝7000ヘクタール、平成15年＝1万7000ヘクタールと着実に面積を拡大している。商品は、「ミスターホームランフロアブル」を回転軸に「同粒剤」、「同ジャンボ」、「トレディプラス粒剤」、「同ジャンボ」のウエートが高い。
　これら商品のウエートが高いのは、もちろんSU（スルホニルウレア）抵抗性雑草対策の「クロメプロップ」（有効成分）が含有されているためだ。管内でホタルイ、アゼナなどSU抵抗性雑草が問題となりはじめたのは4～5年前のことで、まさに「渡りに船」となった。
　『MY除草剤　JA結集　ありがとうキャンペーン』の給油引換期間は、5月～7月の3カ月間に限定された。「あまりだらだらやるのは、JAのSS担当者も大変」（鎌田課長補佐）という現場の声の反映もあるが、除草剤の使用時期が5月から本格的に始まることも考慮に入れた。
　JA全農宮城県本部は、商品の推進およびキャンペーンのCM放映を3月より開始したほか、新聞広告、チラシ、ポスターでも積極的にキャンペーンをPRしたが、「JA（地区）の8名の推進担当者が張り付いて推進したことが大きかった」（同）という。

◆「5.5リットル規格」目標の500ケースを完売

　JAグループは、15農薬年度から「ラウンドアップハイロード」において「5.5リットル規格」の数量限定セット販売を開始した。JA宮城県本部も、この「農協だけの予約販売」に精力的に取り組み、推進目標の500ケースの完売を2月～4月の3カ月間で達成している。
　同本部は、「ラウンドアップハイロード5.5リットル」のラジオCMを平成15年1月27日～4月末（土・日を除く毎日5回）にかけて行っている。また、2月26日にはメーカーの協力も得てPOP研修会（JA購買窓口担当者研修会、60名参加）を開催し、推進に当たっての研修を行った。
　各担当者がJAに出向き、ラックの取り付けをしながらの推進にも万全の体制でのぞんでいる。「JA合併が進んでいるが、各支所は残っており、ここをキメ細かく巡回して好結果を得た」（同）という。キメ細かな推進と推進担当者のがんばりが功を奏したわけだ。

◆「ジェイエース」を資材費低減の柱に

コスト低減を果たした各資材

　「この（ジェイエース）話は、3～4年前より聞いており宮城としても期待していた」と鎌田課長補佐。管内は水稲県であり、おのずと園芸農薬のシェアが低く、「オルトラン」の系統シェアも低かったという。これらの背景から、「オルトラン」から系統一元品目として「ジェイエース」に切り替えたものであり、現在では資材費低減運動の柱となっている。
　管内は、「ジェイエース」では粒剤が中心となっている。平成15年4月末の実績は、1キロ剤＝150ケース、3キロ剤＝140ケースの実績。
　「新製品であることから、まだまだ認知度が低い」（同）ので、テレビ・ラジオCM、新聞広告、チラシ、ポスターなどを活用し、積極的に普及活動につとめているという。さらに、「まだまだハードルは高い。毎日、毎日の積み上げが大切であり、コツコツとやっていくしかない」（同）の言葉に新鮮さがあった。

◆生産資材費用低減は「物流の改革」から

　JA宮城県本部の生産資材および肥料農薬関係の会議を見ると、昨年9月の担当者会議を皮切りに、今年に入りJA肥薬担当課長会議、JA営農指導担当者会議、JA購買窓口研修会などを開催し、今回の推進につなげていった。
　農家に対する生産資材費の低減として、効果の良いものを低廉価格で、しかも「スピードをつけて供給していくことが重要」（同）だという。管内には、JA栗っこ、JAみやぎ登米、JAみどりのの3カ所に物流拠点があり、物流体制も万全だという。農家の顔が見える推進が光っていた。

（２００３．５．３０）