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特集:組合員のしあわせづくりへ 多彩な事業展開が各地で
    家の光事業の活用をベースに地域に根ざした力を発揮

座談会
組合員のしあわせづくりへ 多彩な事業展開が各地で
家の光事業の活用をベースに地域に根ざした力を発揮

(出席者)
高橋専太郎 花巻農業協同組合常務理事
林 正照 えひめ南農業協同組合代表理事専務
柳楽 節雄 家の光協会常務理事
司会・白石 正彦 東京農業大学国際食料情報学部教授

 第23回JA全国大会で決定された重点実施事項を受けてJA教育文化活動をどう発展させていくかについて、家の光文化賞を受賞している2JAの取り組みを中心に語ってもらった。論点はJA女性部活動や家の光事業の活用など非常に多岐にわたったが、地域に根ざしたJAの力をますます発揮し、協同と文化の力で元気なJAづくりを進めていくことを確認した。

◆組織基盤の拡充目ざして

高橋専太郎
たかはし・せんたろう 昭和18年岩手県生まれ。昭和41年笹間農協入組、平成3年花巻市農協企画広報課長、11年岩手花巻農協企画管理部長、12年参事、14年常務、現在に至る。

 白石 第23回JA全国大会決議が示した重点実施事項の4番目は「協同活動の強化による組織基盤の拡充と地域の活性化」です。そこには教育文化活動を通じてJAと組合員の結びつきを強化していくねらいがあると私は考えています。この重点実施事項をどう受けとめておられるか、家の光協会としてはいかがですか。

 柳楽 合併でJAが大きくなり、世代交代を迎え、JAへの結集力が問われる中で、組合員との結びつき強化が重視されてきました。
 創刊80年を目前に組織基盤の拡充という役割で、今こそJA教育文化活動を専門的に支援する団体として、さらなる機能発揮が求められたと受けとめています。全国のJAの期待に応えていきたいと思います。

 白石 JAいわて花巻での議論はいかがですか。

 高橋 地方の農村で今、最大の関心事はWTOやFTAの成り行きです。同時に組織基盤の強化も求められており、私も家の光協会の「教育文化活動活性化委員会」で、JA全国大会議案の中に協同活動の強化方針を盛り込んでほしいと要望した経緯があり、大変良かったと感じています。

 白石 では、JAえひめ南ではいかがですか。

 林 重点実施事項2番目の経済事業改革の内容には若干の疑問を感じています。生活活動と生活関連事業は島しょ部、中山間地域にとって非常に大事であるからです。4番目はJA運営への女性参画、地産地消、そして高齢者対策など積極的に取り組むべき大きな課題を挙げた意義が大きいと思います。

◆「協同の遺伝子」を次世代に

林 正照
はやし・まさてる 昭和15年愛媛県生まれ。産能大学卒。昭和37年西三浦農協入組、宇和島農協宇和海第一支所長、生活部長、金融部長、宇和島支所長、参事を経て、平成5年専務理事、9年えひめ南農協常務理事、13年代表理事専務、現在に至る。

 白石 家の光協会では大会議案の決定との関連でどのように具体化されますか。

 柳楽 平成13年度に「教育文化活動に貢献するための家の光事業機能の活性化方策」を、15年4月に「教育文化活動による家の光事業促進委員会報告」をまとめました。大会決議には、前倒しに対応していると思います。協会は、こうした今までの取り組みを踏まえ、今後基盤強化を図るため地域やJAで活用できる家の光事業を展開していきます。
 その一つとして今年から各JAに「教育文化・家の光プランナー」を設置していただくことを提起しています。プランナーは、地域の教育文化活動をどのように活性化するかをテーマにした研修を受けた上で活動を進めるという仕組みです。
 農協をつくった世代が高齢化して「協同組合のDNA」が次世代に伝わるように組合員教育、協同学習の資材として『家の光』等媒体を強化し、コンパクトな資材の開発も考えます。
 さらに生活文化活動を強化するため、協会としてJA生活文化活動の活性化に資する調査研究に着手します。その成果を全JAに提供する考えです。

 白石 ではその両JAの中期計画や取り組みの問題点、その背景となる地域の特徴点などを家の光事業との関係でお話願いたいと思います。

◆財務改善の悩み抱えて

柳楽 節雄
なぎら・せつお 昭和23年生まれ。島根大学農学部卒。昭和45年家の光協会(家の光編集部)、62年編集局家の光編集部編集次長、平成2年東京支所次長、6年家の光編集部編集長、9年総務局長、11年総務企画局長、12年3月常務理事に就任。

 高橋 コメ、野菜、果樹、畜産が中心で岩手県下一の農業地帯です。組合員数は正准合わせて1万9000人。今年度を最終年度とする第2次中期計画を実践して155の全農家組合に営農振興計画を立てました。
 問題は大会決議が示したJAの財務改善目標が東北や北海道のJAに重苦しくのしかかっていることです。他部門への資金運用基準にしても何も事業をやらなかったら問題はないのですが、生産地帯のJAにとっては特に固定比率問題が大きい。
 農業関連事業では共通管理費配賦前の事業利益で、また生活関連事業では純損益で収支均衡を目標とするとなっていますがこれは大変なことなんですね。
 政府の総合規制改革会議や農協のあり方研究会の提言や報告の影響を受けたJA改革の1つの旗印とも見られます。
 事業利益が出なければ株式会社化して乗り切れといいますが経済事業がJAから切り離されると組合員の意識もますますJAから離れるのではないかと思います。協同組合は人的結合体であり、弱者の集団だということを忘れてはならないと、この前も家の光協会の活性化委員会で討論しました。
 ところで合併前のJA花巻市は平成7年に家の光文化賞を受賞し、その記念事業にファーマーズマーケット「だぁすこ」をつくり、また元気高齢者対策で福祉事業のデイサービスを始めました。今年も受賞に挑戦して新規の記念事業を実施し、地域にアピールしたい考えです。

◆女性参画に数値目標

白石 正彦
しらいし・まさひこ 昭和17年山口県生まれ。九州大学大学院修了。農学博士。東京農業大学国際食料情報学部教授。昭和53年〜54年英国オックスフォード大学農業経済研究所客員研究員、平成5〜7年ICA新協同組合原則検討委員会委員、10年ドイツ・マーブルク大学経済学部客員教授。

 白石 JAえひめ南のほうはどうですか。

 林 柑橘、果樹、コメ、野菜、畜産の地帯ですが、ミカンの専門農協が1つ未合併で二重構造を残しているのが課題です。組合員数は2万2977人。基幹的な特定支所6つのうち宇和島支所管内には漁協が7つあり、共済や金融で競合しています。
 高齢化が進み、10年後には70歳以上が40%以上になりそうです。柑橘類の耕作放棄は他の農家に重大な影響を及ぼすため切実に継承者を求めています。現在、農業の担い手の中心は60%位が女性ではないかと見られています。
 14年度から第2次中期経営計画に入り、農業所得の向上を目ざして特にブランド品の開発を進めています。9年に合併してから営農センターを6つ立ち上げ、それを軸に販売体制を確立し、物流拠点も整備しました。
 一方、女性参画では来年度から総代の1割以上、理事では2人以上を目標としています。支所ごとにあるJA運営委員会の委員も各2人以上が目標です。
とにかく女性は元気があるし、生活文化活動の担い手です。
 生活事業については合併後ずっと右肩下がりです。純利益で黒字にしなさい、赤字が2年続いたらやめなさいということから、統廃合をすれば組合員との触れ合いで問題が出てきます。
 財務問題に入りますと、うちの自己資本比率は12.2%で県下では低い。合併時に内部留保を持ち込まなかったからです。
 他部門運用基準が自己資本の範囲内となると、うちは8億5000万円(14年度末)足りないので今年度末までには基準に合わせます。
 さらに固定資産の比率が67%と高いことに困っています。中期計画では支所の機能統合による大型化を進める考えです。しかし組合員の声を聞く運営の点で疑問を感じています。
 教育文化活動については、その中に広報活動も生活活動もあるといったことからも家の光事業の役割は非常に大事だと感じています。

 柳楽 両JAとも条件に恵まれていない中で、厳しさを克服しているのは組織力を結集してきた成果だと思います。男女共同参画が問われており、農業の主力な担い手である女性の力をいかに引き出せるかが課題になっています。女性の力を十分に発揮させた両JAの活動はモデルケースと思います。

◆農業のイメージアップを

 白石 従来のJAの事業計画は販売額をどう伸ばすかなど経済の上向き時代の発想でしたが今は農家の経営や生活をどうするかという指標を重視すべきだと思います。
 販売額が下がっているのは農家の努力というよりも、事業環境によるものです。一方、直売所の拡充や加工による付加価値づけなどの取り組みが前進しています。JAも大転換の方向にあるようです。
 次にJAの経営サイドからする教育広報活動は、協同組合原則にある教育・研修・広報の視点も重要です。農家組合や生産部会、女性組織の活性化といった面も含めて、えひめ南の取り組みはどうですか。

 林 教育広報活動についていいますと、その対象には組合員だけでなく地域住民も含めて参加・参画意識の向上促進を図ることが大事です。そのためにはJAからの情報発信や農業のイメージアップ活動が必要です。
 もう一つは当然、『地上』と『ちゃぐりん』を合わせた家の光三誌の普及と、各連合会の広報誌ですね。『家の光』は料理や暮らし、若い女性に人気のある記事に力を注いでいるから地域のコミュニティ誌としての位置づけもできると思います。
 うちの場合はホームページも開いており、イベントの開催も積極的で、またJAの主催でない行事にも参加しています。
 組合員教育では年1回の座談会でJAの方針や事業内容を説明し、組合員の声を聞いて事業に反映しています。それから支所ごとにある運営委員会の役割も大きく、ここでも組合員の声を聞き、それを組合員に返しています。委員は合計約1000人で、共済や金融の推進に協力する中で協同の心を養っています。生産部会は31あります。
 一昨年からは女性大学を開設しています。教養を高めるのはもちろん、営農や生活設計、明るい家庭づくりなどもテーマにしています。目的は男女共同参画社会への中核的な女性の養成です。
 年間6回の講座を開き、修了証書を渡しています。
 青年部員は約300人で担い手育成の活動に加え、女性部と共同で農産物の展示即売会を開くなど消費者との交流も深めています。また昨年からは、農業後継者の花嫁対策を目的とした独身男女の交流会を開催しています。

◆「JAを見直した」の声も

 白石 JAいわて花巻はどうですか。

 高橋 JA運動は組織運動に尽きるというのが私の考え方です。というのはうちの場合、農家組合がJAの存立基盤であり経営基盤であるからです。
 そして青年部、女性部、各生産部会の活性化が、これからのJA運営と農村を支える重要な位置づけを担うということからこれら組織の活動を積極的に掲載する広報誌とコミュニティ誌を発行しています。
 この前は合併5周年記念大会のイベントとして家の光のクッキングフェスタをやり、地産地消の料理研究をアピールして市民約500人が集まりました。
 また作家の五木寛之さんを招いて市民を対象に記念講演会を催し、約800人が集まりました。参加者はJA単独で、こんなすごい講師を呼べるのか、JAを見直したなどと口々に評価していました。イベントに使った会場などを初めて見た市民は、JAの施設は立派だと大変感心していました。
 これは逆にいえば地域住民はJAを知らないということになります。そこで次期の第3次中期計画では、一般市民に提供するレベルの高い広報活動を進める方針を打ち出さなければいけないと思っています。
 『家の光』の活用では、総代会の記念品に3ヵ月分の『家の光』を530人の総代に贈りました。これをベースに、その後、女性部員と職員の計1200人が普及推進をやり、女性部だけで600部を達成しました。

 白石 JAいわて花巻に合併する以前の昭和40年代から2つの幼稚園を経営し、すでに卒園者が1000人を超えると聞いています。その話を補足して下さい。

◆次世代対策は幼稚園から

 高橋 成人後もJAを意識してもらおうという発想で学校法人の幼稚園を設立しました。昔の園児たちが今は30歳代ともなって組合員や、その家族としてJAに対し理解を示してくれています。よそのJAに比べ組合員意識が確かに違っていると思います。今、園児は120人で先生は全員がJA職員です。

 柳楽 余談ですが、五木寛之さんは無名な時代から『家の光』等で執筆され、作品の中で三誌を紹介していただいています。

 林 うちはパソコンが普及していない平成3年のJA宇和島時代から子供向けのパソコン教室をほぼ30人規模で開設しています。次世代を担う後継者の養成は幼稚園児や小学生のころから始めるべきですね。青年になってからでは遅い感じです。

 柳楽 家の光事業でも子供向けの『ちゃぐりん』に対する関心が非常に高まっています。子供との活動を軸とする元気づくりを「ちゃぐりん局」で進めていますが、食と農の問題を小さい時から学ぶアグリスクールなどの開催を支援して、JAの次世代対策にさらに貢献したいと思います。
 イベントに参加した子供は帰宅してJAのことを話しますから若い母親から祖父母まで家族にJAのことを話します。子供が参加する事業は家族でも地域でも話題になり、次世代対策はJAの大きな力となります。

 白石 次に生活文化活動や家の光三誌の活用状況はいかがですか。

 高橋 ちゃぐりんスクールはJAの各部署でやっています。花巻地方の小学校15校1050人を対象にした農業体験学習は稲作やサツマイモづくりなどいろいろです。今後はこれらを一本化したいと考えています。

 白石 女性部の話になりますが「だぁすこ」の売上げは5億円くらいですか。

 高橋 いえ、ぐんと伸びて今は約7億円になっています。当初から女性部員の起業として運営しています。

◆恩返し事業が黒字に

 白石 農家が持ち込む商品はどれくらいですか。

 高橋 75%くらいです。課題は当初から冬場対策だったので、よそのJAから商品を取り寄せる協同組合間の協同事業として和歌山・JA紀の里の「めっけもん広場」、愛知・JAあいち知多の「げんきの郷」、それにJA沖縄と提携して非常にうまくいっています。この輪を全国に広げる仕掛けを考えています。

 白石 農家収入はどうですか。

 高橋 70歳代の夫婦で約1000万円を販売する農家もあり、「だぁすこ」がないころは家庭内で軽視されていた高齢者夫婦が今では重宝がられて、家庭が円満になった話もあります。
 ところで次にもし家の光文化賞がいただけたら、記念事業としてグリーンツーリズム事業をやりたいと考えています。

 白石 高齢者福祉事業ではJAが送迎バスも運行していますね。

 高橋 そうです。以前に受賞記念事業を実施した時の発想は、JAを支えてくれた組合員に恩返しをしたいということで、元気な高齢者が楽しめる場をつくりました。囲碁・将棋、ダンス、カラオケ、手踊りなど、いろんなことをやってもらっています。講師はすべてボランティアです。利用者は地域住民も含めて年間2万人にのぼります。

 白石 健康チェックもありますね。

 高橋 それは当然です。看護士4人とケアマネージャー5人がいます。最初は収支を心配しましたが、結果は事業利益段階で黒字です。この分野は今後、期待の持てるJA事業だと思います。

 白石 JA事業の軸足となる利用者ニーズが変化していますからね。それを先取りしていく必要があります。

◆星の数だけグループを

 高橋 葬祭事業の施設であるセレモニーホールも市内の業界シェアでは6割を超えました。この事業も「だぁすこ」に匹敵し、伸び方も肩を並べています。

 白石 魅力のある事業をやれば、それが他の事業にも連動してきます。では、JAえひめ南はいかがですか。

 林 生活文化活動は『家の光』の位置づけから始まると思います。役職員の教育資材としての位置づけもあります。うちは『家の光』購読に年間1000円の助成をしています。文化活動のノウハウを教えてくれますからね。教育セミナーの講師も家の光協会から派遣してもらっています。
 今年は家の光文化賞を受賞したので記念イベントに女優の倍賞千恵子さんを招き、600人を集めました。PRは女性部が中心でした。
 女性部員は全国的に減っているため、うちでは昨年、女性部活性化委員会を設けて地域別に問題点を出し合うなどして組織拡大に取り組み、100人ほどを増やしています。JAの予算は各部署とも減っていますが、女性部支援の予算だけは今年度の場合、前年度より500万円増えています。
 家の光協会がすすめている星の数だけグループをつくろうというのが女性組織の方針です。目的別の専門部会を組織して、特定支所ごとに家の光の記事活用などの活動をしているのが特徴です。
 目的別の部会には教育文化部会があり『ちゃぐりん』の普及などもしていますが、私はとりわけ記事活用の体験発表会を重視しています。というのは発表者は原稿をまとめる中で、自分のこれからの活動に責任を持つことになるからです。
 健康福祉部会というのもあり、巡回ガン検診や、ミニ・デーサービスなどに取り組んでいます。
 生活部会は共同購買運動をはじめ地元産品の愛用運動もやっています。直売所の売上げは、1億5000万円ほどで、まだまだ伸びていきます。女性部はそこに手作りのおすしやまんじゅうを出し、地産地消運動に積極的です。

◆JAの船で福祉サービス

 林 営農部会はいつも「日本農業の6割は女性が担っている」と主張しながら安全安心な農畜産物づくりや自給運動、花いっぱい運動などを展開し、また特産センターにも協力しています。
 特産センターというのは直売所で、自分の作ったものに自分で値段をつけて売って代金は自分の通帳に振り込まれるわけですから、それが喜びです。戸主の懐に入る農業収入とは違いますから、参画意識にもつながってきます。
 酪農部会もあります。今は牛舎のまわりに花を咲かせる畜産環境の美化運動に熱心です。
 環境問題といえば以前に合成洗剤追放運動をやりました。JAは合成洗剤を取り扱いませんというもので、漁協といっしょに運動しましたが、今は少し下火になっています。
 それからフレッシュミズ部会では、母子の集いとかバレー大会などをしていますが、会議の時に子供をどうするかが課題でした。これには臨時託児所の設置が必要だと思っています。

 白石 JAえひめ南のエリアは、山間部が四万十川の源流となる高知県境で、そこのJA直売所は高知県民も利用しています。豊後水道に面した海岸部では島々もエリアです。このため島しょ部をつなぐ船をJAが持っていますね。

 林 今年、更に入浴サービス車を増やし、2台になりましたが、需要に対応できないのが現状です。先日早速島の民生委員が、島にもきてほしいとJAに頼みにきました。そういうことは社会福祉協議会の仕事ですが、結局、入浴サービスも派遣し、JAが運航する船の運賃も半額にして支援しました。

 白石 正に日本の縮図みたいな感じですね。地域社会を守る活動です。「灯り点灯号」と名づけた福祉自動車の巡回活動もしていますね。

◆しあわせづくりの実践例

 林 これは電球の取り替えもできないような高齢者を助ける目的ですが、電球を供給するねらいもあります。

 白石 支所ごとに運行スケジュールを決め、月平均の稼働日は10日強ということで、電化製品の点検交換作業を気楽に引き受けていると地元新聞に載っていますが、JAならではの活動ですね。
 それから「ふれあいフォーラム」とか「健康フォーラム」というのも年間20回ほど開き、延べ3万8000人が参加。それから女性部リーダーの研修会なども活発です。さらに小学生のバケツ稲栽培や中学生の作品コンクール、高校生の研究発表など次世代を含んだ生活文化活動を地域に開かれた形で展開しています。

 柳楽 JAは組合員のしあわせづくりのためにあるといえますが、その実践例が、両JAにあると実感しました。
 今、地産地消がいわれてますが、家の光協会では、昭和30年代にクッキングカーで各JAを回って地元の食材を利用した料理教室を始め、その後は農と食を結びつける考え方でJA料理教室を進め、今は消費者も含めた地域に開かれた形のクッキングフェスタを展開しています。
 フェスタは非常に関心が強まっていますから、今後はもっと増やして、重点事項の「安全、安心な農産物の提供と地域農業の振興」の一助とします。
 また、各地で好評な高齢者福祉に関し、当初、“介護の光”と呼ばれるほど、『家の光』の誌面を通じ先駆的に取り組みましたが、これからも多角的な情報を提供していきたいと考えています。
 さらにJA組織の若返りにつながるようにフレッシュミズや次世代など若い層を集められるような企画を広げて、JAの生活文化活動の力になっていけるようにしたいと思います。

◆文化と協同の力で元気に

 白石 最後にJAの生活文化活動のビジョンなり重点事業、またそれにかかわる『家の光』の意義などを語って下さい。

 高橋 うちは女性認定農業者制度を立ち上げ、現在140人がいます。こういう担い手をベースにした例えばクッキングフェスタを望みたいし、一方では次世代を含め一般市民からも支持されるようなJAにしなければいけないと考えています。

 林 家庭内のトラブルや犯罪の低年齢化など多くの社会問題がありますが、これは心の問題です。その心を充たすところに『家の光』の意義があります。三誌の普及から、さらに進めて、いかに読むか活用するかを追求したいと思います。そして集団活動の原点は助け合いにあるということを強調していきます。

 柳楽 グローバルスタンダードの名の下に金融、そして食料自給、文化も危機にさらされています。JAは地域に根ざし、食糧生産から環境保全、地域の文化を守り、継承していく力を持っています。どこも代替できない、地域に根ざすJAのすばらしい力、それがグローバルスタンダードに対抗できる力だと思います。
 家の光協会はJA組織が文化と協同の力で元気になるようにと元気キャンペーンを展開して、さらに元気なJAづくりに貢献していきます。

(座談会を終えて)

 JAいわて花巻の高橋常務理事は、JA女性部メンバーの家の光三誌活用の活発な生活文化活動、年間7億円の販売に達しているJAの「母ちゃんハウスだぁすこ」への農産物直売による農家の高齢者や女性の元気さ、さらにJA職員全員がホームヘルパー3級の資格を取得中であることなどJAの個性を語られた。JAえひめ南の林専務理事も、JA女性部の合成洗剤追放運動や地元産品の愛用運動、独り暮らしの高齢者を訪ねる「あかり点灯号」(JA福祉自動車による巡回)、離島の高齢者福祉活動など地域に貢献し、共感を呼び、事業の伸張にも結びついている強みとその成果を語られた。 柳楽常務理事は、家の光協会が以上のような組合員と地域社会に貢献しつつあるJAの教育文化活動を本格的に支援していく新しい方策を語られた。
 第23回JA全国大会が鮮明にした「農と共生の世紀づくりをめざしたJA改革の断行」への大道は、JA組合員と役職員が私企業モデルの改革ではなく、地域社会に密着し、新風を巻き起こす教育文化活動を土台としてJAの「横糸(組合員活動)」と「縦糸(事業経営)」の両方を織り重ね取り組む知性と情熱があるか否かにかっていると思う。 (白石)

(2003.11.4)


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