農業協同組合新聞 JACOM
   
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「水分値のエンマ品管」直営工場に順次導入
《トーヨー》

 (株)東洋精米機製作所(本社:和歌山市、雑賀慶二社長)では、このほど、精米工場で、適正値を上回る水分過多のコメ製品が発生した場合、直ちにその出荷を停止させるという、コメ水分管理の新システム「水分値のエンマ品管」を開発、同社直営工場に順次導入していく。
 また、トーヨーライス(株)は、水分過多の製品を出荷しないため、同システム採用工場でのみ、「金芽米」を生産する。従来、米穀業者が行う一般的な水分チェックは、玄米段階と、製品段階の2回にわたり行われるが、いずれも一部のサンプリング米のみを水分測定し、品質の良し悪しを判定する。
 しかし、この場合、仮にサンプリング米が規定値をクリアしたとしても、ロット全体の中には、規定値を上回る米があることも考えられ、それが事故につながる可能性がありながらも、未然に防ぐことは不可能だった。
 東洋精米機製作所が、このほど開発した新システム「水分値のエンマ品管」は、これまで米全量を測定出来なかった米穀業者の悩みを、根本から解決する、米製品水分管理の切り札とも言うべきもので、本年4月に発表された「品質不適合品出荷防止システム」(通称エンマ品管)に続く、品質管理のエキスパートシステムの第2弾となるものだ。
 このシステムは、先に発表された「エンマ品管」のシステムを応用し、同社が独自に開発したもので、精米工場の米製品の全量を、「連続」して「非破壊」で、「リアルタイム」で、「自動的」にチェックし、適正水分値を上回るコメが流れてきた場合は、直ちにその出荷をストップさせるという、まさに水分管理における「エンマ品管」の役割を果たすものだ。
 一方、去る6月に発表された「金芽米」については、各方面の協力を得て先行発売を進めており、外食産業や消費者から高い評価を得ている。しかし先般、同社関東工場で生産された「金芽米」商品の一部に、水分過多によるカビ発生が判明した。
 これまで、関東工場では、玄米の入荷時に水分チェックをし、水分15%以上のものは受託せず、さらに機器に供給する空気も、湿度コントロールをするなど、厳重な生産体制で臨んでいたにもかかわらず、こうした事故が発生した。
 ところでコメ水分の上限を16.0%まで許容した現行水分規制のもとでは、高水分米(水分15.0%〜16.0%)はカビ発生事故が生じることは必至であり、現に全農系登録卸売業者(聞き取り率53.2%)の実に48%がカビ発生があったとのデータを(社)全国米麦改良協会が公表している。
 そうした中、「収穫時の乾燥は15%以下にすべき」との同社の提言により、近年15%を超える水分値のコメは少なくなり、一般的にカビ発生事故は減少してきたが、低温倉庫の保管中に水分上昇することから、依然として夏季にはカビが発生することもある。
 ともあれ、この度、同社関東工場で、こうした事故が発生したことから、同社直営工場では直ちに水分チェックの測定回数を増やす体制をとると共に、同社の顧客精米業者にもそのような体制をとるよう、進言した。
 同社では、さらに今後このような事故を二度とおこさないために、かねてより構想中であった前述の新しい水分管理システムを急遽完成させたものだ。
 同社では、このシステムを直営の金芽米生産工場に大至急設置する方針だ。さらに今後全国のBG無洗米工場の要請先にも随時設置していく予定でいる。特に金芽米の本格生産に関しては、このシステムを設置した工場でのみ行う考えだ。
米の水分とカビ発生の関係

(2005.9.5)



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