農業協同組合新聞 JACOM
   
アグリビジネス業界ニュース

久々の灰色かび病防除剤 大型の「カンタス」を市場投入
《BASFアグロ》

 BASFアグロ(株)(ハンス・ヨアヒム・ローエ社長、本社:東京都港区)は27日、東京都港区のLawry’s The Prime Rib Tokyoにおいて記者会見を行い、野菜・豆・果樹の灰色かび病・菌核病用新規殺菌剤『カンタスドライフロアブル』(以下、「カンタス」)を31日から市場投入すると発表した。灰色かび病防除剤としては久々の大型剤。
 「カンタス」は、新しい系統(アニリド系)の薬剤で、「ボスカリド」を有効成分としている。既存の薬剤に耐性を示す菌にも極めて有効だ。野菜・豆・果樹の灰色かび病と菌核病を同時防除できることが大きな魅力。有効成分が葉内に入り、蒸散流により葉先や葉緑に移行し、散布ムラによる感染を防止する。人畜、魚、有用昆虫、鳥などに対しても安全性が高く、消費者ニーズに対応した21世紀型の夢のある薬剤に仕上げられている。
 「進化した殺菌剤」とローエ社長は語る。どこが進化したのか。本剤は、前述の通り灰色かび病、菌核病用殺菌剤としては初のアニリド系の画期的な新規系統薬剤で、病原菌のミトコンドリア、タンパク質複合体Uに作用し(注)、「エネルギー代謝を妨げるユニークな殺菌剤」(園芸・畑作チーム)にある。「進化」は、この分野で背中合わせにある耐性を回避するものと思われる。
 流通チャネルは、BASFアグロ(株)が系統、商系で全国展開し、この分野で豊富な経験を持つ日本曹達(株)が本州・四国・九州の商系ルートで併売する。包装形態は、北海道向け:10キログラム(1キロ×10袋)、本州・四国・九州向け:6キログラム(100グラム×60袋)となっている。
 灰色かび病と菌核病対応薬剤のマーケットサイズは、約70億円強(本紙推定)となっている。同社では、適用拡大後に市場の約20%のシェアを獲得したい意向であることから約15億円を目指すものと思われる。
記者会見から(右から二人目がローエ社長 1月27日)
記者会見から(右から二人目がローエ社長 1月27日)
 この分野の先行有力剤には、「スミレックス」、「トップジン」、「ロブラール」などがあり、それぞれ特異的なパフォーマンスを展開し好評を博している。本剤の成功の鍵は、作用特性を生かした初期の予防散布としての普及とローテーション散布に組み込まれるかにあると本紙は見る。また、混合剤として果樹用への展開も期待されている。
 (注)「カンタス」は病原菌細胞内、ミトコンドリアの呼吸エネルギー代謝経路へ作用(タンパク質複合体Uと結合)することで、エネルギー(ATP)の合成を阻害する。
 【日本曹達(株)のコメント】『カンタスドライフロアブル』は、灰色かび病、菌核病などの病害に卓効を示す新規系統の殺菌剤です。市場からも大きく期待されている剤であり、日本曹達としても原体メーカーであるBASF社と協力し、普及・拡販に努めていきたいと思っています。
適用作物・病害と使用方法
適用作物・病害と使用方法
(2005.1.28)


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