農業協同組合新聞 JACOM
   
アグリビジネス業界ニュース

食味等を客観的なデータで評価 米の情報提供システムを開発
《日本穀物検定協会》

 (財)日本穀物検定協会は、消費者がいつでも安心して、おいしいお米が食べれるような「米の情報提供システム」を開発し、このほど運用を開始した。
 米の表示は、JAS法における玄米及び精米品質表示基準に基づき、米の販売を行なう者は、原料玄米の内容として産地(地区)・品種・年産、原料構成として使用割合、精米履歴として精米年月日などを精米袋に表示しなければならないことになっている。平成16年4月に改正食糧法が施行され、米の流通自由化、農産物検査の民営化が進むと同時に、食の安全・安心に関心が集まり、銘柄指定、おいしさなど消費者の好みも多様化し、米の流通販売環境は大きく変わった。
 そのような状況の中で協会は、第三者検定機関として長年培ってきたノウハウや最新の理化学的分析技術を有効に活用し、情報処理技術を利用した「米の情報提供システム」を開発した。
 提供システムは、米販売業者との契約に基づき、その販売業者が製造販売する袋詰精米等の原料米の“食味”“銘柄表示”“安全性”について協会が理化学分析などを行う。その結果は確認情報として、販売する精米袋に添付する『情報提供マーク』および付帯する『二次元コード』によって、消費者に提供する。消費者は、情報提供マークに刻印された6ケタの識別番号によりアクセスすることで、情報が入手できる。

■ロット単位を基本に理化学分析

 システムの仕組みは、
(1)生産地または精米工場等において、米販売業者と協議し決定した対象ロットから、理化学分析用のサンプルを協会が採取。
(2)そのサンプルの理化学分析等を実施し、その結果を専用サーバーに入力する。
(3)精米工場は、(2)の結果を専用サーバーから出力し、その内容を確認のうえ、精米袋に情報提供マークと、提供する情報の種類を表示する。また、専用サーバーから指示される識別番号を併せて印字する。
(4)消費者は、パソコンまたは携帯電話(精米袋の二次元コードの読み取り)で専用サーバーにアクセスし、識別番号を入力すると理化学分析などの情報が得られる。
 情報提供される米は、米そのものと米に付帯する情報が提供されるため、他の米との差別化が図れ、販売する上で優位であると考えられる。

米の情報提供システム((財)日本穀物検定協会のHPより)
米の情報提供システム((財)日本穀物検定協会のHPより)

 

■遵法意識の徹底等が対象業者の要件

 提供システムが対象とする米販売業者は、システムの趣旨および内容が理解され、協力体制が取れており、遵法意識の徹底が図られていることなどに加え、以下の要件を満たす精米工場を有し、適正に管理できる業者であることが必要。
(1)工場内の各工程において透明性があり、製造者責任による管理が徹底していること。
(2)各精米工程において、残米処理など異品種混入防止対策などが図られており、かつ効果が確認できること。
(3)協会の職員が立会確認する場合、精米工場内の各製造工程に立入りが可能であり、必要な確認等が円滑が実施できること。
(4)対象ロットごとに張り込みから精米製造に至るまで分別管理が可能であること。また、対象ロットごとおよび工程ごとの製造記録等が整えられていること。
(5)本システムの円滑かつ適正な実施に必要な情報処理機器などが備えられていること。

■食味を理化学的データで客観的に評価

 13年4月施行の改正JAS法により、全ての販売業者に米の表示が義務付けられた。これにより協会は、認証を受けることを希望する登録販売業者と任意の契約を結び、原料玄米の産地、品種、産年の表示が袋の中身と一致していることを確認した米については「認証マーク」を与えている。しかし、認証マークでは理化学的方法が用いられないことなどで、信頼性に欠けるところがある。そのため、認証マークは来年3月をもって廃止し、これに変わるものとして開発したのが米の情報提供システムだ。
 「当協会の提供システムの売りは、食味が理化学的なデータで裏付けられる点だと思います。安全性や銘柄の確認は当然必要なことですが、さらに、食味に関連する鮮度や粘り気などを客観的データで表し、評価できるのが、このシステムの特徴です。この点を積極的に、多くの消費者にPRしたいと思います」。協会関係者の言葉だ。

認証マーク((財)日本穀物検定協会のHPより)
認証マーク((財)日本穀物検定協会のHPより)

(2005.1.28)


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