農業協同組合新聞 JACOM
   
アグリビジネス業界ニュース

香り匂い満ちてよ
《サカタのタネ》

 職業柄、年間を通じて多くの園芸雑誌に目を通すことになるが、野菜を特集した雑誌ほど興味を引かれるものはない。筆者も農家出身であることから、18歳まではじゃまにならない程度に野菜づくりを手伝った。そこにあるのは、野菜たちの何とも言えぬ香りだった。
 (株)サカタのタネ(高橋英夫社長、本社:横浜市都筑区)が友の会会員向けに発行している『園芸通信』2月号では、『特性を知って、賢く品種選び! おいしい春まき野菜をつくる』を特集した。この中に登場する野菜たちから、その「香り」が漂ってくる。
 2月の声を聞き、今年も春まき野菜のタネまきシーズンを迎えた。春まき野菜は日が長くなる好適環境下で生育するが、生育後半の高温期など、気をつけるポイントがある。品種ごとの栽培のコツを確認したいが、ここでは、同社の第一線の研究者たちがその「コツ」を披露している。それぞれの野菜の横顔は。
(c)(株)サカタのタネ ダイコン 天宝
© (株)サカタのタネ ダイコン 天宝
 【スイートコーン】(矢越常弘)
 スイートコーンはビタミン類、ミネラル類、リノール酸、さらに植物繊維を含み健康管理に最良だという。たくさん収穫されたら、ゆでて冷凍しておくとチャーハンやスープの具としても使え、とても便利だ。『ゴールドラッシュ』、『みわくのコーン』、『ゆめのコーン85』の3品種を紹介した。
 【ダイコン】(高山光義)
 ダイコンは、生産量・消費量ともに野菜の中でもっとも多い。『日本書紀』に「淤冨泥(おほね)」として記されているほど、日本では古くから親しまれている。根にはジアスターゼ、オキシターゼ、イソチオシアネートなど多くの薬効が詰まっている。捨てるところがない。『献夏青首』、『つくし春』、『天宝』の春まき3品種を挙げた。
 【ピーマン】(関明彦)
 お子様の「苦手な野菜」ベスト3に必ず挙げられるピーマンだが、ビタミンC、Pに富み、栄養価の高い野菜の1つ。近年では、海外から色鮮やかなピーマンが輸入され、ピーマンのイメージが変わりつつあるのも1つの特徴という。フルーツパプリカ「セニョリータ」と「バナナピーマン」を取りあげた。
(c) (株)サカタのタネ 王様トマト 麗夏
© (株)サカタのタネ 王様トマト 麗夏
 【トマト】(岩ア俊也)
 今では一年中手に入るトマトだが、もともとは夏が旬の野菜。真っ赤な冷やしトマトに喉が鳴ってくる。栽培期間が長いため追肥や病害虫管理が大変だが、それ故に収穫の喜びはひとしおだ。株で熟したトマトは糖度だけではなく、リコピンやグルタミン酸など、うまみに関わる成分が豊富に含まれ味わい深いという。サカタのタネが自信をもって推薦する露地栽培向きの『サンロード』、『王様トマト 麗夏』の2品種を紹介。
(c) (株)サカタのタネ ナス 黒福
© (株)サカタのタネ ナス 黒福
 【ナス】(千葉拓哉)
 ナスは、夏秋野菜の代表選手。鮮やかな茄子紺はナスニンというポリフェノールによるものだという。食物繊維が豊富で低カロリーであるため、ヘルシー野菜の定番となっている。ほかの食材との相性も抜群で、世界中の料理に使われている。かつて、日本には150以上の在来品種があった。『飛天長』、『うす皮味丸』『黒福』の3品種を挙げた。
 【カボチャ】(吉田孝親)
 『雪化粧』、『くりひろ』、『栗坊』とくればカボチャの名前らしい。冬至にはカボチャと、これも定番。βカロテンやカリウムが豊富に含まれている緑黄食野菜で、その用途は煮物からお菓子の原料、スープなどの加工用と幅広く利用されているという。
(c) (株)サカタのタネ カボチャ 栗坊
© (株)サカタのタネ カボチャ 栗坊
 【キュウリ】(黒羽将樹)
 品種は、生食やサラダ用にピッタリな『フリーダム』に絞った。キュウリといえば、これも夏の野菜。キュウリに含まれる水分とカリウムの利尿作用は、体にたまっている水分を尿として排出するという。キュウリは収穫直後がいちばん美味しく、その後、時間の経過とともに味の劣化が進んでしまうことから、とりたてという家庭菜園ならではの醍醐味を味わおう。
 【ホウレンソウ】(木村亮)
 ホウレンソウには、ビタミンC、カロテン、鉄分などのほかに、近年ではルテインを豊富に含む野菜として、機能性の面で再び注目されているという。春先の気温の低い時期でもしっかり生育する品種、新緑のまぶしい時期でも、とう立ちの心配のない『トラッド』、『アクティブ』の2品種を薦めている。
 【キャベツ】(加藤祐介)
 食卓に欠かすことのできない野菜の1つに挙げられるキャベツ。ビタミンUを多く含んでいる。その形状から(1)軟らかくてフワッと巻いた春系(2)しわが少なくカチッと巻いた平玉(寒玉)系(3)真ん丸でキュッと巻いたボール系、の3グループに大別できるという。『金系201号』、『新藍』、『アーリーボール』の3品種を取りあげた。
 【コマツナ】(西川和裕)
 『わかみ』、『きよすみ』の2品種を挙げた。コマツナの名前は、東京の小松川(現在の江戸川区)近辺で作られていたことに由来している。収穫までの期間が短く、暑さ、寒さ、病害虫に強い野菜で、家庭菜園の登竜門としてピッタリ? プロの方に怒られそうだ。アクやクセが少ないため煮物や漬物、和え物、いため物まで幅広く利用でき、ビタミンC、カロテン、鉄分、カルシウムも豊富だという。
 『園芸通信』についての問い合わせ・・・サカタのタネ 通信販売部 電話045−945−8824
(2005.2.23)


社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。